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イスラム国事件 「人生そのもの否定された」旅券返納の杉本さんが会見

産経新聞 2月12日(木)12時36分配信

 イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」による日本人殺害事件を受け、シリアに取材目的で渡航を計画し、外務省から旅券返納命令を受けたフリーカメラマン、杉本祐一さん(58)=新潟市=が12日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で記者会見した。杉本さんは「パスポートの強制返納という事態に直面し、ショックを受けている。フリーカメラマンという仕事を失い、私の人生そのものを否定された」と話し、パスポートの返還を求めて異議申し立てを含む法的措置をとることを明らかにした。

 杉本さんによると、今月7日夜に外務省職員と警察官ら数人が自宅を訪問。外務省職員から「シリアには行かないでほしい」と言われたが、「行きます」と主張する杉本さんと押し問答に。その後、パスポートの返納を求められ、「返納しない」と応じたところ、外務省職員は岸田外相の名前が書かれた返納命令書を読み上げた。さらに、「返納しない場合は逮捕する」と2、3回言われたことから、杉本さんは「逮捕されれば、パスポートは没収されてしまう」などと考え、返納に応じたという。

 杉本さんは旅券法に基づくパスポート返納が戦後、日本で初めての措置だったことに触れ、「自分のパスポートを取り戻したいのは無論のこと、これがあしき先例となり、他のジャーナリストのパスポートまで返納され、報道の自由、取材の自由が奪われることを懸念している」と話した。

 また、外務省職員は杉本さんのパスポートについて「無期限に返納しません」と伝えたといい、杉本さんは自身のパスポート返納を求めて「できるだけ早く外務省に異議申し立てを行う。法的措置も検討したい」との意向を示した。

 杉本さんは、トルコ経由でシリアに入国し、クルド人の難民キャンプなどを取材する予定だったが、外務省は同事件を踏まえ、イスラム国の支配地域があるシリアへの渡航自粛を要請。杉本さんが応じなかったことから、旅券法の生命保護規定に基づき、旅券の返納を命令し、事実上の渡航を禁止していた。

最終更新:2月12日(木)21時41分

産経新聞

 

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