環太平洋経済連携協定(TPP)を巡り、カギとなる米国との交渉を前へ進めるため、コメについて対米輸入枠を設ける案が浮上している。

 日本はコメの輸入に高い関税をかける代償として、全世界向けに最低輸入義務(ミニマムアクセス、MA)が課されており、年間消費量の1割弱、77万トンを毎年輸入している。そこに5万トン程度の対米枠を加えようとの構想である。

 MAは、対日輸出を増やしたい国が確実に成果を得られ、日本も国内の生産者に「あくまで例外措置」と保護の姿勢を強調できる便利な道具だ。ただ、自由貿易の原則に照らせば好ましいことではない。MA米の保管料や援助への振り向けに伴う差損などで、毎年数十億~400億円近い赤字も生じている。

 むやみにMA米を増やす前に、コメの関税がどの程度「防波堤」となっているのか、検証することが必要ではないか。

 コメの関税は778%、つまり輸入価格の8倍近いとされるが、これは正確ではない。日本が90年代末、貿易障壁を関税に置き換える「関税化」を受け入れたのに伴い、国際交渉で決まった関税は「1キロあたり341円」であり、今も同じだ。

 ただ、これではわかりにくいため、00年前後の国際相場や一定の算式に基づいて計算したのが「778%」だ。その後、国内でデフレが長引く一方、コメの国際相場は人口の増加を背景に、上下しつつも上昇傾向にある。為替相場も動いており、13年秋には「280%」という試算が話題になった。

 足元では一体何パーセントなのか。日本のコメの価格競争力を確かめる意味でも、計算する意義は小さくあるまい。

 コメを取り巻く状況はいま、大きな曲がり角にある。

 コメの生産を消費見込みに合わせて抑える生産調整(減反)について、政府は国が深く関与する現行の仕組みを18年度にも廃止する方針だ。

 年間消費の3分の1は外食産業やおにぎり、弁当などの「中食」が担っている。消費をてこ入れするには、おいしくて高く売れるコメ作りに傾斜してきた姿勢を改め、安さも追求することが欠かせない。

 コメ作りを多様化することは、課題である海外市場の開拓にもつながるはずだ。国内消費を超える生産力を保つことができれば、食糧安全保障の観点からも好ましい。

 そんな好循環に挑戦していく第一歩として、コメの関税率の検証を求めたい。