昨年12月29日に放映されたNHKのニュース番組において、グリーンケミカル(株)(以下「GC社」)が庄原市で進めてきた木質バイオマス利活用プラント事業(以下「事業」)において、国からの補助金を不正に受給した疑いがあるとの内容が報じられました。
市では、この報道を受けてGC社の代表取締役である西本清宏氏や関係会社と連絡をとり、事実関係の確認を行うとともに、今後の対応を検討しています。
このような事態が生じましたことは誠に遺憾であり、市民の皆様をはじめ関係各方面の皆様に大変なご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます。
今後、二度とこのような事態が生じないよう再発防止に全力で取り組んで参ります。
◆事業において必要となる機械設備を業者から約5億円で購入したと市へ申告し、3億円あまりの補助金を受給。
◆しかし、当該機械設備の原価は約9,000万円で、GC社の関連会社である(株)コスモエース(以下「コスモ社」。※)から直接購入しており、差額はコスモ社の利益となっていた。
※(株)コスモエース(東京都港区芝二丁目3番22号)は(株)ジュオンの100%出資子会社
◆東京国税局は、この利益(2億6,000万円)を所得隠しとして指摘。補助金の大半をGC社の借金返済にあてるため、グループ会社の間で設備の代金を不正に水増しした疑いがあると見ている。
◆コスモ社はこの指摘を受けて、「修正申告に応じている。設備の代金は適正に申告しており、水増ししていない」と話している。
木質バイオマス利活用プラント整備事業
グリーンケミカル(株)(本社:庄原市是松町20番4号)
庄原市農林漁業振興補助金(地域バイオマス利活用交付金(農林水産省))
工事名 | 事業年度 | 事業費 | 交付金 | 契約先 | 主な対象機械 |
粉砕処理設備設置工事 | 平成20年度 | 538,692 | 256,620 | 大阪市の製造会社 | 木材チップを微粉砕する振動ミル2台 |
問題の工事と別の工事も含め、平成20年度に市はGC社へ、事業費6億5,983万円に対し補助金3億1,420万円を交付しています。
◆問題となっている粉砕処理設備設置工事については、入札によりGC社と大阪市の製造会社が5億3,869万2,000円で契約を締結し、その契約書が市へ提出されています。
なお、GC社がコスモ社から直接仕入れるという報告は受けていません。
《これまでの市への報告内容》
GC社 rarr; 大阪市の製造会社 → 東京都の製造会社
《NHKの報道内容》
GC社 → 大阪市の製造会社 → コスモ社 → 東京都の製造会社
↓ ↑
→ → → 直接仕入れ → → → →
《報道後のGC社代表取締役西本清宏氏および各社への聞き取り内容》
GC社 → 大阪市の製造会社 → コスモ社 → 東京の製造会社
↓ ↑
→ → → ジュオン社 → → →
◆市の完了検査では、GC社および大阪市の製造会社立会いのもと、機械の製造を確認しています。
◆契約代金の支払については、実績報告書により契約どおり5億3,869万2,000円がGC社から大阪市の製造会社へ振り込まれたことを確認し、交付決定の内容に適合すると判断したため平成20年度補助金を支出しています。
報道を受け、これまでにGC社代表取締役の西本清宏氏や関係会社への聞き取りを行うとともに、中国四国農政局や市顧問弁護士と対応を協議しています。
・GC社が行った入札結果による契約であるとの報告がされていたが、実際にはGC社と大阪市の製造会社の間で事前商談が行われ、市へ報告されていた契約日以前に大阪の製造会社からコスモ社へ発注されていた。
・入札については、3社の見積入札を行ったかのように偽装した。
・GC社と大阪市の製造会社の契約金額5億3,8692,000円のうち、4億6,182万8,000円を、GC社の関連会社であるコスモ社へ支払った。
・粉砕設備は、(株)ジュオンおよびコスモ社が東京都の製造会社へ9,441万6,000円で発注し、完成後には、発注した両社を経由せずに直接GC社の庄原工場へ搬送した。
・据付工事の施工者は不明。
市が確認した内容の概要図(PDF)
1月5日 | 大阪市の製造会社 | ・GC社と大阪市の製造会社の間で事前商談あり。 ・市が把握しているGC社と大阪市の製造会社との契約日(平成21年2月6日)より前に、大阪市の製造会社はコスモ社へ発注(平成20年12月2日)。 ・大阪市の製造会社がコスモ社へ注文した。内容は、振動ミル2台、BOX、ロッド等。注文書の金額は4億6,183万円。 ・GC社と大阪市の製造会社の契約内容について、市の把握と相違。 ・大阪市の製造会社からコスモ社への注文書の写しを受領。 ・コスモ社から大阪市の製造会社への納品書、請求書の写しを受領。 |
1月6日 | 東京都の製造会社 | ・東京都の製造会社は、(株)ジュオンからの注文を受けて製造 (一部はコスモ社から注文)。金額9,441万6,000円。 ・(株)ジュオンの当該注文は、市が把握しているGC社と大阪市の製造会社との契約日(平成21年2月6日)より前に発注(平成20年12月5日)。 ・(株)ジュオンから東京都の製造会社への振動ミル等2台の注文書の写しを受領。 ・コスモ社から東京都の製造会社への粉砕メディアの注文書の写しを受領。 |
1月10日 | 東京都の製造会社 | ・東京都の製造会社から(株)ジュオンおよびコスモ社等への納品書控の写しを受領。 |
入札参加業者2社 | ・見積入札の参加有無、経過について確認。 1社は見積入札参加を否定、1社は大阪市の製造会社から依頼があり見積書を作成し、提出。 |
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1月16日 | 入札参加業者1社 | 見積入札参加を否定した1社から連絡があり、大阪市の製造会社から依頼があり見積書を提出したと訂正。 |
※コスモ社については、破産管財人所有の資料を閲覧しましたが、同社と大阪市の製造会社および東京都の製造会社との関連を裏付ける契約書等の書類は確認できませんでした。
現在も事実関係の確認を行っていますが、契約や発注において不正行為が行われた疑いがあることから、市顧問弁護士と協議しながら、告訴の準備を進めています。
告訴が受理されれば事業取消となり、市はGC社に対して補助金返還命令を出すこととなります。
市から国への補助金返還については、国と協議していきます。
事業取消となった場合は、民事再生による事業承継は不可能となります。
今後は、告訴・捜査と並行して、破産手続を検討することとしています。
スポンサー候補は、民事再生であれ破産後の競売であれ事業継続に強い関心を持っており、早急に試験運転および試作品製造を行い、売り先との交渉を進めたい意向を持っています。
告訴の受理や警察の捜査など、今後の流れについては、現時点では詳しいスケジュールは分かっていません。
市の対応については、引き続き顧問弁護士と協議しています。
※「用語解説」のご連絡については、ウェブリオまでお問い合わせください。
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