出生直後に別の新生児と取り違えられた男性(59)と実の弟3人が「約60年にわたり人生を狂わされた」として、産院を設置する東京都墨田区の社会福祉法人に計約1億5500万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴していたことが分かった。11日に第1回口頭弁論があり、社会福祉法人側は争う姿勢を示した。
訴状によると、男性は1953年、産湯の後、別の母親の元に戻された。2歳で戸籍上の父を亡くし、工場で働きながら定時制高校に通った。その後は運送会社に勤務した。一方、男性の生みの母親に渡された新生児は大学まで進学した。
男性の実の弟が2009年に、兄の容姿が家族と似てないことなどに違和感を覚え、DNA鑑定をして血縁関係がないことを確認。産院の台帳を証拠保全するなどして、実の兄を捜し出したという。
しかし、その時には両親は既に死亡。男性は「真実の親と家庭生活を過ごすことも、失われた時間を取り戻すことも不可能だ」と訴えている。(共同)
[2012年9月11日22時23分]