慰安婦:元朝日記者植村氏、極右派論客を提訴

良心派と極右派の争いが法廷に
「『捏造記事』との虚偽の事実を流布され、家族まで脅迫されている」
元朝日記者は弁護士など170人が支援、極右派論客は安倍首相の「同志」

慰安婦:元朝日記者植村氏、極右派論客を提訴

 旧日本軍の慰安婦となった韓国人女性の証言を初めて報じた、朝日新聞元記者で北星学園大学(北海道札幌市)非常勤講師の植村隆氏(56)が今月10日、自らを「慰安婦問題を捏造(ねつぞう)した記者」と非難した極右派の女性ジャーナリスト、櫻井よしこ氏(69)と、櫻井氏の書いた記事を雑誌に掲載した出版社を相手取り、1650万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴訟を起こした。植村氏は先月にも、東京基督教大学の西岡力教授と出版社を相手取って同様の訴訟を起こしている。

 植村氏は朝日新聞の記者だった1991年8月、旧日本軍の慰安婦だったことを初めて公表した金学順(キム・ハクスン)さん(故人)の証言を特ダネとして報じた。植村氏は「社会的な影響力が大きい櫻井氏が『慰安婦問題の記事を捏造した記者』という虚偽の事実を流布したため、私の家族まで殺害を予告されるようになった」と主張した。植村氏が現在勤務している北星学園大学にも「植村氏を解雇しなければテロを実行する」という極右派の脅迫が相次いでいる。

 元ニュースキャスターの櫻井氏は、安倍晋三首相の「思想的な同志」と知られ、寄稿や講演、テレビ番組などを通じ、旧日本軍の慰安婦の強制動員を否定してきた。櫻井氏が理事長を務める「国家基本問題研究所」は、慰安婦の強制動員について謝罪した「河野談話」の破棄を求める運動を繰り広げている。

 訴訟の争点は、記事の内容の真実性の有無だ。植村氏は当時の記事で「(金学順さんが)女子挺身(ていしん)隊という名目で戦場に連れていかれ、日本軍兵士を相手に売春行為を強要された朝鮮人従軍慰安婦の1人」という表現を用いた。これに対し櫻井氏は寄稿記事で「金学順さんは挺身隊ではなく、貧しさのため両親によって身売りされた哀れな女性の1人にすぎない」と主張した。一方、植村氏は「当時は韓国でも日本でも『女子挺身隊』と『従軍慰安婦』の用語を混同していた。また記事では、(金学順さんが)17歳のときにだまされて慰安婦にされたという表現をしている。櫻井氏は記事をきちんと読まず、虚偽の主張を繰り広げた」と反論している。

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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