焦点:シャープ液晶失速、JDIとの消耗戦にも抜本策見えず
[東京 10日 ロイター] - シャープ(6753.T: 株価, ニュース, レポート) の経営立て直しのカギとなる液晶事業の先行きに一段と不透明感が強まっている。成長市場の中国スマートフォン(スマホ)向け液晶では、同じ日本勢であるジャパンディスプレイ(JDI)(6740.T: 株価, ニュース, レポート)と顧客を取り合う消耗戦が激化している。
同社は5月にも新たな中期経営計画を打ち出す予定だが、液晶事業の抜本策まで踏み込む気配はない。経営再建をどう進めるのか、なお見通し難が続いている。
<短かった小米との「蜜月」>
同社は今月3日、2015年3月期に2期ぶりの最終赤字に転落する見通しを発表した。それまで予想していた300億円の黒字から一転した理由は、液晶テレビの赤字転落とともに、中国スマホ向けの中小型液晶が想定外に失速したことにある。
シャープは、中国のベンチャーだった小米科技(シャオミ)との取り引きを2013年から本格化させ、以来、小米のスマホ躍進とともに順調に出荷を拡大。2014年4―9月期は、中国スマホ向けの液晶売上高が前年比5倍の規模に急伸した。
小米との取引拡大は、懸案だった米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)に依存した液晶事業の体質改善にもつながる。シャープ幹部には「勝ち馬を見つけた」と威勢のいい声が広がった。しかし、潮目が変化したのは昨年秋以降だった。小米の液晶サプライヤーにジャパンディスプレイが食い込み始め、シャープの出荷に急ブレーキがかかった。
「一緒に伸びてきた」(シャープ幹部)はずの小米だったが、スマホメーカーにとって液晶メーカーを競わせて有利な条件を引き出すのは自然な動き。「シャープだけとの取引が続くと思うのは幻想」(業界関係者)だった。
<JDIが「大塚価格」武器に切り崩し> 続く...