「ヨルダン軍の空爆で米女性死亡」と主張2月7日 5時52分
ヨルダン軍がイスラム過激派組織、「イスラム国」への大規模な空爆を続けているのに対して、「イスラム国」とみられる組織が6日、声明を出し、人質のアメリカ人の女性が空爆で死亡したと主張して、軍事作戦でのアメリカとヨルダンの連携をけん制しました。
「イスラム国」に拘束されていたパイロットが殺害された報復措置として、ヨルダン軍は5日に続いて6日も「イスラム国」の拠点への空爆を行い、予定していたすべての目標を破壊したと発表しました。
軍は空爆した場所を明らかにしていませんが、シリア北部のラッカなどが標的になったとみられています。
これに対し、「イスラム国」とみられる組織は6日、インターネット上に、「ヨルダンの戦闘機が人質のアメリカ人女性を殺害した」とする声明を掲載しました。
声明には、空爆を受けた場所だとする写真が添付されていて「ラッカ郊外の施設が金曜礼拝の最中に空爆を受けた」としたうえで「戦闘員は誰もけがをしていないが、人質のアメリカ人女性が死亡した」と主張しています。
これについて、ヨルダン軍の当局者はNHKの取材に対し、「今のところそうした情報はない」としたうえで、「作戦の詳細については一両日中に記者会見で発表する予定だ」と述べました。
「イスラム国」としては、ヨルダン軍の攻撃でアメリカ人が死亡したと主張することで、軍事作戦で連携を強めるアメリカとヨルダンの両政府をけん制しようとしているものとみられます。
おととし拘束の26歳女性か
イスラム過激派組織「イスラム国」に拘束されているアメリカ人が、ヨルダン軍の空爆によって死亡したと「イスラム国」側が主張していることについて、アメリカのライス大統領補佐官は6日、「情報を深く懸念している。今のところ、『イスラム国』の主張を裏付ける証拠は目にしていない」と述べ、情報の確認を急ぐ考えを示しました。
また、アメリカ国務省のハーフ副報道官は6日の記者会見で「『イスラム国』に拘束されているアメリカ人を含め、すべてのアメリカ人の解放のため情報収集や外交努力などあらゆる手を尽くす」と述べ、拘束されたアメリカ人の解放に向け、全力を挙げる考えを強調しました。
アメリカ政府は、イスラム国に拘束されているアメリカ人について、名前や年齢など詳しい情報を明らかにしていません。
これについてアメリカの複数のメディアは、拘束されているのはおととし8月にシリアで拘束された26歳の女性で、人道支援活動を行っていたと報じています。