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二転、三転した安倍首相の人道援助発言


 今度の安倍首相の中東外遊は、様々な観点から疑問が提起されることになったが、その中でも、最も議論を呼んだのが人道援助演説である。

 つまり人道援助がテロリストに敵意を抱かせたかどうかについてである。

 この点に関し、きょう発売の週刊ポストが次のように時系列に検証している。

 まず「日本はイスラム国のはるか前から中東諸国に人道援助の無償資金協力やインフラ整備をしてきた」という指摘だ。

 これはその通りであって、安倍首相の中東訪問を検討はじめた当初は、人道援助はこの本来の人道援助が念頭にあったと私は思っている。

 しかし、中東訪問の議論の過程で、あるいは外務官僚が、あるいは安倍首相自身が自ら判断して、「イスラム国対策のパフォーマンス」のために、エジプトでの演説で、人道援助を有志連合支援と関連づけたのだ。

 週刊ポストは続ける。

 「慌てたのは自らの勇ましい発言を逆手に取られた安倍首相自身だ。イスラム国の身代金要求後に行ったイスラエルでの会見では、『2億ドルの支援は、地域で家をなくしたり、避難民となっている人たちを救うため、食料や医療サービスを提供する人道支援です』と非軍事面の援助である事を強調して、『イスラム国との戦い』をひっこめた」

 その通りである。

 そして安倍首相はさらに三転する。

 これを週刊ポストの記事はこう解説して見せる。

 「ところが、である。安倍首相は人質が殺害された途端にまた主張を変えた。首相声明に『罪を償わさせるために人道支援をする』と盛り込んだことで、日本の中東人道支援はイスラム国との戦いの一環であることを明確に位置づけたのである・・・この方針転換で・・・現地で活動する日本人の危険性が一層高まった・・・」

 これもその通りだ。

 そしてこれからさらに四転する可能性すらあると私は思っている。

 つまり、邦人を危機に陥れて巻き添えにするなという批判が強くなれば、いや、これは本当に人道援助だけに使われる援助だ、と言い出しかねない。

 このブレこそ安倍首相の不甲斐なさ、覚悟のなさだ。

 もっとも非難されなければいけないところだ。

 週刊ポスト紙でさえここまで検証できるのだ。

 野党は国会で徹底した証拠を提示して、安倍首相が逃げられないような追及をしなければウソだ。

 そしてその追及は政局がらみに終始してはいけない。

 日本と国民の平和と安全がかかっている、極めて重要な追及なのである(了)

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