街角の景況感が好転する兆しが出てきた。9日発表した1月の景気ウオッチャー調査では、景況感の先行きを示す指数が前月比3.3ポイント高い50.0と、2カ月続けて上昇した。ガソリン価格の値下がりや今春の賃上げ期待で、家計の消費が上向きになるとの見方がある。
内閣府はスーパーの担当者やタクシー運転手ら街角の景気ウオッチャーから聞き取った景況感を指数化している。2~3カ月先の景気をみる先行き判断指数が節目である50以上になったのは、50.4をつけた2014年8月以来だ。消費増税後の景気回復が遅れて指数は11月には44.0まで落ち込んでいた。
明るさが出てきた要因の一つが、雇用と所得が安定して消費者が使うお金が増えることへの期待だ。「実質所得の増加で花見のころには明るいムードが広がる」(近畿・スーパー)、「今春の賃上げは良い方向で決着しそう」(中国・繊維工業)などの声が出た。
原油安もプラスだ。「燃料価格の下落は良い傾向」(北陸・輸送業)などと歓迎する声がある。円安で「生産の国内回帰が拡大し、設備投資まで発展する可能性がある」(九州・金属製品製造業)との期待もあった。
もっとも景況感の改善は緩やかだ。足元の景況感を示す現状判断指数については、15年1月は45.6と前月から0.4ポイントの上昇と、2カ月続けて上がったものの改善幅は小さい。円安で食料品や原材料が値上がりして「消費者の節約志向が強く、購入点数が減っている」(東北・スーパー)ことなどが原因だ。
内閣府が同日発表した消費者心理を示す1月の消費者態度指数も39.1と、前月比で0.3ポイントの小幅な上昇にとどまる。景況感の改善に勢いが出てくるかどうかは、今春の春季労使交渉による賃上げが地方や中小企業も含めてどこまで広がるかにかかってきそうだ。
景気ウオッチャー調査、ガソリン価格