対象サービスとハードウェア:グーグル Gmail、PC(Windows/Mac OS X/Linuxなど)、Androidスマートフォン/タブレット、iPhone/iPad/iPod touch
Gmailを利用できるのはWebブラウザーやスマートフォン/タブレット用Gmailアプリだけではない。Windows/Mac OS X/Linuxなどで従来から使われているPOP/IMAP/SMTP対応のメーラー(メールクライアント)でも、Gmailに接続して利用できる。
しかし、他のメールサーバーの場合と同様に、メーラーに対してGmail用のアカウント名とパスワードを正しく設定しても、次のようなエラーメッセージが表示されてメールの送受信ができないことがある。
■Windows Liveメール2012の例
■Outlook 2013の例
■iPod touch(iOS 6)の標準メールアプリの例
このとき、Web版Gmailやモバイル用Gmailアプリでは、全く同じアカウント名とパスワードでログインおよびメール送受信が可能だ。またiPhone/iPad/Android OSなどのスマートフォン/タブレットでも、グーグル以外のベンダーから提供されているメーラーでは同様のエラーが発生することがある。
この現象は、実はグーグルの「強固な」セキュリティ機能によって生じている可能性がある。本稿ではその対策を説明する。
以下では、PC版Webブラウザーを前提にGmailやGoogleアカウントの設定手順を説明している。スマートフォン/タブレットで同じ設定をするには、右側の関連記事を参考にして、PC版の設定ページを開いてから操作をしていただきたい。
まずPCのWebブラウザーを使って、前述のエラーが発生しているアカウントでグーグルにログインし、次のアカウント設定ページを開く。
ここで「ログイン」枠に[安全性の低いアプリのアクセス]が存在していて、かつ[ブロック]に設定されていたら、以下の手順で[許可]に変更する。
以上で設定作業は完了だ。再度、エラーが発生しているメーラーからGmailに接続してメールの送受信を試してみよう。もし成功したら、上記の設定が原因だったということだ。だが、「安全性の低いアプリのアクセス」とは、どういう意味だろうか?
グーグルは、IMAPやPOP、SMTPでGmailにアクセスするときの認証方式として、比較的新しい「OAuth 2.0」を推進している。
実際、同社は2014年7月より、OAuth 2.0に対応していないメーラーからのアクセスを「安全性の低いアプリのアクセス」と見なすようにグーグルのサーバーの設定を変更した。
グーグル提供のサービス/アプリはいずれもOAuth 2.0に対応している。だが、その他のベンダーのメーラーでは、OAuth 2.0対応はあまり進んでいない。特にWindowsデスクトップ向けはその傾向が強く、大半のメーラーからのアクセスが「安全性の低いアプリのアクセス」と判定される、と考えた方がよい。
Googleアカウントを2014年7月以降に作成した場合、デフォルトで前述の[安全性の低いアプリのアクセス]が[ブロック]、すなわち旧来のメーラーからのアクセスをデフォルトでブロックするように設定される。明示的に[許可]するまでアクセスできないので、特に注意が必要だ。
一方、2014年7月より前に作成したGoogleアカウントでメーラーを使い続けてきた場合は、自動的に[安全性の低いアプリのアクセス]が[許可]されているため、そのまま引き続きメーラーを利用できる。
本文に記したように、グーグル提供のサービスおよびアプリはすでにOAuth 2.0に対応している。ではその他のベンダーから提供されているメーラーはどうなっているのか? 実際に[安全性の低いアプリのアクセス]を[ブロック]にしたままアクセス可能かどうか試したところ、以下のメーラーはアクセスできた。
一方、以下のメーラーではアクセスできなかった。
Googleアカウントの2段階認証を有効化している場合、OAuth 2.0に対応していない旧来のメーラーには、Googleアカウント自身のパスワードではなく、「アプリパスワード(アプリケーション固有パスワード)」を指定する必要がある。
それには、PC版WebブラウザーでGoogleアカウントの設定ページを開き、「ログイン」−[アプリ パスワード]をクリックして、アプリパスワードを新たに生成して、それをメーラーのパスワード欄に記入する。Googleアカウントの2段階認証の詳細については、右上の関連記事を参照していただきたい。
メーラーからGmailにアクセスするには、Gmail側でIMAPまたはPOPによるアクセスを許可する必要がある。具体的には、PC版WebブラウザーでGmailの設定ページの[メール転送とPOP/IMAP]タブを開き、以下のように設定されていることを確認する。
グーグルは、Googleアカウントへのアクセス状況などをチェックして、何らかのセキュリティ上の危険性があると判断した場合、そのアカウントへのアクセスをブロックすることがある。このとき、当然ながらGmailへのアクセスも禁止され、メーラーによるメールの送受信もできなくなる。
このブロックを解除するには、次のWebページを開いてグーグルにログインし、[次へ]ボタンを押す。
ただし、ブロックされた原因を解消しないと、またブロックされる可能性がある。例えば次のような点に注意したい。
その他にも、メーラーによる新着メールのチェック間隔が10分以内だと、ブロックされる場合があるとのことだ。
メーラーに設定したアカウント名とパスワードが正しくても、メールサーバーの名前や通信ポート番号、SSLや認証のオン/オフといった接続のための設定が間違っていたら、やはりメールの送受信には失敗する(ただし、この場合は認証のエラーではなくタイムアウトのエラーが発生することが多いはずだ)。
Gmailのメールサーバーへの接続設定を以下にまとめてみた。
| 設定項目 | 設定内容 |
|---|---|
| サーバー名 | imap.gmail.com |
| 通信ポート番号 | 993 |
| 暗号化の種類 | 「SSL」を含む選択肢を選ぶ(「STARTTLS」は不可) |
| セキュリティで保護されたパスワード認証 (SPA) に対応 | いいえ(オフにする) |
| GmailのIMAPサーバー(受信サーバー)への接続設定 | |
| 設定項目 | 設定内容 |
|---|---|
| サーバー名 | pop.gmail.com |
| 通信ポート番号 | 995 |
| 暗号化の種類 | 「SSL」を含む選択肢を選ぶ(「STARTTLS」は不可) |
| セキュリティで保護されたパスワード認証 (SPA) に対応 | いいえ(オフにする) |
| GmailのPOPサーバー(受信サーバー)への接続設定 | |
| 設定項目 | 設定内容 |
|---|---|
| サーバー名 | smtp.gmail.com |
| 通信ポート番号と暗号化の種類 | 「587」と「TLS」(STARTTLS)、 または「465」と「SSL」 |
| 認証が必要 | はい(オンにする) |
| セキュリティで保護されたパスワード認証 (SPA) に対応 | いいえ(オフにする) |
| GmailのSMTPサーバー(送信サーバー)への接続設定 | |
主要なメーラーでの接続設定は、次のGmailのヘルプページにまとまっている。
■更新履歴
【2015/01/27】Gmailのメールサーバーとの接続設定について追記しました。また主要なメーラーのOAuth 2.0対応を更新しました。スクリーンショットを最新のものに差し替えました。
【2014/09/03】初版公開。
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