@anpan_2634 お返事です


「良い写真」「上手い写真」、これを定義することは実のところ難しいですね。
しかし、「下手な写真」を定義することは簡単なんです。
「何撮っているか分からない」写真です。
もう一つ視点を変えて言うのなら、プロの写真とアマチュアの写真って決定的な違いがあるんです。
それはプロの写真は強烈なメッセージ性があるのに対して、アマチュアの写真って「何を伝えたいか分からない」という特徴があります。
写真ではないですが動画も同じです。
Youtubeには多数の鉄道PVが出ていますが、プロが作ったCMなどの映像と、アマチュアの映像にも決定的な違いがあります。
こちらも同様にアマチュアの映像って何を伝えたいのか分からないという特徴があります。
たしかにきれいな映像でも、その映像で何を伝えたいのかがさっぱりわからない、自己満足になっててるのがアマチュアの特徴です。
例えばJR東日本 20周年 新幹線YEAR キャンペーンCMを真似た映像もYoutubeには多数あります。
これらのアマチュア映像の殆どはただ新幹線の映像が延々と続くだけで、そこで何を伝えたいのかと言うメッセージが全くありません。
一方本家のCM、すなわちプロの映像にはしばし、人の姿が入っていますよね。
東京駅の乗降の人、見送っている子供、車内で本を読む人、雪かきをする人、農家の人、帰宅途中の女子高生、待合室で寝ている人、この映像の意味は何だと思いますか?
これ、要するにJR東日本は皆様の生活を支えている、皆様と共に歩んだJR東日本というメッセージですよね。
JR東日本 新幹線YEAR2012キャンペーンCM は更にインパクトが強く、新幹線と映っている写真を募集して、それを次々に映し出して、最後は若いカップルの写真をオーバーラップさ

せてそのカップルがおじいさんおばあさんになってい周りを孫に囲まれている・・・
これはすなわち、新幹線は皆さんの人生とともに歩んできたというメッセージですよね。
こういうメッセージ性のある映像ってすごく感動するんですよ。
対してアマチュアのPVってただ列車の映像が連続しているだけでどこにもメッセージがないという特徴があります。

写真も同じだと思います。
プロの写真ってそこに何を伝えたいのかといメッセージが強烈に含まれているというのが特徴です。
(ジャンルによるところもあ有りますが)
でも、アマチュアの写真って綺麗なんだけど何を伝えたいのかが全く分からないという特徴があります。
私も仕事でローカル線沿線のアマチュアなどから画像を借りるケースがありますが、正直ほぼぼぼ使い物になりません。
鉄道会社の方などからご紹介受けてアマチュアの方から画像提供いただいても、綺麗な写真なんですが、全くメッセージがないんです。
メディアで沿線紹介をするので3ショットほど掲載したいと。
それで画像を求めても、どれもこれも綺麗なんですが、見た人が行ってみたいという写真って全くないんです。
例えば「車窓の風景がきれいだ」というのなら、山をバックに入れた列車の写真って何の意味もないんですよ。
だってそれ車窓じゃないでしょ。
それより、窓越しの風景が映っていて、たまたま観光に来たおばさまがたが満面の笑みを浮かべているとか、そういう写真の方が見た人が「素敵な風景だな」「楽しそうだな」と感じや

すいですよね。
分かりやすいたとえだと、津軽鉄道で一枚だけベストショットを出すのなら、列車の形式写真より、車内のダルマストーブでおぱぁさんがスルメ焼いている方が、「津軽鉄道」がどうい

う鉄道かというメッセージが伝わりますよね。
でも、アマチュアって意外にもそういう写真撮れる人が少ないんです。
大抵出てくる写真はカメラ雑誌の作例写真はかりです。

例を出していないとのことですが、そんなことは無く、「アラーキー」の例を出しましたよね。
https://twitter.com/spkgo/status/564349555580211201
この写真家の方、存知です?
この方「天才アラーキー」と呼ばれるほど強烈なメッセージ性を持っているカメラマンです、天才と言われる所以です。
このアラーキーささんは「チロ」という猫を飼っていましたが死んでしまいます。
その死までの数か月を写した写真集があります。
最愛の猫が痩せこけてしまい、最後は死んでしまう・・・
でもその途中途中に裸の女性の写真が度々出てくるんです。
この写真集を見たとき、私はそれがどういう意図なのかさっぱりわかりませんでした。
でも、その意味が分かったとき…私は号泣しました。
今キーボードに打ち込んでいるときも、思い出すと目元がウルウルします。
それほど強烈なメッセージ性をアラーキーは持っているんですね。
それがどういう意味が・・・あなたも分かるまで見てみることをお勧めします。
最も写真のメッセージを感じるためにはある程度の予備知識は必要なので、アラーキーを知らないと感じないかもしれません。
私の知り合いでも盆栽専門カメラマンがいますが、私は盆栽の知識がないのでいくら見ても感じないですが。

ところで、アマチュアカメラマンの会合とかに出ると皆んな機材のことばかり話すんですよね。
測光方式が、連写性能が、画素数が、レンズの描写がetc
でも、プロカメラマンの集まりに出ると、まず機材の話って出ないですね。
みんな写真に対する「世界」とか「こだわり」の話ばかりします。
つまり、作品に対するこだわりや世界観を持っていない人は機材の話ばかりするんです。
しかし、世界観持っている人なら、機材なんてどうでも良いんですよ。
ですからアラーキーは青春18切符のポスターをどんなカメラで撮影したと思いますか?
コニカビッグミニという何の変哲もないポケットカメラで撮影しています。
強烈な世界観とメッセージがあれば、機材なんで腕もいい証拠です。
「あのカメラじゃなければ」「あのレンズじゃなければ」と言っているのは世界観も作品のバリエーションもない下手くそなカメラマンだと私は思いますね。
面白い実験映像があります。
「VOGUE」という世界的に有名なファッション雑誌のカメラマンが、アンパンマンのおもちゃカメラで撮影するとどうなるのかという実験です。
http://youpouch.com/2015/01/02/244638/
全然仕事になるレベルの写真が撮れるわけです。

あなたの提示された写真もどれも綺麗な写真だと思います。
でも、残念ながらそこにメッセージが感じません。
あなた自身、どういうメッセージを込めてシャッターを切ったか説明できますか?
例えばタブレットの写真も、鉄オタなら何となく何撮ったかはわかります。
でも、そのタブレットをなぜ撮ったのかわかりません。
何となく流して、何となくかっこいい写真・・・そこを出ていないような気がします。
ピントが合っている、露出があっているなんていまではカメラ任せでかなり完成度が高いものができるんですから、ピントたとか露出だとかは上手いの要素に含まないと思いますね。
けど、どういう絵を切り抜いて、どういう瞬間にシャッターを切って、そこにどんなメッセージを含ませるかは、今のところのテクノロジーでは実現できません。
これだけ誰でもきれいな写真が撮れる時代になったからこそ、そこにどんなメッセージを入れるのかというカメラマンのセンスはより一層とわれると思いますね。

最後に・・・
私、一応プロカメラマンなんですけどね。
最近は撮影の仕事全くしていないですが、昔は情報誌とかグラビア誌とかやっていましたけどね。
その経験に基づきお話しさせてもらいました。




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