経費だけが節税じゃない!フリーランスなら知らないと損する所得控除一覧
はじめに
フリーランスーーーその自由な働き方に憧れを抱く方も多いでしょう。ですが、自由な働き方とは裏腹に責任や義務も多く、その一つが「確定申告」です。
「また確定申告か…」「確定申告って複雑…」そう感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、だからといって適当にやっていると、思わぬところで実害を被ってしまうかもしれません。違反すればペナルティがあったり、知るべき情報を知らずにいると損をしてしまいます。
経費だけが節税ではありません。今回ご紹介するのは、まさに、知らないと損をする「所得控除」です。
所得控除とは何か
所得控除とは、「所得税額や住民税額を計算するときに、所得から差し引くことが出来て、課税されないもの」です。
所得控除による節税
所得税の計算式は以下の通りです。
所得税 = ( 売上 ー 経費 ー 所得控除 ) × 所得税率
所得から経費および所得控除を引いたものが課税額であり、その課税額に所得税率をかけたものが所得税です。経費だけでなく、所得控除が大きければ、納税額は下がります。
フリーランスは自分で申告を
給与所得者は、特別な場合に該当しない限り、確定申告する必要はありません。
一方、フリーランスの場合、自ら毎年3月締切の確定申告の際に、所得控除を申告しなければ控除されません。
知らないと損する所得控除一覧
以下にて、所得控除の項目別に制度概要と控除金額をまとめました。また控除の手続方法についても、特別な場合のみ記載します(基本的には確定申告書Bに控除額を記載して提出すれば済むケースが多いです)。詳細は下記のリンクを参考にして下さい。
基礎控除
基礎控除とは、他の所得控除と違い、収入がある人なら無条件に受けられる所得控除です。控除金額は、一律38万円です。
配偶者控除
配偶者控除とは、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に受けられる一定の金額の所得控除のことです。
控除金額は、一般の控除対象配偶者は38万円、老人控除対象配偶者は48万円です。
配偶者特別控除
配偶者特別控除とは、配偶者に38万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときに、配偶者の所得金額に応じて受けられる、一定の金額の所得控除です。控除金額の最高額は38万円です。
扶養控除
扶養控除とは、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合に受けられる、一定の金額の所得控除です。
控除金額は、一般の控除対象扶養親族だと38万円ですが、扶養親族の年齢等によって異なります。
勤労学生控除
勤労学生控除とは、納税者が所得税法上の勤労学生に当てはまる場合に受けられる所得控除です。
控除金額は、一律27万円になります。
寡婦控除
寡婦控除とは、女性の納税者が所得税法上の寡婦に当てはまる場合に受けられる所得控除です。
控除金額は基本的には、27万円です。ただし、「特定の寡婦」に該当する場合は35万円になります。
寡夫控除
寡夫控除とは、男性の納税者が所得税法上の寡夫に当てはまる場合に受けられる所得控除です。
控除金額は、一律27万円になります。
障害者控除
障害者控除とは、納税者自身又は控除対象配偶者や扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合に受けられる、一定の金額の所得控除です。
控除金額は障害者一名につき27万円で、特別障害者に該当する場合は40万円です。また控除対象配偶者又は扶養親族が特別障害者に該当し、かつ、納税者又は納税者の配偶者若しくは納税者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている場合は75万円です。
医療費控除
医療費控除とは、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合に受けられる一定の金額の所得控除です。
控除金額は、下記の計算式から導き出されます。
医療費控除金額 = (実際に支払った医療費の合計額 ー 保険金などで補てんされる金額) ー 10万円
手続方法ですが、医療費控除に関する事項を記載した確定申告書を所轄税務署長に対して提出し、医療費の支出を証明する書類(領収書など)については確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示します。
社会保険料控除
社会保険料控除とは、納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合又は給与から控除される場合などに受けられる所得控除です。
控除金額は、年間支払保険料の合計額によって異なります。
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除とは、納税者が小規模企業共済法に規定する共済契約の掛金、確定拠出年金法に規定する個人型年金の加入者掛金及び心身障害者扶養共済制度の掛金を支払った場合に受けられる所得控除です。
控除金額は、年間で支払った掛金の全額になります。
手続方法ですが、確定申告書の小規模企業共済等掛金控除の欄に記入し、支払った掛金の証明書を確定申告書に添付するか、申告の際に提示します。
生命保険料控除
生命保険料控除とは、納税者が一定の生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合に受けられる、一定の金額の所得控除です。
控除金額は、年間支払保険料の合計額によって異なります。
手続き方法ですが、確定申告書の生命保険料控除の欄に記入し、支払金額や控除を受けられることを証明する書類を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示します(平成23年12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)等で、年間保険料が9千円以下のものと年末調整の際に控除を受けたものはその必要がありません) 。
地震保険料控除
地震保険料控除とは、納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料や掛金を支払った場合に受けることができる、一定の金額の所得控除です。
控除金額は、年間支払保険料の合計額によって異なります。
手続方法ですが、確定申告書に地震保険料控除に関する事項を記載し、支払金額や控除を受けられることを証明する書類を確定申告書に添付するか、申告の際に提示します。
雑損控除
雑損控除とは、災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができる控除です。
控除金額については、複雑ですので、国税庁のHPをご参考下さい。
手続方法ですが、確定申告書に雑損控除に関する事項を記載し、災害関連支出の金額の領収を証する書類を添付するか、申告の際に提示します。
寄付金控除
寄付金控除とは、納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合に受けられる所得控除です。
控除金額は、次のいずれか低い金額から2,000円を引いた金額です。
- その年に支出した特定寄附金の額の合計額
- その年の総所得金額等の40%相当額
青色申告特別控除
青色申告特別控除とは、青色申告者に対して特典として与えられる所得控除です。
控除金額は、65万円または10万円です。
おわりに
以上にて、フリーランスが使える所得控除をご紹介いたしました。
確定申告については税理士ドットコムトピックスが配信する記事、「締切直前に慌てないために・・・今から準備すべき「確定申告」のポイント<税理士ドットコム>」を併せてご参考いただけるとより理解が深まります。
税理士ドットコムでは引き続き、税理士が監修するハウツー記事を提供していきます。税理士ドットコムをご活用いただき、正しく得する節税方法を学んでください。