DNA解析のクオンタム:ジャフコなど5社から資金調達-18年上場も
(ブルームバーグ):大阪大学発のスタートアップ企業で、次世代ゲノム解析装置の開発を進めるクオンタムバイオシステムズ(大阪府淀川区)は、ジャフコや産業革新機構、みずほキャピタルなど5社から総額24億円の資金を調達した。事情を知る関係者がブルームバーグ・ニュースの取材に明らかにした。
関係者によると、出資したのはほかに東京大学エッジキャピタル(UTEC)と三菱UFJキャピタルで、数日中に発表する見通し。今後2、3年をかけて基礎研究をさらに進め、シリコンバレーに研究チームを組織し、製品の完成度を向上させる。2017年の商業化をめざす。
マッキンゼー・アンド・カンパニーのリサーチ研究所が13年5月に発表した「破壊的テクノロジー:ライフとビジネス、世界経済を変換する革新」と題する報告書では、ヒトのゲノムを数時間で1000ドル(約12万円)で解読できるテクノロジーが今後数年で現れるだろうと述べている。ヒトのゲノムは03年に世界で初めて全て解読されたが、13年の年月と約30億ドルのコストがかかった。
クオンタムバイオが取り組んでいる技術は、ゲーティング・ナノポア法と呼ばれ、高速で低価格ないわゆる第4世代シーケンサー(解析装置)。ナノ流路にDNAを1分子流し、塩基ごとのトンネル電流の違いを識別して配列を解読する手法だ。
医療や農業に光も同社共同創業者で最高経営責任者の本蔵俊彦氏は1月19日、ブルームバーグ・ニュースのインタビューで、「この技術が製品化できれば、ヒトが持つがんなどの疾患リスクを知ること以外にも、個々のヒトゲノムを分析し、個人に最適な抗がん剤の組み合わせを可能にできる」と述べた。「土中のバクテリアの遺伝子を低価格・高速に解読できれば、その土地土地の最適な農産物の栽培方法や種類などを事前に知ることができるだろう」という。
クオンタムバイオシステムズによると、DNAシーケンサー開発ではこれまでに、スイスの製薬会社ロシュや遺伝子解析技術の開発などを手掛ける米イルミナ社が、第2世代の技術を実用化。第3世代の技術は米パシフィック・バイオサイエンシズなどが開発。第4世代の技術開発に、クオンタムバイオや英国のオックスフォード大学から派生したオックスフォード・ナノポア・テクノロジー社などが取り組んでいる。
本蔵氏は01年に東大大学院で理学系研究科化学専攻の修士課程を修了。バイオセクターの証券アナリストを経て、05年にマッキンゼーに入社し製薬会社を中心とした戦略立案に従事。11年に産業革新機構に移り、投資戦略チームでライフサイエンス領域を担当。13年1月にクオンタムバイオシステムズを設立した。
同社は昨年2月に、ジャフコやみずほキャピタルなどから総額4億5000万円の資金調達を行った。本蔵氏によると、クオンタムバイオは18年ごろに米国または日本での株式上場を目指している。今回の資金調達に関して、各社広報担当者はコメントを控えている。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 佐藤茂 ssato10@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: Ben Scent bscent@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 谷合謙三, 淡路毅
更新日時: 2015/02/08 02:00 JST