この3年間、平昌冬季五輪を開催するため新設される6カ所の競技場を巡って雑音が絶えなかった。政府と平昌五輪組織委員会・江原道が予算問題などで足並みがそろわず着工が遅れた上、昨年末には国際オリンピック委員会(IOC)が提案した「分散開催」問題で大きな山にぶつかった。IOCが分散開催の意向を撤回して議論は一段落したが、まだ越えなければならない山は多い。
■「テストイベントは問題ない」というが…
江原道江陵市に建てられる鏡浦スピードスケート競技場は、新設競技場の中で最も遅い昨年10月に工事が始まった。工期短縮のためさまざまな方法が動員された。「緊急入札」方式で通常約3カ月かかる入札過程を2週間に縮めた。設計が終わってから着工するのが一般的だが、設計と同時に整地などの土木工事を同時進行させている。
工事を急いでいるのは、「テストイベント」の日程に合わせるためだ。五輪開催地は開催1年前に競技場施設や運営状況をチェックするため、開催地の競技場でテストイベントを行わなければならない。平昌の場合2017年2月に全種目のテストイベントを行うことになっている。
工事は一見、順調そうに見える。設計は41%、土木工事は58%が完了し、全体の工程率は6%に達する。江原道と組織委員会は、「現在の状況なら17年2月の完工が可能で、テストイベント日程にギリギリ間に合わせられる」と話す。
ほかの新設競技場5ヵ所は日程通りに行けば16年10-11月に完成する見通しだ。しかし、これは今後、ほかの外部的な要因など不測の事態が発生しなければの話だ。大会開催に必要な最小限の工事期間、つまり「絶対工期」しかない「がけっぷちの状況」なのだ。
ソウル市立大学建築学部のイ・チュンギ教授は「頻繁な豪雨や大雪などで工期が伸びた場合に備えて、『プランB』も用意しなければならない」と語った。