ママの会:流産や死産、天使のゆりかごで「お別れを」

毎日新聞 2015年02月09日 10時31分(最終更新 02月09日 13時26分)

「天使のゆりかご」を持つ黒木さん=宮崎市で
「天使のゆりかご」を持つ黒木さん=宮崎市で

 宮崎市の女性グループ「宮崎天使ママの会」が、流産や死産の赤ちゃんを見送る時のために、ひつぎ代わりのかごや肌着、おくるみをセットで提供している。亡くなった赤ちゃんが病院で段ボールに入れられたり、病院側から入れ物を買ってくるよう言われたりした母親の体験談から生まれたアイデア。代表の黒木啓子さん(46)は「流産や死産はつらく忘れられない体験。乗り越えるために、きちんとお別れをする時の助けになれば」と話している。【中村清雅】

 会は、流産や死産を経験した女性同士が話し合う場をつくろうと2006年に発足。同じ経験をした女性からの相談に電話やメールで応じている。

 会の話し合いの中で、ある女性が病院側から100円ショップで赤ちゃんを入れる物を買ってくるように言われた話を打ち明け、「私の赤ちゃんは100円の価値なのか」と涙を流したことがあった。「病院が亡くなった赤ちゃんを段ボールに入れた」との話も出た。黒木さん自身も05年に妊娠8カ月の娘を死産した際、看護師に「自分で(赤ちゃんが入るものを)用意しないと薬の空き箱に入れる」と言われた経験があった。葬儀社に連絡して子供用のひつぎを用意したが、「薬の空き箱」と言った病院にわだかまりが残った。

 黒木さんは13年末、「自前で作れないか」と手芸の得意な友人に相談。手芸用の紙製バンドでかごを作る案を思いつき、長さ22〜40センチ、幅15〜24センチの3種類のかごを作った。友人は「蓋(ふた)をしないかごなら最後まで赤ちゃんの顔も見られる。かわいくして見送ってほしいので、色も明るくした」と話す。

 大きさの違う5種類の肌着やおくるみも作った。このセットを「天使のゆりかご」と名付け昨夏から会のホームページを通して実費(800〜1000円)で提供を始めた。これまでに約30セットを提供し、利用者から「いいお見送りができた」「最後にかわいい服を着せられてよかった」と感謝の言葉が寄せられている。

 提供は原則宮崎県内に限っているが、他県でも活動が広がるようサンプルを積極的に提供する方針だ。会は0985・39・1217。

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