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「ナッツリターン」が示した壁 輝き薄れる韓国
編集委員 後藤康浩

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2015/2/8 7:00
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 韓国の輝きが急速に薄れている。経済の顔ともいえるサムスン電子の業績に急ブレーキがかかり、「ナッツリターン」など財閥による寡占や世襲の問題も深刻さを増している。高校生ら295人が亡くなったセウォル号事件や列車事故、軍装備の不正など様々な安全問題、不正も続々、噴出している。所得格差も広がり、社会全体に閉塞感が漂う。せっかく誘致した2018年の平昌冬季五輪も開催できるのか不安を解消できないままだ。

■中途半端に終わった財閥解体

「ナッツリターン」の趙一族
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「ナッツリターン」の趙一族

 振り返れば、韓国の輝きは1997~98年に国際通貨基金(IMF)に支援を求めた「IMF危機」で国民や産業界が覚醒し、もたらされた。危機が国や企業を変えたわけだが、成功に安住すれば別の問題が発生する。韓国はIMF危機で財閥の解体、改革に乗り出したが、中途半端に終わった結果、財閥の寡占度はかつて以上に高まり、弊害はより深刻な形で噴出している。

 あらゆる業種に財閥が手を出し、資本力を武器にするため、中小、中堅企業が圧迫され、伸びにくい。日本に多い特殊分野で圧倒的な技術、商品を持つ「グローバルニッチ」型の中小企業は韓国にはほとんど見当たらないのが現状だ。雇用の90%近くを創出する中小企業の停滞は雇用情勢を悪化させ、消費の低迷にもつながる。

 財閥は世襲が多いため、ガバナンスに問題が生じやすく、経営トップの劣化も招く。ナッツリターンの大韓航空は氷山の一角にすぎない。世襲のための相続対策ではサムスンに大きな問題が生じ、李健熙会長は国民の痛烈な批判を浴びた。独裁的なオーナー経営は意思決定の迅速性、大胆さにつながり、成功するケースも多いが、経営トップの能力が低ければ、単なる冒険や危険なかけになってしまう。

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