「マグロさんがんばれ」葛西臨海水族園に子供たちから激励メッセージ
マグロさん、頑張って―。葛西臨海水族園(東京都江戸川区)の水槽で、昨年12月下旬からクロマグロが大量死し、現在3匹だけとなった問題で、子供らから同園に、多くの激励の手紙やイラストが届いている。園によると、手紙などは1月20日にクロマグロが3匹に減ってから、次々と届くようになり、中には折り紙でたくさんの魚を折って千羽鶴のように束ねた“千尾マグロ”もあった。(江畑 康二郎)
「まぐろさん、かつおさん、だいじょうぶですか。おうえんしていますから、まぐろさんやかつおさんもなくなんないようにがんばってください。 かさいりんかいすいぞくえんのみなさまへ」
都内の小1男児から送られたA4サイズの用紙には、鉛筆で背びれや胸びれがしっかりと描かれたマグロとカツオのイラストとともに、けなげに心配する気持ちが丁寧につづられていた。
水族園では、昨年11月1日の時点で69匹飼育していたクロマグロが12月下旬以降、相次いで死んでいった。同じ水槽に飼育していたハガツオ38匹やスマ52匹は1月に全滅。開園25年で、初めて遭遇する異常事態は全国的なニュースとなった。
募金申し出も 1月20日にクロマグロがついに3匹となり、全滅危機に瀕(ひん)すると、同園に激励の手紙などが届くようになった。クレヨンで描いた4歳児のマグロの絵や、「新たな営みが見られますように」と願う千葉県在住の女性からの桜型のカード。学生から募金活動の申し出もあった。
1月末に訪れたある母娘は、さまざまな色の折り紙で折ったマグロを千羽鶴のようにひもでまとめた“千尾マグロ”を職員に手渡した。「何で死んじゃったんですか」という女の子の問いに、職員が「今調べているところなの。ごめんね」と答えると寂しそうにうなずいたという。
毎日のように減っていったクロマグロは、全国からの応援が届き始めたのと呼応するように、3匹のまま20日間持ちこたえている(8日午後4時半現在)。しかし、本来群れでゆったりと回遊するクロマグロは、ストレスからか食欲が減退。2200トンの大水槽を持て余し、落ち着かない様子で小さくクルクルと周りながら泳いでいる。
昨年12月下旬から複数の研究機関で病理検査を行い、死んだクロマグロやスマの脾臓(ひぞう)からウイルスが検出されたが、いまだに病原性かどうか特定できていていない。同園広報担当者は「水槽の前で少女が『がんばれ』と書かれたプラカードをかざす姿を見て本当に申し訳ないと思いました。残った3匹だけでも何とかしたい」と苦しい胸中を明かした。