ジャパンビバレッジは1台の自販機に複数のメーカーの商品を扱う混載機が主力となっている。混載機では、売れない自社製品を並べるよりも他社製品を並べることで徴収する“場所代”の方がもうかる。つまり、JTは昨夏の時点で既に自社製品を売ることを半ば諦めていたのだ。結果は数字に表れ、昨年7月の自社製品の販売数量が前年比92%であったのに対し、8月は81%に低下。今年1月には73%にまで落ち込んでいた。
出資合戦の様相も
「どこがジャパンビバレッジと組むのか」──。発表当日、ライバルメーカー幹部の関心は、この一点に集中した。JTの飲料撤退に伴い、ジャパンビバレッジ(JTの出資比率は66.7%)を売却するとの観測が広がったのだ。JT幹部は「既に買収、出資の申し込みが殺到している」と話す。
かねて、ジャパンビバレッジは飲料業界再編の核となると目されてきた。主要株主であるサントリー食品インターナショナル、キリンビバレッジのほか、収益性の高い自販機26万台を狙って、第三極も加わった出資合戦となる可能性もある。
折しも、大塚食品が提携相手をネスレからアサヒ飲料へと組み替えるなど、飲料業界の再編機運は高まっている。JTの飲料撤退を契機に、長らくくすぶり続けてきた飲料業界の再編ドミノがいよいよ始まりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 泉 秀一)