経費の支払いでクレジットカードを使いたい!という方にとってお薦めの法人向けクレジットカード。
主に個人事業主や株式会社社長向けのこのカードについて、今回は徹底的に解説していってみたいと思います。仕事でクレジットカードを使うのなら是非、この機会に作成を検討してみてくださいね。
法人向けクレジットカードとは?
まず、法人向けクレジットカードとは何かというと、まぁこれはその名の通り、法人(株式会社や有限会社)向けに作られたクレジットカードのこと。
法人カード、コーポレートカード、ビジネスカードなど、カードを発行している会社やそのサービス内容によって呼び名は異なります*1。
個人事業主でも、ただのサラリーマンでも作成できる:
最近では、法人格を持たない個人事業主でも作成できる法人カードも増加中。
更に事業すら開業していないただの社会人でも作れるビジネスカード…なんていうのも増えてきているので、もはや『社長じゃないと持てないカード=法人カード』というわけでは無いのかもしれません(下記のセゾンカードは誰でも作れるビジネスカード)。
会社の経費精算で自分のカードを使う方が多いという方や、飛行機を使った出張が多い方などは、敢えて法人向けカードを作ってしまうというのも手だと思いますよ。
法人向けクレジットカードを使うメリットは?
では、法人向けクレジットカードを使うメリットには、どのようなものがあるのでしょうか?法人カードを発行している会社によってそのサービス内容は異なりますが、おおまかなまとめとしていくつか解説をしておきたいと思います。
経費の支払いに使える:
ご存知ない方も多いかもしれませんが、実はほとんどの個人向けクレジットカード、つまりごくごく普通のクレジットカードの場合、会社経費の支払いなどに利用することは出来ません。厳密に言えば規約違反にあたります(シティカードの場合、8条の4項にちょっとだけありますね)。
会員のカード利用が転売目的での販売用商品の購入や仕入代金の支払い等の商行為にあたる等、当社が適当でないと判断したとき
とはいえ、普通に出張費の支払いやA4用紙を買ったからといってカード会社から怒られるなんてことはまずありません。これらは個人利用の範囲としてお咎めを受けることはないのですが、カード利用歴に○○商事への支払い10万円、○○代理店への支払い20万…といった支払いが常に並ぶようだと、カード会社が『これはビジネスの利用だな』と判断してカードを止めてくる場合があります *2。
法人向けクレジットカードなら堂々と利用できる:
その点、法人向けのクレジットカードであれば仕事で使うことを前提に作られているクレジットカードなので、商品の仕入れに利用しても、出張費の精算に使ったとしてもOK。仕事の支払いに堂々と利用することが出来ます。
- 通常のクレジットカード:経費の支払いは原則ダメ
- 法人向けクレジットカード:経費の支払いにも使える
経費の支払い比率が高い方であれば、出来る限り法人向けのクレジットカードを作るようにしてくださいね。強制的にカード利用を止められたくないのであれば、尚更です*3。
社員にも使わせることが出来る:
会社員を経験されたことがある方であればわかりますが、会社経費の立て替え精算ってかなり面倒な作業なんですよね。自分が一旦、立て替えておくというのも面倒ですし、それを経費精算書にして経理に渡すというのもまた面倒…。
これが法人向けクレジットカードを会社に導入すれば、社員の経費精算はかなり簡単になります。支払いも社員の財布から…ではなく、法人銀行口座から直接引き落としすることが出来るので、立て替えという概念自体がなくなりますよ。
社員の作業効率を考えるのであれば、法人カード導入に限ります。
経費の支払いを区別することが出来る:
法人向けのクレジットカードを作るメリットその2としては、経費の支払いを専門のカードに分けておくことで、会計処理をしやすくする…というものがあります。
これは自分が持っているノーマルなクレジットカードをそのまま、家計も仕事も区別なく利用してしまうと経費精算が面倒ですが、仕事専用のクレジットカードを作れば一括で経費参入がしやすいということ。最近流行りのネット明細をそのままクラウド会計ソフトに取り込んでしまう方法においても、仕事用としてカードを独立させておくメリットがありますね(これは私的な利用、こっちは経費…と分けなくても済む)。
ビジネス用のレポートを作ってくれる:
法人向けクレジットカードによっても対応は異なるのですが、クレジットカードで払った経費がどのような仕分けになっているかのレポートを作ってくれる法人カードもあります(下記のアメックスビジネスゴールドなど)。
四半期管理レポート
経費管理、経営上・税務処理上の分析の資料としてもお役立ていただける「四半期ご利用集計」と「四半期ご利用明細」の2種類からなるレポートをお届けするサービスです。3ヶ月ごとのご利用記録をカード会員様別・ご利用内容の業種別に集計してお届けします。経費報告書との照合・確認、無駄な経費のチェック、さらに経費管理の効率化に役立つデータとしてもご利用いただけます。
こういうレポート機能があるというのも経営者の方にはメリットですよね。カードの支出を見なおして、経費削減に繋げることが出来ます。
ビジネスに役立つ特典も:
法人クレジットカードの保有メリットして最後は、ビジネス向けの特典が用意されている点ですね。ビジネスラウンジ『リージャス』が1年間無料で利用できたり、海外で空港ラウンジが使えたり、コンサルタントの斡旋サービスを使えたりと、ビジネス向けカードによって様々な特典が用意されています。
これらのサービスを自前で揃えられるというのであれば不要かもしれませんが、人脈がない個人事業主の方にとっては間違いなく役立つサービスばかり。法人向けクレジットカードを持っているからこそのメリットを、享受することが出来るはずですよ。
おすすめの法人向けクレジットカード:
ここでやっと、おすすめの法人向けクレジットカードを紹介させてもらおうと思います。どれも特色のある法人カードばかりになっているので、これから仕事用のクレジットカードを作るのであれば各公式サイトを入念にチェックした上で、自分向けのカードを探してみてくださいね。
アメックスのビジネスゴールド:
個人事業主でも作れる法人向けクレジットカードの代表格が、アメックスのビジネスゴールドです。
アメックスのゴールドという格の高さがあるだけでなく、サービス内容の充実度も恐るべし…という感じ。はじめて法人向けゴールドカードを作るなら、このカードが総合的におすすめですね。
オリコ EX Gold for Biz:
オリコカードが発行しているビジネスゴールドカードが『オリコ EX Gold for Biz』。なにより年会費が超激安で、約2,000円という破格の金額でビジネス向けのクレジットカードを持つことが出来ます。
もちろん個人事業主でも作成できる審査基準が採用されているので、会社経営者の方も自由業の方にもおすすめできる入門カードですよ。
セゾン ビジネスプラチナカード:
セゾンカードが発行しているビジネス向けのプラチナカードです。ゴールドカードよりも格が上なプラチナカードなので、ビジネス向けのカードにもステータス性が欲しいという方におすすめ出来る一枚ですね。
なによりコンシェルジュサービス(執事サービス)が利用できるので、時間のない経営者の方には助かるサービス内容なのではないでしょうか?新幹線切符や飛行機の手配もらくらくです。
楽天プレミアムカード:
楽天ポイントが貯まるクレジットカードとして人気の楽天カードにも、実はビジネスカードが存在します。
それが楽天ビジネスカード。楽天プレミアムカード保有者が追加料金を払うことで持てるビジネスカードです。事業主の方が経費精算用と私的利用のクレジットカードを分けたいという要望から、複数枚のETCカードを発行したいという要望まで、幅広にニーズに対応してくれますよ。もちろん楽天ポイントも貯まるメリットもあります。
法人向けクレジットカードのQ&A:
最後に、法人向けクレジットカードを作ろうと思っている方がよく疑問に思うような点を、Q&A方式で解説しておきます。法人カードを作るまでに、是非、目を通しておいてみてくださいね。
Q.個人事業主でも作れるの?
個人事業主や自由業といった、法人格を持たない方でも法人向けクレジットカードを作れる場合があります。
但しもちろん、個人事業主にも発行してくれている法人カードである必要性はありますので、どんな法人カードでも作れるわけではないという点はご注意ください(今回紹介しているカードであれば大丈夫です)。
Q.個人事業主だと審査は厳しい?
では、個人事業主だと入会審査は厳しくなりがちなのかというと、まったくそんなことはありません。アメックスのビジネスゴールドだろうが、オリコカードのビジネスカードだろうが、個人向けに門戸を広げている限り、審査が著しく難しいなんてことはないでしょう。
むしろ逆に会社名義の法人クレジットカードを作るほうが難しいケースすらありますね。個人格の場合には個人が支払いの責務をおいますが、会社名義だと会社倒産のリスクがある以上、発行にどうしても慎重にならざるを得ないのです。
Q.社員にETCカードを発行できる?
株式会社の経営者として、会社に法人カードを導入するのであれば、JCB法人カードのような社員向けのカードを発行できるものを選んだほうが無難です。
こういうコーポレートカードとしての機能を持ち合わせた法人向けカードでは、社員それぞれに対して経費精算用のカードを持たせることが出来るので、社員の経費管理がすごく楽ちん。また、ETCカード発行も複数枚可能なので、社員それぞれにETCカードを渡して、営業車で営業地域を回らせる…なんてことも出来ますよ。
Q.ポイントが貯まらない法人カードもある?
法人向けのクレジットカードの中には、どこで何を購入しても1円分もポイントが貯まらないものがあります。
こういったクレジットカードであっても経費精算に使え、支払いを先延ばしに出来るという点ではメリットはあるのですが、やはり使うならしっかりとポイントが貯まる法人カードを選んだほうが無難です(利用者側に選択の余地がある)。
店舗に出入りしているカード会社だから…といったような理由で、わざわざポイントが貯まらないものを選んでしまわないようにしてみてくださいね(なんだったら複数枚の法人カードを持ってもOKです)。
Q.法人向けカードと通常のカードでは使い方に違いがある?
法人向けのクレジットカードと一般のカードでは、使い方に違いがあるのかといえば基本的には全くありません。店頭でカードを提示すればあとは店員が勝手に対応してくれるので、そのままサイン(もしくは暗証番号入力)をするだけで支払いが完了します。
但し、法人カードの中には分割払いやリボ払いなどの支払い方法が使えないものが稀にあります。こういったカードでは原則、一括払いしか利用できないので、手元にお金がないのに使ってしまうと資金繰りに窮してしまうことに繋がりますよ。
Q.法人カードの年会費は経費に出来る?
法人カードには年会費がかかるクレジットカードが多いのですが、これらの会費については経費に出来るのでしょうか?
これについては基本的に担当している税理士の方次第…というところはあるものの、個人的な見解でいえば当然YESだと思ってます。なにせ会社経費を支払う専用のクレジットカードですからね、これが経費じゃなかったら何が経費なんだという感じです。
個人向けクレジットカードの年会費を経費参入するのは難しいですが、法人向けカードであれば問答無用で経費に出来るという点も、保有メリットなのかもしれませんね。
Q.利用限度額はどのくらい?
法人向けのクレジットカードの利用限度額はどのくらいかというと、これはピンキリ。限度額10万円で発行されてしまう場合もあるかと思いますし、信頼がある法人であれば300~500万円くらい枠を貰える場合もありますね。年会費が安いカードであれば限度枠は少なめ、ゴールドカードやプラチナカードであれば高め…といったところでしょうか。
- 大きめの利用限度額が必要なら、法人向けのゴールドカードやプラチナカードを作ろう。
尚、発行当初の限度額が低くても、利用していくにつれて限度額を増やしてもらえると思うので、『なんだ、10万円までしか使えないのか…』と落ち込まずにコツコツと使い続けることが信頼を築くコツですよ。
Q.ネット利用明細書は使えるの?
法人向けのクレジットカードであってもネット利用明細書は使えるのかというと、これはもちろん使えます。現在いくら利用しているか、今月は残りいくらまで使えるのか、どこの会社に対していくら払ったのか…などなど、様々なデータを確認することが出来るので、社員の支出も柔軟にチェックできます。
最近ではクラウド会計ソフトと連携を強めている法人カードもあるので、こういうカードを使えば会計処理が簡単になるというメリットもありますね(いちいち、会計ソフトに入力せずに、データを取り込んでくれる)。帳簿付けに無駄な時間を取られたくないなら、是非、そういう使い方も検討してみてください。
Q.銀行振替口座は法人名義のものでもOK?
法人カードを利用分の引き落としは、法人名義の銀行口座から引き落とすことが出来るのかといえばこれはほぼYES。
個人事業主向けの法人カードの中には一部、個人名義の口座からしか引き落としが出来ないものがあるようですが、ほとんどの法人カードでは法人名義口座からの引き落としが可能と思って間違いないと思います。
会社経費の精算用として利用するのであれば、法人名義の銀行口座引き落としが出来るものを選ぶようにしてみてくださいね*4。
法人向けクレジットカードを作ろう:
以上、おすすめの法人向けクレジットカードまとめ…でした。
法人向けクレジットカードがあると、経営における支払いがスムーズになるので、是非、まだ会社に導入をしていないという方はこの機会に作成を検討してみてくださいね。もちろんクレジットカードである以上、支払いを先延ばしに出来るというメリットもありますよ(資金繰りを良くする)。
*1:コーポレートカードのみ、意味が若干異なりますね。個人事業主でも法人カードやビジネスカード、法人向けクレジットカードは作れる印象ですが、コーポレートカードだけは株式会社や有限会社などの法人格がないと作れないカードだと言えます(明確な定義は存在しないので、そうではないケースもありそう)。
*2:こういった経費の支払いに寛容なクレジットカード会社もあれば、かなり厳しくチェックしてくるクレジットカード会社もあります。やはり経費支払いにクレジットカード決済を利用したいなら、法人向けカードを入手しておくのが無難でしょう。
*3:ちなみに私も過去、広告費の支払いにクレジットカードを利用していたら、カード会社から電話があって『経費の支払いには使わないでください。これ以上使うようなら強制解約させてもらいます』という連絡を受けたことがあります。その後、仕事関連の支出では使わなくしたので問題なかったのですが、そのまま利用していたら実際に止められていたかもしれませんね。
*4:楽天プレミアムカードのように、ビジネスカード分の利用のみだけ法人口座から引き落としされる…なんてものもあります。このあたりはほんと、法人カードによって対応はバラバラなので、申込前には必ず確認をしておくようにしてください。