V3戦に向け、気合十分の内藤(右)と挑戦者の伊藤=東京・水道橋の日本ボクシングコミッションで(竹下陽二撮影)
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カシアス内藤Jr.が3度目の防衛へ−。日本スーパーフェザー級タイトルマッチの前日計量が8日、東京都内で行われ、3度目の防衛戦に臨む王者・内藤律樹(りっき、23)=E&Jカシアス=と挑戦者の同級1位伊藤雅雪(24)=伴流=はともに計量をパス。内藤は伝説の東洋ミドル級王者・カシアス内藤の長男で、V3に成功すれば、父と並ぶ東洋王座挑戦も視野に入れる。父も果たせなかった世界タイトル取りも期待される逸材。勝って次のステップに進めるかどうか注目される。
計量会場に緊張が走った。内藤がはかりに乗ると、約200グラムオーバーの表示。減量失敗か? しかし、内藤は慌てるそぶりも見せず、堂々とパンツを脱ぎ捨てると、イチモツを両手で隠して再計量。リミットぎりぎりでパスした。
「会場に来る前、ジムで計ったら、100グラムオーバー。来る途中で落ちるだろうし、それでも駄目ならツバを吐けばいいと思っていた。パンツはアマ時代も脱いだこともあるし、特に(気にはならなかった)」
内藤を語るとき、常に枕ことばのようにつけられる文句がある。作家・沢木耕太郎の名作「一瞬の夏」の主人公、カシアス内藤の長男だということだ。しかし、内藤はただの“親の七光”ではない。持ち前のスピードとテクニックを武器にこれまで11戦全勝(5KO)。V3戦を前に内藤は「いい内容で勝ったら、次のステップに進みたい」と日本王座を返上、東洋タイトルを目指すことを明言した。
同階級には世界王者の内山高志(35)=ワタナベ=や、三浦隆司(30)=帝拳=がいるが、まだ、23歳の内藤は「強いけど、届かない相手じゃない」と世界を見据えた。
この日は、対戦相手の伊藤が「倒すイメージができている」と不敵に言い放ったが、王者の余裕か、内藤は「相手の想像以上の動きをしてやります。スピードと技術で圧倒する」と自信たっぷりにいなしてみせた。勝って父と並ぶ東洋へ舞台を移し、さらに、父超えの世界も視野に−。内藤から枕ことばが取れる日は近い。(竹下陽二)
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