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多国籍企業の課税逃れ封じる仕組みを

2015/2/8付
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 経済協力開発機構(OECD)が中心となり、多国籍企業に効果的に課税する仕組みをつくる動きが本格化してきた。多くの企業が海外に展開している日本も国際的に調和のとれた、信頼感の高い税制が求められる。

 ここ数年、大企業による過度の節税に対して、厳しい批判の目が向けられるようになった。金融危機後に各国の政府が公的資金を使って銀行を救済したため、納税者が不満を抱いていることが背景となっている。

 例えば米スターバックスは2012年に英国で法人税の支払いが少ないとの指摘を受け、不買運動に直面した。オランダ拠点に商標使用料を払うなどして英国の利益を圧縮したとされる。米グーグルなどはアイルランド拠点を利用した節税の仕組みが、欧州委員会で問題視された。

 大企業の課税逃れとみられる事例は、企業活動のグローバル化に国際課税制度が追いついていない現実も示している。そこでOECDと20カ国・地域(G20)が連携し、「BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクト」という取り組みが始まった。

 各国の税制をいっせいに見直し、企業の税逃れを封じようという計画で、14年9月に7項目の提言が発表された。企業がどこの国でも課税されない二重非課税の防止や、電子商取引への課税強化などが主な柱だ。

 日本は15年度の税制改正大綱の中で、提言への対応を打ち出した。海外子会社の配当が現地で非課税となっている場合、その配当は親会社の課税対象に含める制度などが代表的な項目だ。

 OECDは今年中にさらに8項目の提言を発表する。企業の税務戦略の報告など、経営の負担が大きくなり、企業秘密の保持という観点から議論を呼びそうな項目も予想されている。

 日本政府は税の国際調和に留意しつつ、報告制度などが企業の競争力向上の妨げにならないよう、積極的に意見を発信すべきだ。政府と経済界の情報交換や、OECDとの人的な交流などを積極的に進める必要がある。

 法人税に関しては、立地競争力を高める目的で税率を引き下げる動きが世界的に広がっている。法人税率の下げとあわせ、行きすぎた課税回避を封じることにより、税の公平性を高める努力も続けなければならない。

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