超党派で推進する米リニア建設計画 安倍首相の国連総会出席訪米で急展開

2013.11.26

 トーマス・ダシュル元米民主党上院院内総務(サウスダコタ州選出)。オバマ大統領が今、敬して接する、ただ1人の人物とされる。

 そのダシュル元上院議員が、ジョージ・パタキ元ニューヨーク州知事、メアリー・ピーターズ元運輸長官(ブッシュ共和党政権)らとともに、安倍晋三首相を官邸に表敬したのは11月15日のことだった。葛西敬之JR東海会長が同席した。

 ダシュル氏一行は、翌16日、葛西会長の案内で、山梨県のリニア実験線で東京〜名古屋リニア中央新幹線の営業仕様車両の「LO系」に試乗、時速500キロで浮上走行を満喫した。

 米国とリニアの関係は、ブッシュ政権下で国防次官補代理を務めたリチャード・ローレス氏がキーマンである。葛西会長の米国人脈として名高い同氏は、早くからJR東海のリニア技術の対米輸出実現に傾注してきた。

 そもそもは、ローレス氏がJR東海資本を受けて興したUSジャパン・マグレブ社が首都ワシントン〜メリーランド州ボルティモア間にリニア新幹線を建設する構想を発表したのが最初だった。が、メリーランド州法の制限があってなかなか日の目を見なかった。

 ところが、安倍首相の9月国連総会出席訪米で局面は急展開したのだ。ニューヨーク証券取引所で演説し、日本のリニア超伝導技術を紹介したうえで、「まずはボルティモアとワシントンをつないでしまいましょう。オバマ大統領にも提案している」と語ったのである。

 具体的に説明すると、次のようなことである。

 USジャパン・マグレブ社とは別に、米国北東部回廊のリニア(英語ではマグレブ)建設を目指す会社「TNEM」(ザ・ノースイースト・マグレブ)がワシントンに設立された。

 同社は、元メリーランド州民主党委員長のウェイン・ロジャース氏を会長・CEO、元国家安全保障会議アジア担当上級部長のトーケル・パターソン氏を社長で発足。

 冒頭のダシュル氏は同社取締役会のメンバーなのだ。そのほかに、パタキ、ピーターズの両氏、クリスティーン・ウィットマン元ニュージャージー州知事などもメンバーである。

 この壮大なプロジェクトの肝は、オバマ大統領の後見人であるダシュル氏が民主党、ブッシュ政権時代の安保政策を担ったローレス、パターソン両氏は共和党であり、超党派で推進していることだ。

 TNEMが目指すのは、ボルティモアではなく、ボストン−ワシントン間のリニアである。(ジャーナリスト・歳川隆雄)

 

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