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★ 2月6日付財経新聞によれば、総務省は5日、住民基本台帳を基に集計した人口移動報告の平成26年(2014年)結果を発表しました。東京圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)への人口移動は19年連続で転入超過、全国1,718市町村のうち76.3%が転出超過となっています。
2014年における都道府県別の転入・転出超過数をみると、転入者数が転出者数を上回る「転入超過」となっているのは7都県で、愛知県は4年連続、東京都と宮城県は3年連続、千葉県は2年連続、その他に埼玉県、神奈川県、福岡県です。一方で、前年の転入超過から転じて、転出者が上回る「転出超過」となったのは、大阪府及び沖縄県です。大阪府は2010年以来4年ぶり、沖縄県は2008年以来6年ぶりの転出超過となりました。
2014年における3大都市圏(東京圏、名古屋圏及び大阪圏)の転入・転出超過数をみると、3大都市圏全体では9万6,883人の転入超過で前年に比べ7,097人の増加です。
東京圏は10万9,408人の転入超過です。前年に比べ1万2,884人の増加で、19年連続の転入超過となります。名古屋圏は803人の転出超過で2年連続の転出超過です。大阪圏は1万1,722人の転出超過で2年連続の転出超過となります。
2014年における全国1,718市町村のうち、転入超過は東京都特別区部(6万3,976人)、北海道札幌市(8,363人)、福岡県福岡市(7,458人)など407市町村で、全市町村の23.7%です。一方、転出超過は福岡県北九州市(2,483人)、茨城県日立市(1,590人)、大阪府東大阪市(1,427人)など1,311市町村で、全市町村の76.3%にあたります。
以上が財経新聞の記事の概要です。東京圏への人口流入が続いています。ここでは、この記事の元となった総務省統計局の『住民基本台帳人口移動報告 平成26年(2014年)結果』について23区を中心にさらに詳しくみてみることとします。
この詳細集計15-3によれば、23区の転入超過数ランキングは、次のとおりです。
1 大田区 5,907人 2 江東区 4,718人 3 中央区 4,509人
4 世田谷区 4,304人 5 港区 3,833人 6 足立区 3,654人
7 墨田区 3,491人 8 板橋区 3,262人 9 杉並区 3,229人
10 品川区 2,807人 11 北区 2,552人 12 千代田区 2,477人
13 文京区 2,201人 14 台東区 2,109人 15 練馬区 2,022人
16 江戸川区 2,014人 17 豊島区 1,938人 18 渋谷区 1,901人
19 新宿区 1,864人 20 中野区 1,851人 21 目黒区 1,236人
22 荒川区 1,052人 23 葛飾区 1,045人
これを各区の平成26年1月1日の住民基本台帳人口(上記人口移動報告は平成26年12月までの期間ですので、時点がずれます)で割り戻すと、転入超過数の人口に対する割合は、次の通りとなります。
1 千代田区 4.57% 2 中央区 3.40% 3 港区 1.63%
4 墨田区 1.37% 5 台東区 1.12% 6 文京区 1.08%
7 江東区 0.97% 8 渋谷区 0.89% 9 大田区 0.84%
10 北区 0.76% 11 品川区 0.76% 12 豊島区 0.71%
13 板橋区 0.60% 14 杉並区 0.59% 15 中野区 0.59%
16 新宿区 0.58% 17 足立区 0.55% 18 荒川区 0.51%
19 世田谷区 0.50% 20 目黒区 0.46% 21 江戸川区 0.30%
22 練馬区 0.28% 23 葛飾区 0.23%
割合にしてみると、その区の「元気度」がより鮮明に出てきます。人口54,160人の千代田区は、その人口の約5%に当たる転入人口を1年間で得たことになり、中央区、港区と併せ、都心3区が圧倒的な強さを見せつけています。スカイタワー以降元気な墨田区や、以前は人口ナンバー1だった台東区が都心に近い立地を活かして盛り返しています。
都心6区(千代田、中央、港、新宿、文京、渋谷)と言われている中では、新宿区を除いて文京区、渋谷区も上位となりました。湾岸再開発で活況を呈する江東区が7位、羽田空港に近い大田区、品川区も健闘しています。城北では、低調な練馬区を除き、北区、豊島区、板橋区はまずまずです。
従来からの良好な城西の住宅地である杉並区、中野区は、勢いはあまり感じられません。また、城南の人気地である世田谷区、目黒区も伸びは小さなものにとどまりました。もはや大規模開発の余地があまりないのかもしれませんが、トレンドである都心・湾岸立地に押されている格好です。下町では、足立区、荒川区はかろうじて巡航速度と言えますが、江戸川区、葛飾区は低迷しています。
もうひとつ私が気になったのが、65歳以上の高齢者は、23区では6,327人の転出超過となっていることです。また、0歳〜14歳の年少者も、23区では3,316人の転出超過となっており、これらはいずれも全国でダントツのトップとなっています。
では、23区の子どもたちや高齢者はどこに行ったのかというと、0歳〜14歳人口は、埼玉県で3,440人、東京市郡部で2,387人、千葉県で946人の転入超過、神奈川県で895人の転出超過となっており、65歳以上人口は、千葉県で2,026人、埼玉県で2,002人、東京市郡部で1,588人、神奈川県で929人の転入超過となっています。
このように、子育て家族は23区と神奈川県から埼玉県、東京市郡部、千葉県へ、お年寄りは23区から千葉県、埼玉県、東京市郡部、神奈川県へ転出するのが一般的です。23区の人口流入は、これらの年少人口・高齢者人口の流出を補って余りある生産年齢人口(15歳〜64歳)の大量転入がもたらしたものということができます。
マスコミでは人口の都心回帰がもてはやされ、特に今週号の週刊誌では中高年層の「駅近タワマン族」がブーム、とありましたが、こうした統計をみると、それは余裕資金を有するシングル又はディンクスや、ごく一部の富裕な高齢者層に限られており、多くの子育て家族やつつましい年金暮らしの高齢者にとっては、23区に住まいを確保することは資金的に苦しく、従来通り郊外へ、郊外へと住めるところを探している、という実態が浮き彫りとなりました。
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