1月17日にスイス中銀がそれまで堅持していた1ユーロ=1.20スイスフランの無制限介入を断念しました。

この発表後にスイスフランが暴騰して、個人投資家を中心にボロ儲けした人や、大損した人が出たことは以前に紹介しました

さて、今回の一件で個人投資家が投資元本を全部溶かしてしまい、それでは済まず、さらに口座がマイナスになった場合、一体、誰が責任を取るのだ!? という問題で、FX業者によって対応に大きな変化が出ています。

まずアメリカのFXCMは「今回の事件に関し、個人投資家の場合、口座がマイナスになっても、追加の資金を入れて損失を埋め合わせすることは、要求しません!」と宣言しました。

これと対照的に、ウォールストリート・ジャーナルによると、サクソバンクは「損は顧客が悪いのであり、穴埋めの責任は個人投資家にある」として口座がマイナスになった個人投資家に追加資金を出すことを要求しています。

これに加えてサクソバンクはスイス中銀の無制限介入断念の発表日の取引レートに関して、後になってから遡及的(そきゅうてき)に「フェアな」レートを変更し、顧客の損失額を変更したとウォールストリート・ジャーナルは報じています。

その一例としてシンガポール在住の個人投資家はストップロスを設定していたので、最初、彼のこうむった損は900ドルだと思いました。ところがサクソバンクは「実際にこのトレードが成立したのは、別の価格だった」として22,800ドルを請求しました。

ウォールストリート・ジャーナルは「サクソバンクのこのやり方は、ウェブサイト上に明記されている、専用の流動性(dedicated liquidity)とスリッページなし! という謳い文句と食い違っている」と指摘しています。

ここからは僕の考えですが、たしかにストップロスを設定していても、相場が激変してその値段が付かなかった場合は、サクソバンクの主張するように最初にトレードできた値段で約定するのが筋だと思います。でもそれを主張するならdedicated liquidityなんていう意味不明で誤解を招きやすいマーケティング・トークは、いますぐやめるべき。