よもちかブログ

「私の世界」の話をしよう。

性のエネルギーを全肯定される場所

田房永子さんの「男しか行けない場所に女が行ってきました」を読みました。こういう性的な事柄に関する自分の気持ちとか、考えとかを、真正面から掘り下げて考え抜いて、それを読みやすい文章にしていることが、心からすごいなぁ、かっこいいなぁと思いました。本文中にもありますが、性的な事柄に関する自分の気持ちや考えを女性が表明すると、なにやら悪く言われたり、好奇の目で見られたりすることが多いので、その価値観を振り払って、こういう本を書き上げたってことが、超かっこいいなと感じました。

 

男しか行けない場所に女が行ってきました

男しか行けない場所に女が行ってきました

 

 

そして、この本を読んで思い出したことがあって、それは何年か前に行った「BLバー」のことです。そのときには友達と面白い遊び場に繰り出すってだけの意識だったのですが、今考えると、あれは女性向けの風俗サービスだったのかもしれないなぁ、ということを思ったのでした。

 

私が行った「BLバー」というのは、「ボーイズラブバー」のことで、ボーイズラブ(つまり男性同士の恋愛)が好きな人たちが集まるバーです。そこの店員さんは、みなさんカッコイイ男性たちばかりで、その男性たちを見て、自由にカップリング妄想ができて、さらにおしゃべりができるという、オタク女性向けのホストクラブ?のようなものでした。

 

そこでは、メニューのなかから特定のカクテルを選ぶと店員さん二人のイチャイチャが見られる、という特典がありました。あの人が攻めで、この人が受け、という指定ができ、その指定通りに、店員さんたちがカクテルを作りつつ目の前で小芝居をまじえながらイチャイチャしてくれます。見目麗しい男性たちが、向かい合って密着しながら、カクテルを作るシェイカーを二人で持ち激しくシェイクします。その様子がまるで性的に刺激しあっているような雰囲気をかもしだしていて、非常にエロティックでした。一緒に行った友達と大興奮しておおはしゃぎをしたのはすごく良い思い出として心に刻まれています。いいものを見ました。

 

男性たちが、キャバクラや、おっぱいパブなどの風俗店に行ったときの気持ちってああいう感じなのかな~?と想像します。そりゃ楽しいわ、と思います。なにが楽しいって、自分の性のエネルギーを全肯定される場所があるってことがとても愉快です。BLバーは、ボーイズラブが好きだという気持ちをを全力で肯定してくれる場所でした。そしてそこで、男性店員同士のイチャイチャを見てはしゃいでも、誰も眉をひそめないし、注意されることもなく、むしろ歓迎される雰囲気で、分かり合える人同士、存分に楽しむことができます。それはとても愉快な体験でありました。

 

そういう自分の性のエネルギーを全肯定される場所があるというのは、自分の存在を根底から肯定されるってくらいの安心感があります。そういう場所がない人、少ない人は心細いだろうと思うし、実際に私自身も、自分の欲求はよくないものなんだろうかと悩んだことは、女性として、バイセクシュアルとして、BL愛好者として、多々あります。

 

なのでそういう場所、つまり各種風俗店が全国各地にたくさんあるシスヘテロ男性に対しては単純にいいなーと思います。生まれたときから見ている光景だから、それが当たり前のように見えて、普段意識もしないことだけれど、意識し直してみると、素朴な羨ましさを感じます。そして、社会全体から自分の性のエネルギーを肯定される環境で生まれ育つっていうことは、どんな気持ちになるものなんだろうと、興味深い気持ちになります。

 

私は、田房さんの新刊を読んで、そんなふうなことを考えました。

 

よもちかでした。