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父は大学教授、母は民生委員、姉成績優秀

 和歌山県紀の川市で市立名手小5年、森田都史君(11)が刺殺された事件で、県警岩出署捜査本部は7日、殺人容疑で逮捕した現場近くに住む無職中村桜洲(おうしゅう)容疑者(22)の自宅から、約40センチのなたのような刃物3本を押収した。同日未明に逮捕され容疑を否認している。一方で近所の子を追いかけるなど奇行も目立ち、近所住民の話によると、大学教授の父から厳格な教育を受け、優秀な長姉と比較されて育った境遇だったという。

 5日に幼い命が奪われた事件は7日未明に急展開した。森田君の自宅から直線で約80メートルの距離に住む中村容疑者が逮捕され、この日午後から容疑者宅の家宅捜索が行われた。「凶器収納箱」と書かれた箱などが運び出され、押収された3本の刃物は容疑者の自室の衣装ケースに入っていた。いずれも刃体が約40センチのなた様のものだった。作業用ゴーグルも押収された。事件現場から逃走した男は、これと似た作業用ゴーグルのようなものを着けていた。

 殺害現場となった空き地付近では、カバーを掛けた刃物のようなものを持っていた男を目撃したとの情報が寄せられ、中村容疑者が捜査線に浮上。「男の子を殺していない。見たこともなく知らない」と容疑を否認している。

 付近住民によると、以前にも森田君宅前でじっと見つめる容疑者の姿があった。近くの川で木刀などを振り回す「奇行」も目撃された。1月には容疑者が傘を持ち、自転車に乗った森田君の中学生の兄(12)を追い掛けるトラブルがあった。容疑者がOBとして顔を出していた地元の剣道クラブには森田君も約2年前まで在籍。捜査本部は2人に接点がなかったか調べる。

 中村容疑者は約20年前から一家で住み、住民らによると、父は仏教系大学の教授で密教関連の著書もあり「人格者。気さくにあいさつもしてくれる」という。母も地域の民生委員を務め茶道、華道も教えていた。姉2人がおり、長姉を知る娘を持つ女性は「お姉ちゃんはよう(勉強が)できたし、比較されていたと思う」。

 教育熱心な家庭だったが容疑者は高校受験に失敗。近隣の工業高校に進学したが中退した。住民によると家に引きこもるようになり、仕事にも就いていなかった。それでも自宅内から剣道の素振りをするような声が聞こえ、住民は「川沿いで鉄亜鈴とか縄跳びをしている(容疑者の)横で、お父さんがいたりした」という。この日、同県紀美野町では森田君の通夜が営まれた。約300人の友人らが参列し、父親は涙を浮かべて無言で頭を下げた。

 [2015年2月8日9時56分 紙面から]

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