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 東京・芝の増上寺にありながら戦災で焼失した、徳川2代将軍・秀忠の墓所で当時国宝だった建造物「台徳院殿霊廟(れいびょう)」の精巧な明治期の大型模型が約100年ぶりに英国から里帰りし、4月に同寺で公開される。5日、英国大使館で発表された。日光東照宮も参照したとされる壮麗な姿が10分の1大で味わえることになる。

 霊廟は1632年建造の権現造りで、豪華な装飾で知られたが、1945年に焼失。その模型は、1910年にロンドンで開かれた日英博覧会のために当時の東京市が発注し、「老猿」で知られる彫刻家の高村光雲ら、東京美術学校(現東京芸術大)の専門家の監修で制作された。幅3・6メートル、奥行き5・4メートル、高さ1・8メートルの大きさだった。

 模型は英国王に贈られ、ロイヤルコレクションの一つとなったが、巨大で組み立ても難しいことから、数十年間、公開されないできたという。96年にウィリアム・コールドレイク東京大学特任教授(建築史)が存在を確認。調査、修復を経て、増上寺に長期貸与されることになった。