(英エコノミスト誌 2015年2月7日号)
物言う株主が公開会社にとって有益な理由
数々の発明の中でも、株式公開会社という形式は、資本主義が生み出した極めて偉大な傑作だ。新規株式公開(IPO)は、起業家に投資回収に向けた出口ルートを提供することでイノベーションを促進している。
株式が上場されることで、企業は公に厳しい監視の目にさらされる。また、一般の人々も、資本主義の富創造マシンに投資するチャンスを得られる。
公開企業という偉大な発明に「暗い影」
上場企業であることで企業は監視され、経営にプラスになるはず〔AFPBB News〕
しかし、ここ15年というもの、公開企業には暗い影が落ちていた。エンロンやリーマン・ブラザーズの破綻といった大きな不祥事においては、監視や富の創造の兆候はほとんどなかった。
また、パッシブ運用のインデックスファンドの興隆により、多くの企業で最大の株主がソフトウエアプログラムとなり、ガバナンス(統治)も弱体化している。
機関投資家は、問題に対処するよりも、トラブルの最初の兆候が出た時点で売り逃げる道を選ぶことが多い。ゆえに企業のトップは四半期ごとの利益に取りつかれ、できるうちに報酬と権力を得ようとする。
一方、シリコンバレーの大物たちは自分が保有する株式に特別な議決権を付与し、これにより外部の株主を二級市民にしてしまうことが多い。
プライベートエクイティ(非上場株投資)ファンドの経営者たちは、限られた人が株式を保有する自分たちのモデルの方が株式公開よりも理にかなっていると主張する。一部の政府は、企業には安定をもたらす国の介入が必要だとの見方を取る。しかし、もっと良い方法がある。
アクティビスト(物言う株主)のヘッジファンドは、企業のわずかな割合の株式を取得し、他の株主の支持を取り付けて自らの要求を通そうとするという、政治活動家のような行動に出る。こうした要求には、取締役ポストの獲得、コスト削減、スピンオフ、株主への利益還元などがある。
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