またまたユニークな理論の登場です。
円安政策ねじれ、政府は日銀は みずほ銀・唐鎌大輔氏:朝日新聞デジタル
終わっていないのは一番大切な家計部門のデフレだ。恐らく、これは実質賃金の下落だった。結局、家計部門のデフレ感だけが取り残されており、これが実感なき景気回復につながっているのだろう」
消費税率引き上げと金融危機の1997年以降、
と、実質賃金は「下がるが上がらない」状況が続いています。
この状況から脱却しない限り、家計のデフレは終わらないというのは正論でしょう。
しかし、その処方箋が「?」です。
「本当に賃金を上げやすくするには、雇用規制改革が必要だ。今の日本では賃金は一度上げたら下げにくく、雇ったら解雇しにくい。私は雇用改革についての安倍政権の動きに最も期待していて、その動きを一番評価している。
- 賃下げを容易にする→賃上げ
- 解雇を容易にする→雇用増
ということのようですが、1997年以降の雇用情勢は、どう見てもそのロジックを正当化しません。
安定雇用への敵意を持つ人が結構多いようですが、賃金や雇用を硬直的にすることには経済合理性があります。
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一言でいうなら、固定給とは「社員が職務契約によって一種の保険加入を達成し、所得の変動を消すシステム」だと理解できる。経営者が「リスク中立的」で社員が「リスク回避的」である場合には、これが合理的な決着なのである。
経済学者は、以上のように、日本の終身雇用・年功序列・ボーナス査定のシステムを、きちんとした合理性を持ったシステムだと考えている。年功序列・終身雇用は、リスクシェアリングであり、ボーナス制度というのは、給与体系の一部に成果主義的な契約を持ち込むことで、社員のやる気を合理的に引き出す知恵だと説明するわけである。
企業(経営者)が所得変動のリスクを労働者に転嫁してきたことが日本経済の成長を阻害してきたとすれば、これ以上のリスク押し付けがどのような結果を招くかは明らかに思えます。
「人件費の変動費化」が日本経済悪化の一因 - Think outside the box
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