やるべきことをはっきりさせるだけで人をやる気にさせられる

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「やることはいくらでもあるんだ!」

と、アルバイト時代に一回くらいはいわれたことがあるでしょう。私など、何度言われたか数え切れないくらいです(笑)。

このセリフは、ダメなものだと思います。真っ向から「クローズリスト」の趣旨に反しています。(もっともバイトの先輩にそんなことを期待するのは過剰というものですが)。

仕事がいくらでもあるというのは、タスクリストにどんどんタスクを追加できるということであり、そのようなリストはまさに「オープンリスト」なのです。オープンリストは非常に破綻しやすいリストです。

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なぜクローズリストがいいのか。

ロイ・バウマイスターの指摘の中でもおそらく最も重要なのは「意志力(自制心)」は「力である」という点です。人間は生き物なので「力」は使うとだんだん弱くなっていきます。何かをガマンした直後は、同じようにガマンする「力」は弱くなっています。

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オープンリストは、無限の自制心を前提にしているのが、大きな間違いです。自制心は有限であり、仕事が有限だということさえ明らかになっていれば、人は相応の力を発揮できるのです。

クローズリストというのは、マーク・フォースターが強調している概念ですが、この重要性はもっともっと強調されるべきです。

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S・プレツニツの氷水の実験が、オープンリストの問題をこの上なく明瞭に示しています。実験では、手を氷水につけてもらい、痛みに耐えきれず、手を抜くしかないというところまでもちこたえるように被験者に要求します。

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このテストは4分で終わることになっていました。
ただし、一方のグループは4分で終わることが事前に告げられており、もう一方のグループにはいつ終わるかは告げられていません。

いうまでもなく、4分で終わると告げられていたグループにとって、このテストはクローズリストです。いつ終わるかはわからないグループが取り組んでいるのは、オープンリストです。

4分で終わることを知っていたグループでは、60%の人々が4分もちこたえられました。
しかし、そうと知らされていなかったグループでは、30%の人しか、4分もちこたえられませんでした。

ただ、リストをクローズにしておくだけでできるはずのことが、リストがオープンになっていると、できなくなるのです。

▼参考文献(英文)
The effect of hope on pain tolerance – JSTOR: Social Research, Vol. 66, No. 2 (SUMMER 1999), pp. 629-652