『エクソダス:神と王』を楽しく観るための7つの前知識

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『エクソダス:神と王』公式サイト

リドリー・スコット最新作は旧約聖書を原作とした史劇大作

『エイリアン』『グラディエーター』『ブラックホークダウン』『プロメテウス』のリドリー・スコット最新作は旧約聖書の『出エジプト記』の映画化。

でも実際はチャールトン・ヘストン主演の『十戒』のリメイク版という色合いも強い。ファラオのラムセスと預言者モーゼという、二人にスポットを当てている点などだ。けど当然ながら『十戒』とは、原作に対するアプローチが相当に違っている。その辺は映画を実際に見てもらえばよいわけだが、なにしろ日本人にはあまり馴染みがないかもしれない聖書の話。しかし聖書は世界的なベストセラーでもあるのでこういう映画は聖書を知っている前提で作られている。だから最低限知ってから見たほうがよい予備知識をいくつか紹介しておきたい。

ラムセス2世

『十戒』や『エクソダス:神と王』では歴史に記されている偉大なファラオと同じラムセス2世だとしているが、原作においては単にファラオとだけ出てくるのでラムセス2世かどうかはわからない。ラムセス2世のミイラは今でも保存されている。身長を調べたら183センチもある大柄だった。これほどの大柄だったので武勇に優れ強弓を引き戦で無双した。そして政治力もあったのでエジプトは大いに栄えた。90歳まで生きたらしい。原作では海に飲まれて死んだみたいに描かれているし、エジプトが災難を被って滅びそうになっているので、同一人物とする説はちょっと無理があるようだ。しかし映画として、便宜上、ラムセス2世としているだけである。映画のキャラとしてのラムセス2世と、歴史上の人物は別物だと考えよう。ラムセス2世には111人も子供がいたと伝えられている。

モーゼ

映画のモーゼはクリスチャン・ベールが演じていて壮健な男として描かれているが、原作ではエジプトを脱出したのが80歳のとき。映画では年齢設定はよくわからない。その後、約束の地を探して40年間彷徨って到着前に亡くなった。つまり120歳も生きた。アブラハムとかは175歳も生きた。ノアにいたっては950歳まで生きた。こうしたことを知っていると映画の中で奴隷総督が「ヘブライ人は長生きだから増えすぎて困る」と言っていたことに頷ける。

神と格闘する者

ヤコブが川にいたときに、神様が相撲を仕掛けてくる。一進一退の攻防の末に、なんとヤコブは神様に勝利する。そして神様から「お前は神様と格闘して勝利した者という意味のイスラエルと名乗るが良い」と言われた。イスラエルという国の由来はそれである。そしてイスラエル(=ヘブライ人)が神と格闘する者という意味と劇中で言われるのもそれである。

十の災い

・水を血に変えて飲めなくする
・蛙をいっぱい出す
・ぶよを放つ
・虻を放つ
・家畜の疫病
・腫れ物を生じさせる
・雹を降らせる
・イナゴの群れ
・エジプトを真っ暗にする
・長子皆殺し

これらははっきりと神の奇跡として書かれている。映画ではどうだったか確認しよう。

また長子皆殺しを防ぐおまじないは、「過ぎ越しの祭」として今もユダヤ教の祭りのひとつとして行われている。神様がおまじないしている家は過ぎ越えていくから過ぎ越しなのだ。3月末から4月くらいにかけてのお祭だ。出エジプトの苦難を忘れないという意味があるのだ。

アロン

モーゼの兄で、原作ではかなり活躍する重要な人物である。モーゼの代わりにファラオの説得にいったり魔法の杖を授けられたりする。

ヨシュア

モーゼの亡くなった後を継いでリーダーになり、イスラエルの民を約束の地カナンに連れて行く。ヨシュアのカナン征服の物語は『ヨシュア記』で描かれている。そこから三国志みたいな軍記物語になっていく。「ウォール・オブ・ジェリコ」で知られるエリコの壁の話はここで出てくる。ありゃあ、ヨシュアの話なのだ。

十戒

・神が唯一の神である
・偶像崇拝の禁止
・神の名をみだりに唱えてはならない
・安息日を覚えて、これを聖なる日とせよ(6日働いて土曜日が休み)
・あなたの父と母を敬え
・殺してはならない
・姦淫してはならない
・盗んではならない
・偽りの証言をしてはならない
・隣人の家を欲しがってはいけない(嫁、奴隷、家畜も)

これを神が二枚の石版に刻んだものをモーセに渡した。それを神様の指示通りに作った契約の箱(失われた聖櫃!)に収めた。モーセが十戒の石版を受け取ったシナイ山は実際はどこかはっきりとわかってない。宗教家によって意見が割れている。

旧約聖書は岩波書店の訳が最高なんだけど、現在のところ文庫で買えるのはこの三冊だけ。以前はサムエル記なども出てたようなのだけど絶版になっている。聖書が絶版って凄すぎる。でも映画の原作になったモーセが活躍する『出エジプト記』はちゃんと読めるので安心だ。アダムとエヴァの話や、カインとアベルや、ノアの方舟や、ソドムとゴモラや、バベルの塔などの有名な話は『創世記』で読める。『ヨブ記』はひたすら重い。重すぎる。

ヨシュアとかダビデとかソロモン王とかの話を読みたければ、高いハードカバーの本を求めなくてはならない。酷い。図書館で借りるなりして欲しい。

今回は『エクソダス:神と王』の特集号です。徹底的に語ります。ネタバレすらします。でも歴史物だからネタバレしてもいいよね!?

side:B
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