別宮潤一
2015年2月8日09時30分
下水が、新たなエネルギー源として注目されている。下水の熱を一般家庭の冷暖房に利用する。東京では下水汚泥だけで燃やせるようにする技術を導入し、焼却に必要なガスや電気をゼロにする計画が進む。資源循環が進む可能性があるが、普及には費用面など課題もある。
■熱、温度差を冷暖房に活用
1月23日、新潟県十日町市の市立西保育園。気温は3度。あたりは2メートルの雪が積もる。園の事務室の空調機からは25度の温風が吹き出ていた。熱源は、園前の道路の下を流れる下水だ。
直径80センチの下水管には、上流の2500世帯からの排水が流れ、水温は12度。57メートルの区間で下水管の底に直径1センチの管を30本程度設けて、不凍液を循環させる。下水熱で温められた不凍液の熱を熱交換機(ヒートポンプ)でさらに高温にして、空調機で使う仕組みだ。
下水が下水管から出ることはない。「最初は心配したけど、まったく臭いません」と小林京子園長。朝晩はストーブも使うが、灯油の補充は2日に1度から2週間に1度に減った。
一般家庭での実用化に向け、1月から本格稼働した中小口径の下水管を使った実証実験だ。設備を置いたのは、下水道改修工事を得意とする東亜グラウト工業(東京都新宿区)。国土交通省が2011年度に始めた「下水道革新的技術実証事業」のうち下水熱の利用に、積水化学工業(東京都港区)とともに参加してきた。今回、効果やコストのデータを集めるため、設置費の全額を同社が負担した。
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