選挙:東京都議選 橋下氏、さらに崖っ縁 維新「2勝32敗」 2度上京も「励ましにならぬ」
毎日新聞 2013年06月24日 大阪朝刊
23日投開票された東京都議選。日本維新の会は橋下徹共同代表の従軍慰安婦を巡る発言などで支持率が急落し、選挙前の3議席を守れず敗北した。34人が出馬し、当選者はわずか2人。当初は応援に行く必要がないとしていた橋下氏は2回上京して釈明したが逆風はやまず、「二枚看板」の石原慎太郎共同代表との亀裂も一時表面化した。来月の参院選に向け、さらに崖っ縁に追い込まれた。【林由紀子、茶谷亮、野口武則】
当選したのは南多摩(定数2)と大田区(同8)の2選挙区だけ。立候補者には不満が渦巻く。橋下氏は発言を謝罪するメールを送ったが、ある新人は「慰めにも励ましにも謝罪にもならない」。三鷹市(同2)で敗れた新人の若林亜紀さん(47)は、「政治家として言っていいことと悪いことがある。慰安婦発言で『維新は絶対に駄目』と言われた。維新公認はマイナスだった」と悔やんだ。小沢鋭仁国対委員長の次男で新人の小沢諭由(ゆう)さん(25)も杉並区(同6)で落選、「発言に対して有権者の7割が批判だった。活動量でカバーできると思ったが……」と首をひねった。
一方、橋下氏はこの日、沖縄県糸満市で「沖縄全戦没者追悼式」に一般参列者として出席し、同県浦添市であった集会にも参加したが、都議選には言及せず記者団の取材にも応じなかった。
前日は都議選の応援に都内5カ所を回り、JR池袋駅前では関係が悪化していた石原氏と街頭演説。「慰安婦の利用を正当化したことはない」と強調し、「4年前、国民は自民党にノーを突きつけたが、4年や5年で本性は変わらない。僕の口が災いする性格も変わらない」と自らをネタにしてみせた。石原氏も「橋下君が謝って、みんな気持ちが収まった」と応じ、満面の笑みで握手を交わした。
当初、橋下氏は「僕が応援に行ってどうにかなるもんじゃない」と消極的だったが、国会議員らの要請で2回上京、「誤解を招いた」などと釈明した。演説を聞いた東京都町田市の無職男性(64)は「東京も改革してほしい」と理解を示したが、葛飾区の自営業、小田武さん(56)は「大阪の改革もうまくいっていないようだし、大阪に集中した方がいい」と突き放した。