2015年02月07日

刑事マンガの最終形態(悪い意味で)…キングオブ打ち切りマンガ「大相撲刑事(デカ)」

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刑事マンガの最終形態(悪い意味で)…キングオブ打ち切りマンガ「大相撲刑事(デカ)」




記録より記憶に残るマンガでありたい…
こんにちは打ち切りマンガコレクターのJ君です。当サイトでは過去に幾多の打ち切りマンガをご紹介してまいりました。「サイレントナイト翔」「セコンド」「アカテン教師梨本小鉄」「海人ゴンズイ」…なんかジャンプ作品に偏ってますが、人気投票システムを敷いていた週刊少年ジャンプが打ち切りマンガを生みやすい土壌にあったということは紛れもない事実であります。

ところで打ち切りマンガ打ち切りマンガと人はバカにするけれど、人々の印象に残らない長期連載よりも、強烈なインパクトでマンガ界に爪痕を残す打ち切りマンガのほうがスゴいという考え方もあります。打ち切りマンガは日本人らしいサムライ的美学に基づく散り際の美しさを持っており、もはやアートといっても過言ではありません。そんな打ち切りマンガの中でも最高峰と呼べる作品があります。それが本日ご紹介する「大相撲刑事(デカ)」であります。

「大相撲刑事」は1992年に週刊少年ジャンプ誌上で連載されていた作品で、作者はガチョン太朗先生。もうペンネームからして一発屋の雰囲気満々です。連載数も10週と単行本を1冊出すのにちょうどいいコンパクトさになっています。

どんな内容かといいますと、一言で言ってしまうと「力士の格好をした刑事が悪人を取り締まるギャグマンガ」です。タイトルが示す通りの実にシンプルな内容。そこには一片の奥深さもありません。タイトル、設定、話数…全てにおいてムダがなく、さらに打ちっぱなしのコンクリートのような荒々しい画風…これが「大相撲刑事」という作品の魅力なのです。



ファーストクラスに土俵が

この国際線のファーストクラスに土俵をひいて座っている男こそ大相撲刑事こと「大関」です。大関って相撲の番付の事じゃないですよ、主人公のキャラクターの名前です。あまりにそのまんま過ぎてビックリしますね。



ここが笑いどころです

大関はFBI捜査官であり、古巣の日本の警察に呼ばれて凱旋帰国をするところなのです。このカッコでFBI…さすが自由の国アメリカです。いくらなんでも自由すぎます。



不幸なハイジャック犯

ここでハイジャックが発生!しかもハイジャック犯、大相撲刑事の座っている土俵につばを吐くという侮辱行為まで!!これはもちろん大相撲刑事の大暴れフラグです。皆さん期待していいですよ!!


土俵を置く方もどうかと思うが…

「キサマー、土俵につばをはくとはいいどきょーだな!!」



怒りの理由がそっちかよ!


「土俵をけがす者はなんびとたりとも生かしては帰さんぞ!!」
ポイントとしては、大相撲刑事の怒りの対象がハイジャック云々ではなく、土俵の話しかしてないということです。だって仕方ないですよね、大相撲刑事なんだから…。



壁とかグシャグシャです


一発で死にそうな張り手

ちなみに大相撲刑事が怒った時の悪党に対する攻撃はこんな感じ。さすが大相撲だけのことはあります。体感的には北斗の拳のラオウの攻撃と同じぐらいでしょうか。
そして飛行機から降りる時も豪快そのものです。



もちろん飛行中です

まず飛行機のドアを蹴破ります。ハイジャック犯よりひでーなこれ



土俵は力士の命

さらにパラシュート代わりに土俵ごと地面に落下します。土俵の用途がマルチパーパスすぎるだろ…。



土俵って便利だなあ

そしてちょうど警察署の取調室の真上に着陸しました。ナイス土地勘。
…とまあご覧のとおり、どんな凶悪犯罪でも力技で解決してしまう凄腕刑事なのですが、このマンガでは悪党を改心させるためのお約束のネタがあります。



すばらしい茶番劇

「明日までにレポート300枚書いてこい!タイトルはエレキギターとはな毛切りについてだ!!」
「え、それを書くと罪がかるくなるんスか?」
「ならん!!!」


これが大相撲刑事の定番ギャグです。悪党に無茶なテーマと無茶な枚数のレポートを課し、でもそれをやったところで一切メリットはないという…。ちなみに他のレポートのテーマも「木工用ボンドと登校拒否について」とか「アイドルと北方領土」とか酷いのばかりです。
その他にも…


そもそもFBIの設定いるのか?

FBI捜査官なのに英語がわからないとか…



普通はカツ丼

取調べ中の飯がチャンコじゃなかったために激怒するとか、ギャグマンガだけに細かいギャグが散りばめられておりますが、どれも微妙にスベっており10週打ち切りはやむ無しといった感じになっております。

というわけで内容はほぼ無いに等しく、ギャグもスベっているにもかかわらず豪快すぎる画のインパクトと勢いだけで10週持たせてしまった伝説の打ち切り作品「大相撲刑事」をご紹介しましたがいかがだったでしょうか。最後ににガチョン太朗先生が単行本の自己紹介欄で書いているまえがきが驚くべき内容だったのでご紹介しておきましょう。

「この本はこれから犯罪をおかしたいという人と、ヤクザになりたいという人を止めるためにつく作られた本です。しかもこれから力士になりたいという人にも、ちょっとは役に立つ事が描いてあるんじゃないかと思ってます。」

ちょっ…素で言ってるのかギャグなのかわからないけど、この文章が一番面白いよガチョン太朗先生。


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