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2015-02-07

藤田和日郎「うしおととら」アニメ化に関して感想いくつか。そして現在の作品は…

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ずっと予定していたが、さぼっているうちに複数のトピックが…。

うしおととら」待望のテレビアニメ化決定!今夏放送開始! - シネマトゥデイ http://www.cinematoday.jp/page/N0070362

 漫画家藤田和日郎による1990年代を代表する人気コミックうしおととら」がアニメ化され、今年の夏にテレビ放映されることが決定した。

 「うしおととら」は、1990年から1996年にかけて「週刊少年サンデー」(小学館)誌上で連載された妖怪漫画妖怪退治の力を持つ武器「獣の槍」を操る少年・蒼月潮(あおつき うしお)と、彼の手によって500年ぶりに槍の封印から解放された妖怪・とらのコンビが、槍に群がる妖怪たちと戦いを繰り広げる姿を描く


アニメ化と聞いて思ったことを断片的に。

この話を聞いた時の感想は、ひとことでは言い表せない。

『まず作品のクオリティとしては文句はない、「優れた漫画アニメになる」というのが流れなら、これがアニメになっていなかったのはそもそも、確かにおかしかった』

『にしても、やはりその武功と才は万人が認めるとはいえ、”悠々自適の退役将軍”ではないか。それに召集がかかるというのは…』

(※↑この連想は、この前のこの見立てhttp://d.hatena.ne.jp/gryphon/20140910/p1 を引きずっています(笑)。藤田先生には…メルカッツ役をやってもらいましょうか(笑)

サンデー黄金の90年代「ナインティーズマフィア」というくくりはやっぱり正しかったんだな』

『てか、現役サンデー世代がだらしないからじゃねえか? 世界は”枠”で動くから、「アニメサンデー枠」を何かで埋めなきゃならない…そんな中で、その枠を今埋めるのがないから、黄金の90年代から伝説の封印を解くことになったんだろ』

 

などなどなど。

そんなことを思いながら、やっぱり嬉しくはあるのでした。自分アニメーションをなんだかんだとスルーすること多いので、自分がいい視聴者になるかの自信はないのだが…

こんなまとめもできてた

うしおととらアニメ化に大興奮の声&心配の声 - Togetterまとめ http://togetter.com/li/777570 @togetter_jpさんから


20年後に作られ大ヒットの「寄生獣」が追い風?〜うしとら寄生獣は、同時代で「人間+異形の『バディもの』」というライバルだった…そして作者は…。

はてなのどっかで見たのだが、「アニメ化されるまでに時間がかかったアニメ一覧」という記事があり、寄生獣うしおととらも、どちらもだいたい19年だか20年だかという、非常に長いスパンでのアニメ化決定、となったそうな(寄生獣ハリウッド映像化権を抑えてたという事情があるんだが)。


そう、「寄生獣」と「うしおととら」はほぼ同時代の作品だ。だから「寄生獣映画アニメ化されて、2015年のいま、ヒットした。だから90年代の名作にもう一度光が当り、『うしおととら』の企画が進んだ」…のかもしれないし、違うかもしれない。

ただまあ、外野的には受け入れやすいストーリーではある。「妖怪ウォッチブームのあれもめちゃくちゃ大きいんだろうけどさ(笑)。「なんでもいいから妖怪さがせ!!地獄先生でも何でも!!」みたいな(笑)


閑話休題

そしてこの、約20年をへてアニメ化される、という共通点を持つ両作品は

「異形のものと人間が、やむを得ざる状況からコンビを組む」という点では共通している作品でありました。

もちろん、その上での違いを比べると、すっごく違う(たとえば人間側の正義感積極性、異形のものの性格など…)

自分は、「寄生獣」の映画化が決定した2013年に、こんな記事を書いた。

映画化決定であらためて考えた、岩明明「寄生獣」随想 -http://d.hatena.ne.jp/gryphon/20131122/p3


バディもの、それも人間(素朴な理想や正義にのっとって行動)+非人間(その正義を肯定しないが、バディとのいきがかりで協力する)だと考えると、今思えば「うしおととら」とも、ほぼ同時代だったよな。当時、藤田和日郎先生は「寄生獣」を意識してたりしたんだろうか。小学館講談社だし、案外、当事者は気にしてないかもだが。これは勝手な想像である。

ただのファンの一妄言であった。

だが、その後…

2014年2月1日、突然作者自身のツイート

藤田和日郎@Ufujitakazuhiro

https://twitter.com/Ufujitakazuhiro/status/429569682790547457

父のトクトク本棚をあさっていたムスコの中2の量多が

「なにこれ、すっごい……カラダが割れて、ぐにゅうって……!」

「うむ。」おれは重々しくうなづく。

もうそういう年齢になったのだ。

そろそろそれを読んでも良いのだろう。

バッカ、読めってそれすんげえんだから!」

  

七月鏡一 ‏@JULY_MIRROR 2014年2月1日

@Ufujitakazuhiro 「寄生獣」ですか

 

藤田和日郎 ‏@Ufujitakazuhiro 2014年2月1日

@JULY_MIRROR ピンポーン‼︎(^O^)

さっすがー!七月さーん!

実は『平成寺田ヒロオ』こと藤田氏、自分が感動した作品は同業者、ライバルの作品だろうと、手放しで絶賛する性質がある(笑)。たいへんすがすがしく、美しく、第三者の我々まで言われて嬉しくなるのだから、その褒められた作者本人にとっての嬉しさは想像もつかない。

ま、そんなわけで一方の「90年代バディもの」傑作の作者は、息子にもう一方の傑作を「すっげえんだから」と薦めるという最上級の賞賛をした。その作者自身の作品も、寄生獣にまさるとも劣らない……ということは、いきなり格が下がるが(笑)、私が保証しよう。


まずはサンデーコミックス版なら19巻を読んでみたまえ(さとりの回)。/詰まらなかったら俺がカネを出そう。

(注意:下のリンク先を全部読むとネタバレになります。ご判断の上でどうぞ)

http://ameblo.jp/yoshiki-0722/entry-10608944644.html

第31章「ブランコをこいだ日」

うしとらマニアの間でも非常に評価の高いのがこの31章。鎌鼬の十郎編と似たような展開でありながら、十郎とはまた違った哀しみが溢れるんです…しょぼん

さて前章で全く出番のなかった潮が今回の主役。「嘘をつかない」それを誇りとし自慢とする潮が主役です。

そんな潮が出会った少年が……


うしおととら」は長編漫画だが、かなり最初の頃から絵も構成もハイクオリティだったので1巻からお勧めしてもいいのだが、やはりこのロングストーリーの中で「珠玉の独立した物語」を紹介するのも意味があろう。

としたら、「さとり」の回を紹介する、というのも平凡な選択ではあるが王道だな。

で、「保険」つうのは何かというと

「もしこの19巻(『さとり』の回など)を読んだけどつまらなかった、カネ返せ」という人がいたら、おれが(はてなポイントで)払ってやるよ、ということです。

一応、細部の条件はこちら

・期間は本日から1カ月(2015年3月7日まで)

・先着三名まで。

はてなポイントの送信で送るので、はてなユーザーが対象。あるいはこのためにだめでも、はてなアカウントを取ってください

・本日付記事のコメント欄にて、はてなアカウントで「返金希望します」と書き込んでください。

kindleの代金分=432円分=432ポイントを送信いたします


ま、それぐらいにこの作品はすごい、自信があるがゆえの企画です。

ただ、この「さとり」のエピソード…すごい話なのだが、最終話は20巻収録なんだよな(笑)

あざといが、それは商売的には小学館の判断が正しかろう。間を置くあたわず、20巻をすぐに購読したくなるだろうさ。



「自立した女性」の描き方、ナイチンゲール〜現在の藤田和日郎連載作品、そのほかについて(予告)



上の話をもともとは一緒に書くつもりだったのだが、ちょっと体力的にしんどくなったので、「うしおととら」の話だけにしました。残念。

あとで機会があれば。

その時は「衛生と医学歴史」、そして「アナと雪の女王」「ベイマックス」などで、ネットでは盛り上がった「フィクションにおける自立した女性の描き方」や「政治的正しさ」みたいな話を書いてみたいと思っています。

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