佐賀県の武雄市が、市内の全児童にタブレットを無償貸与すると発表して話題になったのはちょうど1年前の事です。
事前に授業の動画などで予習をした上で授業にのぞむ「反転学習」とよばれる学習スタイルを導入するというのが目的でした。
タブレットを何につかっているのか
武雄市は、小学生へのタブレット配布にあたり、KEIAN製 7インチAndroid タブレット 3153台と11校分のシステムサーバー、学習支援システムで、総予算約1億2298万円を投じています。
3年生から算数、4年生からは理科を加えた2科目で活用を始めたとされていますが、武雄市が投じた1億2298万円には、授業に利用する「教材」の費用は含まれていません。
教材はどうしているかというと、学習塾のワオ・コーポレーション、科学雑誌のニュートンプレス、市内小学校の教諭が共同で開発しているそうです。
また、東洋大学・DeNAと連携して、小1の約40人を対象に、プログラミング教育を試験的に行っています。
教育用タブレットにバナー広告
武雄市は、タブレット活用や民間塾との連携などを「教育改革」と位置づけています。
その目的として、児童生徒の学力向上はもちろんなのですが、魅力的な教育環境を作ることで、移住者を増やそうという目論見もあるようです。
実際、2015年1月には、移住者を対象に武雄市の学校を親子で見学するツアーも開催されています。
昨日、「武雄の教育 親子見学ツアー」の日が開催されました。
学習塾「花まる学習会」と公教育が連携して取り組む日本初の「官民一体型小学校」。今年4月から武内小学校と東川登小学校でスタートするのですが、その見学ツアーに13組31人の皆さんにお越しいただきました。県内、九州だけでなく遠くは愛知県、埼玉県からも。ほんとうに嬉しい限り。
(中略)
官民一体型学校については、「世界一行きたい学校を」を合言葉に、学校、地域や保護者の皆さん、教育委員会・市役所などが一致団結して進めてきました。今回のツアーも、地域の総力を結集してのお迎え。決しておおげさに見せるわけでなく、飾らない、等身大の武雄を見ていただくことができたのではないかと思っています。
ツアーに参加した子どもたちが、武雄市の子供たちと一緒に、タブレットでの体験授業を受ける様子が多数報道されました。
その中に驚くべき点がありました。
武雄市の小学生が使うタブレット。
九九を勉強してる画面の下に、メルカリのバナーが出てるの発見。
電子書籍系バナーが出るのも時間の問題だね。 pic.twitter.com/KAvKUq3EaS
— タナ カルミ (@nukalumix) 2015, 2月 5子どもたちが使っているタブレットのアプリに、バナー広告が入っているのです。
どうやら、Google Playで無料ダウンロードできる、かけざん九九練習アプリを、授業用タブレットにインストールして、授業に使っているようです。
県外からの移住も視野に入れているという見学者に対して、「武雄市発の教育改革」として見せているのが、誰でも使える広告入りの無料アプリだという現実。
「自ら体験ツアーに参加して、バナーの出ている画面を覗きこんでも、何の疑問も感じていない武雄市長」 *1、「教育委員を増員して日本一となった武雄市教育委員会」*2、「武雄市のICT教育事業にコミットしているという東洋大学」*3は、寄ってたかって何をしてるんでしょうか?
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いいかげんな大人のせいで恥をかく子供たち
さて、教育用タブレットと広告の関係については、2013年9月に興味深いやりとりががあります。
建設的な意見、ありがとうございます。RT @oooo_bot: タブレット費用ですが、スポンサーか広告を募ればいいんじゃないですか。タブレットの端にバナー広告がつく、もちろん勉強の邪魔にならない内容で。そしたら端末代軽減できるんじゃ
— 中村伊知哉 (@ichiyanakamura) 2013, 9月 26「バナー広告を入れれば、教育用のタブレットも安く入れられるんじゃね?」という、一般の方の軽めなアイディアに、慶應義塾大学教授の中村伊知哉氏は「建設的な意見」と反応しています。
この一般の方ですが、現在は「Rayban眼鏡の偽通販サイト」の宣伝にお忙しいようですね。
武雄市長、武雄市教育委員会の皆さん、学習用タブレットに広告入り無料アプリを入れる意味を、ちゃんと考えましたか?
タダで見栄えがいいからという理由で、適当にGoogle Playで検索したアプリを入れてませんか?
ちゃんと聞くべき人の意見を聞いていますか?
最も不幸なのは「こんなに全国から注目されているんだから、自分たちは最新のICT教育を受けているんだ」と勘違いしてしまい、将来恥をかくことになるであろう、武雄の子どもたちでしょう。