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PM2.5 国内での対策案 初めてまとまる
2月6日 4時58分

PM2.5 国内での対策案 初めてまとまる
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大気汚染物質のPM2.5について環境省の専門家会議は、国内での排出対策の案を初めてまとめました。
原因物質としてガソリンスタンドで燃料が気化して出るガス・「ガソリンベーパー」などを挙げ国に対し、対策の検討を求めています。

PM2.5は、空気中を漂う粒子の大きさが2.5マイクロメートル以下と極めて小さい大気汚染物質で、肺の奥深くまで入り込んでぜんそくや気管支炎などの病気を引き起こすおそれがあると指摘されています。
国内では、1年間の平均の濃度が減少傾向にあるものの、環境基準を達成している全国の観測地点の割合は、3割から4割にとどまっていて、5日都内で開かれた環境省の専門家会議で、PM2.5の排出対策の案を初めてまとめました。
それによりますと、国内のPM2.5の平均濃度は、西日本では、中国大陸や朝鮮半島で発生した汚染物質の影響が大きい一方、関東では、国内で発生した汚染物質の影響がおよそ5割を占めると推計されるとしています。
そのうえで、PM2.5の原因物質として、工場などから出るばいじんなどを挙げ、このうち、ガソリンスタンドで燃料が気化して出るガス・「ガソリンベーパー」については排出量削減の取り組みが進んでいないとして、対策の導入を早急に検討すべきとしています。また、大気汚染防止法の規制対象となっていない肥料などから出るアンモニアや野焼きについても排出を抑える対策を中長期的に検討すべきとしています。
会議の委員長を務めた国立環境研究所の大原利眞フェローは、「PM2.5というと越境汚染に注目しがちだが、国内の都市部の大気汚染による影響も大きく、対策をしっかりと進めていく必要がある」と話しています。

「ガソリンベーパー」対策進める現場では

ガソリンスタンドなどで燃料が気化して出るガスで、PM2.5の原因物質とされる「ガソリンベーパー」について、環境への配慮などから回収装置の導入を進める動きも出てきています。神奈川県内で9つのガソリンスタンドを経営する長島康郎さん(57)は海老名市で3年前にオープンした店舗にガソリンベーパーの回収装置をおよそ1000万円かけて導入しました。
5つある給油機は、ノズルが特殊な構造になっていて中心にあるパイプで給油するのと同時に、自動車の燃料タンクから出るガソリンベーパーをパイプの周りの隙間から吸い込み、液体に変えて回収します。
また、タンクローリーから地下のタンクにガソリンを貯蔵する際に、中から発生するガソリンベーパーを回収する装置も設置しています。長島さんは、ガソリンベーパーに特有のにおいを減らすとともに、環境に配慮してPM2.5などの排出を抑えようと、回収装置を設置したということで今後、導入する店舗を増やすことを検討しています。
長島さんは、「お客さんにも環境にも配慮したガソリンスタンドにしたいと思い、思い切って投資をした。アメリカやヨーロッパではすでに規制されているので、日本もその方向に進むのではないか」と話しています。

ガソリンベーパーとは

燃料が気化して出るガス「ガソリンベーパー」は、PM2.5の原因物質とされるVOC=揮発性有機化合物の1つで、特有のにおいを発します。
環境省によりますと、全国のガソリンスタンドで発生するガソリンベーパーの量は、年間10万トン台から11万トン台と推計されています。
給油時に発生するガソリンベーパーを巡っては、大気汚染の防止に向けてEU=ヨーロッパ連合やアメリカなどで、ガソリンスタンドや自動車に回収装置の設置を義務付ける規制がありますが、国内では、一部の自治体を除き、こうした規制は行われていません。
環境省などはコストや技術的な側面を考慮しながら、今後、規制の在り方について検討していきたいとしています。

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