村上さん、はじめまして。
娘の影響で年がいってから村上さんの作品を読み始めたので、投稿者の中では高齢の部に入ると思います。
阪神大震災が起きた後、村上さんが故・河合隼雄さんと対談されていた会話の中に「今回の震災を期に若者がボランティアに参加したり、これからの日本はどんどん良い方向に変わっていくような気がする」というような内容があったように思います。
ですが今の日本を見ているとどこか退行していっているような気もします。
もしかすると村上さんはそんな日本が少しイヤになっておられるような気がするのですが気のせいでしょうか?
(やまんば、女性、66歳、主婦)
世の中は前に進んだり、後ろに下がったりしながら、長期的に見れば前に進んでいくものだと、僕は基本的に考えています。揺り戻しはあるかもしれないけれど、そのうちにまたポジティブな面も出てくると思いますよ。僕は小説を書く人間なので、良いも悪いも、今ここにあるものをじっくりと正確に観察することが仕事です。良いとか悪いとかは、できるだけ判断を避けるようにしています。たしかに今ある状況を見ていると、いささかがっかりしてしまうこともありますが、僕としては姿勢を変えることなく、自分の持ち場で自分のやるべきことを継続してやっていくしかありません。
村上春樹拝