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乾為天(けんいてん) |
〜 偉大なる天、高くして広大、創造的、盈れば欠ける、目標を掲げ前向きに一生懸命頑張る時 〜
- 昇龍の象 = 龍が地に上がり天を目指し少しずつ力蓄えながら昇り行く姿 −
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☆卦辞: 乾。 元亨利貞。(けんは、げんこうりてい。 おおいにとおりてただしきによろし。)
キーワード: 男性性、男性健康体、多忙、女性には強すぎる、金銭トラブル、車の事故、結実困難、剛健、頑固、
疲れ知らず、壮年期、盈つるは欠くるの兆しあり、威張ったり偉そうにしてはNG、慢心NG、力が付く程謙虚さが要 など
*八純之卦 消長卦 全陽の卦 五月の卦 成卦主は五爻
☆序卦伝: 「天地ありて然る後に万物生ず。」
乾の卦は天であり六十四卦最初の卦。次に地である坤の卦があります。天と地があり、はじめて万物が生じます。
解説&運勢: 天と天が二つ重なった全陽の卦です。天高く大宇宙の元気が満ち、活気と勢いがあります。この卦は龍が地に上がり
天を目指し力蓄えつつ昇り行く姿を物語っている卦です。 万事前向きに高い目標と勇気を持って人生を開拓する
時なのです。 卦辞の「元享利貞」を全体からみますと、元は種、享は成長、利は開花、貞は実を結ぶことを表します。
「元享利貞」を四季とすれば、元は春、万物が芽吹き、享は夏、万物が成長し、利は秋、万物が実り、貞は冬、成熟
した実が翌年の春の芽吹きの元となる、というように、終始循環してやまず、終わることのないサイクルは、宇宙の
原動力であって、自然の流れなのですから、自然の流れに逆らうことのないよう、現在の器や立場を冷静且つ客観的に
しっかりと見つめ、臨機応変に、そして何より謙虚な姿勢で対処すれば、事物の変化する法則を掌握して目的達成
できるということを説いています。(「元享利貞」は「仁義礼智」にも当てはまります。元は仁、万民を養い育てる仁徳、
享は礼、礼儀三百威儀三千、堂々と麗しい姿、利は義、義は物事が其々の相応しい場所を得るとし、そして貞は智、
智は事物の是非善悪弁別し、正しい道を守る根本ですから、乾の卦は仁義礼智の四徳も備えているのです。
易の言葉は読み解いて行くと深いですね)
運勢的には、期待はできても実際はなかなか順調に進み難い時ですが、諦めず怠けず目標に向かってコツコツ努力
することで努力は報われます。また、自信過剰になって手に余る仕事に手を出さないよう、理想に走り、空転することの
ないよう、威勢を張ったり妄動せず、常に周囲に耳を傾ける謙虚な姿勢を保ち、そして御自身を冷静且つ客観的に
見ながら可能性を信じ、手堅く昇り進みましょう。力強く盛んな運勢を示す卦ではありますが、それだけに困難もあり、
盛んになり過ぎると衰うのは常ですから、折角昇り詰めても衰落せぬよう、調子に乗り過ぎないよう慎重に、周囲への
気配りを忘れずに。
☆初爻 - 爻辞: 潜龍勿用。(せんりゅうもちうるなかれ)
キーワード:時期尚早、時を得ていない、大いに戒慎要す、たとえ自信があっても好機を待つ時、勢い任せで
行動前進はNG、目上との関係を円滑に、じっと隠れている龍 など
解説&運勢: 乾の卦をたとえて龍とし、この卦の六爻は皆龍の如き勢い、徳を持っていますが、初爻の
「潜龍」とは田んぼの中に潜む龍の姿になります。未熟で若い潜龍の時を表し、水中にあり
まだ時を得ていないことを意味します。故にまだ力不足で時期整わず力が発揮できない修行中
の時。会社でいえば新入社員。経験も浅く、まだ自分で思っているほど力はありませんので、
周囲から認めてもらえない時です。このような時は、逸る気持ちを抑え、隠忍努力し、じっと
我慢して力を貯え、時期を待つ時なのです。 耐えながら頑張る姿はきっと、有識者の目に
とまる筈ですから。(小凶)
★恋愛・結婚・相性〜まだ機が熟していない、焦り禁物、相手にその気なし、女性は気が強すぎる。不釣合い。
★仕事・取引〜時勢に合わず、手出し不可。利益低い。現状維持に徹して無難。
★金運〜恵まれ難い、運がつくまでセーブして無難。
★病気〜弱り気味、覇気がない、風邪を拗らせない様注意、甘く見ていると八純卦で次第に重くなる。 足を傷めている。
★入試・就職〜実力及ばず、希望を一段下げて無難。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない、既にしているとすれば女子、お産は早産の予感。早めの対応を。
★紛失、失せ物〜重なったものの一番下、布やシート、紙類の下にある。
☆二爻 - 爻辞: 見龍在田。利見大人。(けんりゅうでんにあり。たいじんをみるによろし。)
キーワード: 好機到来、力が認められる、世話苦労多いが目上の助力得て順調、利己的自己過信独善独行は
孤立失敗招きNG、物欲凶、精神的なことは吉 など
解説&運勢: 「見龍」とは田んぼの上、地上に上がってきて眩しいほど周りが見えてきた龍の姿。やっと、
力がついてきて、世間に現われたばかりの龍です。「真っ暗だった田んぼの中からやっと地上
に顔を出した時、大人(有識者)に会えます」。会社でいえばようやく周囲から認められはじめた
ところです。しかし、頭角をあらわし始めたといっても、まだまだ経験不足。有識者、尊敬できる
師の指導を謙虚に受けましょう。貴方の努力や志を買ってくれる人がすくい上げてくれる時。
謙虚にすくいあげて下さるその大人の指導に耳を傾け努めることで、好転して行く気運です。(吉)
★恋愛・結婚・相性〜立派な人に仲人してもらえるなら吉。単独では成立し難い。女子強く、家庭和合得難い。亭主関白派には向かない。
★仕事・取引〜上司や立派な人に相談すれば吉。転業はまだ力不足だが、立派な人にすすめられたなら転業開業共に吉。
★金運〜これから少しずつ良くなります。とはいえ無駄遣いは禁物。
★病気〜帰魂の卦故凶兆。流行性の病気に注意。治療万全に。
★入試・就職〜相応なところなら合格。 先生や立派な人の意見に従いましょう。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない、既にしているとすれば男子、帝王切開の兆しがありますが、安産。
★紛失、失せ物〜屋外、玄関先、広々とした場所、庭等。箪笥やクローゼットの中も怪しい。
☆三爻 - 爻辞: 君子終日乾乾。夕タ若。持ル咎。(くんししゅうじつけんけん。ゆうべまでてきじゃくたれば、
あやうけれどもとがなし。)
キーワード:他人を軽視して失敗、我欲を抑えよ、反省、気配り、責任ある立場に立つ、酒色注意 など
解説&運勢: この爻は、下卦の極にあって、上卦と接する所、上卦への移り変わりのところですので、
ひとつの節となり、とても慎重を要さなければ危険な個所となります。「君子たるもの、己の
置かれた地位を意識し、朝から日暮れまで一日中乾乾(せっせと)と徳行を重ね、夕方に
至れば己を反省し、過ちがないかと恐れ憂うるのです。このようにとても慎重な姿勢をとる
のであれば、危険はあっても禍には至りません。」。会社でたとえますと課長の地位の苦労を
表します。今は持ち前の勢いある剛強な陽の気質によって、終日休まず努力を重ねても、
反省しつつ何とか過失を免れ禍に至らないという時ですから、新しい事に手を広げようですとか
冒険心は命取りになることに。今まで継続してきたことさえも危険な状況にあるのですから、
身を以って慎み本業に専念し、日々地道にコツコツ頑張る時です。
内卦の極でどうしても変化を求めてしまいがちなところですが、足元をすくわれないよう
常に警戒注意が必要です。気配り、反省が大切になります。(小吉)
★恋愛・結婚・相性〜残念ながらあまり良い相手とはいえない。次の縁を待って無難。
★仕事・取引〜中々良い方へ進まず試練の時。 転業開業新規な事等は無理に進めず時を待って無難。
★金運〜コツコツ貯蓄の時。カードの使いすぎ、ネットショッピング、オークションにはまりすぎないよう散財に注意。
★病気〜過労気味。無理せず休める時に休みましょう。肺や腰痛等に苦しむ相あり。既に病あれば完治に至らぬ予感。養生しましょう。
★入試・就職〜コツコツ真面目に勉強を怠らなければ合格。 高望みせず相応なところなら合格。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない、既にしているなら男子。 夕刻に産気づき、無事出産。
★紛失、失せ物〜箪笥やクローゼット、引き出しの中、積み重ねたものの中に潜んでいる可能性が。
☆四爻 - 爻辞: 或躍在淵。无咎。(あるいはおどりてふちにあり。とがなし。)
キーワード: 分相応なら全力で当たってOK,決断や進退に大切な時、不馴れなことは慎重に、先立たず
賢人に従って進む時 など
解説&運勢: 「龍が修行を積み自信がついてきたので池の淵から天を目指し躍り上がってみようかなぁと
思うのですが、慎重になり、地に戻りますので禍はありません」。
力がついて来たからと、勢いづくのはまだ早い時です。慎重に、少し飛んでみて様子を伺いつつ
反省することを繰り返し、自身の力量を客観的に見直すことが大切です。しっかり整うまでは慎重に。
整えばゴーサイン。会社では部長のポジション。焦らず分限を守り手堅く慎重に行動する時。
目標まであと一歩の時です。(小吉)
★恋愛・結婚・相性〜迷ったり躊躇したりで中々決断しかね、残念ながら好期を逃す、次の縁を待って無難。
★仕事・取引〜途中で邪魔が入ったり、色々支障が出て中々進まず悩みが生じるが、何とか成立の見込みあり。
★金運〜コツコツ貯蓄の時。安易に散財せず目的を持って貯めましょう。
★病気〜いったん良くなっても再発の可能性が。甘く見ずしっかり治しましょう。腹部辺りの病に注意。
★入試・就職〜高望みせず、目的をしっかり絞り、相応なところならば合格。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない、既にしているなら男子、微弱陣痛、切迫流産早産気味で、入院がありそうだが無事出産。
★紛失、失せ物〜水場、キッチン、バスルーム、ガラスの戸棚や棚辺りを探してみましょう。
☆五爻 - 爻辞: 飛龍在天。利見大人。(ひりゅうてんにあり。たいじんをみるによろし。)
キーワード: 運気盛大、力を十二分に発揮、苦労のし甲斐がある、誠心を以って当たり成功、驕ると大凶 など
解説&運勢: 龍は雲(=龍を慕い応援する人々)を呼び雨を降らせられる程力がつき、剛健中正の徳を備えて
立派に成長しました。「飛龍が天高く昇り大人に会える時」。時と所を得、まさに絶好調の
時です。大人(有識者)の意見を謙虚に聞いて行動すれば幸運を齎します。(大吉)
★恋愛・結婚・相性〜良縁です。できるだけ早く話を進めましょう。結婚までとんとん拍子。大吉です。
★仕事・取引〜大成果が期待できそう。有利な成立になります。大吉。
★金運〜金運大吉。とはいえ、調子に乗って使いすぎないよう注意。
★病気〜偏頭痛に悩まされる、脳の病気、頭の傷など頭上注意。
★入試・就職〜志望するところに合格します。先生や親、目上に相談して学校を選びましょう。就職先は長く勤められそう。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない、既にしているなら男子。予定日が遅れることもあるが安産。
★紛失、失せ物〜高いところに置き忘れている可能性が。もしくは電化製品の傍、バッグの中などを探してみましょう。
☆上爻 - 爻辞: 亢龍有悔。(こうりゅうくいあり。)
キーワード: 盈れば欠ける、自信過剰で退くことを忘れる時、現状維持に努めよ、行き過ぎは大怪我のもと など
解説&運勢: 高く昇り過ぎて極まってしまった龍の姿。有頂天になり、過剛不中で進むを知って退くを知らず、
勢いに任せて行き過ぎ、やり過ぎな龍の姿です。 満れば欠ける・・・退くことを知らず慢心し、
昇りすぎた龍は、周囲から見放され後悔しています。昇り過ぎてしまったので雲(周囲で
応援してくれていた人々))も消え雨を降らす力(徳)もなくなってしまいました。
強気でやりすぎ、周囲から浮いてしまっている姿が亢龍なのです。欲望を捨て、謙譲なる姿勢が
要です。 これ以上拡大強化することは失敗に繋がります。万事危険が孕んでいます。(凶)
★恋愛・結婚・相性〜残念ながら相性が良くなさそう。やめて無難。無理に結婚しても別れることになりそう。
★仕事・取引〜難航不調、表面的には良い話でも内実伴わず破談になる可能性が高い。
★金運〜欲張るとかえって損をします。出すべきお金はちゃんと出して、無駄遣いは慎みましょう。
★病気〜過信しすぎると体調を崩します。特に油断すると病状は急迫。 頭部の病気、頭痛、怪我に気をつけましょう。
★入試・就職〜不相応なところを高望みすると不合格。 自分に合ったレベルのところを選びましょう。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない、既にしているなら男子、お産は流産早産の可能性がありますので大事にしましょう。
★紛失、失せ物〜高いところに置いて落ちた可能性が。残念ながら壊れているかもしれません。積み重なった物の上を探してみましょう。
☆用九 − 見群龍无首、吉。(ぐんりゅう、くびなきをみる。きちなり)
用九とは乾・坤両卦のみにあるプラスアルファの解説です。坤卦は用六となります。また、用九は乾卦
のみならず、陽爻を得た全ての場合の心得ともなります。
群龍とは乾の六爻のことです。全てが陽剛で勢いが盛んな様。潜龍、見龍、飛龍、亢龍も、どのような
シーンであってもその頭を隠し現さない事が吉、ということは、龍の剛威は頭にあり、頭を隠すよう
己の力を敢えて誇示したり威厳を振るう事のないよう、人の先頭に立たず、「私は、私が!」と、目立とうと
せず、常に謙虚に控え目な姿勢を取ることで吉を得る事ができる、と、説いているのです。
天は根源的な底知れぬ力があり、万物を生み、伸ばし、結実し、それをしっかり保ち、そしてまた、
新たなものを創造する、という天徳があります。しかし「天徳は主となるべからず」。このような偉大なる力は、
その力を万物に与えることはあっても、その与えた手柄を誇示したり、恩着せがましくしたり、自己宣伝の
ように力を表面に現してしまってはNG@野暮というものなのです。天の力の御蔭で伸びゆく万物の成長を
温かく見守り、助け、支えてこそ天徳の尊さというものが得られるのです。
今の女性は昔の女性に比べると、社会進出が進み、結婚、出産を経ても様々な職場で才能を生かし、自信とプライドを持って
活躍しています。 それはとても素晴らしいことと思いますし、今の時代はそれが普通になりつつあることも喜ばしいことです。^^
SNSなどの自己紹介を拝見しましても、元気な同世代女性が沢山ご活躍され、積極的にご自分の立場や夢、希望をアピール
なさっている姿が目立ちます。 そういうプロフィールを読むと、とても嬉しくなりますし、私も頑張らなきゃ!と、励まされるものです。
自分に自信を持つということは、とっても素敵なことで、向上心にも繋がり、周囲に勇気と希望を与えることにもなります。
しかし、矢張り何事も過ぎたるは及ばざるが如しで、勢いづきすぎて知らずに一線を越えてしまい、自信過剰の域に達してしまうと、
周囲に勇気や希望、励ましを与えられるどころか、敬遠されてしまうようになりますよね。
この乾為天 上爻に、亢龍有悔 という言葉が出てきます。 己の才能に溺れ、自信過剰になり、驕り高ぶって周囲が
見えなくなる姿です。 私自身、すぐ、調子付きやすく、何事もやり過ぎ行き過ぎになってしまう傾向がありますので、
常に肝に銘じておきたい言葉です。
その昔、小学生の頃、私は友達から、「マリちゃんはお洒落ね」と、褒められることがよくありました。そのうち友達から
「このスカート、どう思う?」などと、ファッションについて意見を求められるようになり、「ここをこうするともっと可愛くなるよ。」
という風に提案すると、とても喜んでもらえ、友達に喜ばれることがとても嬉しく感じたものでした。 嬉しさと共に、
自分の着こなしに自信を持てるようにもなりました。 しかしそのうち、意見を求められなくても、「あなたの今日のシャツ、
その色じゃない方がもっと栄えるのに。」ですとか、意見を求められても、「それでは駄目。もっと頭使いなさいよ。」のように、
言葉が段々キツく偉そうに変わっていったのです。 当然ですが、そうしているうちに、私にファッションについての意見を求める子が誰も
いなくなりました。有難いことに親友が、「マリちゃん、最近何だか偉そうで恐い。」と、私の高慢な言葉遣いを注意してくださり、
ハッと我が身を振り返り、自分は今まで何て偉そうな嫌な態度をとっていたのかととても恥ずかしくなり、酷い言葉を放ってしまった
ひとりひとりに謝りました。 幸い寛大な良いお友達ばかりでしたので、有難いことに許してもらえ、それを機に、自信過剰は
ふんぞりかえりのもとなのだと、身にしみて学習しました。
祖母からも、「どんなに自信のあることでも、それを振り翳したり、高圧的な態度を取ってしまっては、折角の自信が目を背けたく
なる程下品に変わってしまうのよ。 慎み、謙虚さ、特に女性は恥じらいの気持ちを失ってはお終いです。 頭を冷やしなさい。」
と、お説教されました。 大変耳が痛かったです。
・・・この年になり、周囲を見ますと、時折、嘗ての自分のような自信過剰な女性に遭遇することがあります。 きっと、ご自分に誇りを
持ち、自信がおありなのでしょうけど、自信を持っていることに対して、何故か苛々怒っているようにも感じます。
「あなたはちっともわかっていない!それはそうじゃないでしょうが!」のように、私を誰だと思っているの?!的な苛立ちというか・・・
自分が一番詳しいのだから無駄口挟むなという勢いでこちらを蔑みますが、聞いている方は何故怒られなきゃならないのか
理解に苦しみ、とても疲れてしまいます。
自信過剰になると、謙虚さや穏やかさがなくなり、知らずに口調が厳しく、刺々しく怒りっぽく高圧的で、排他的になってしまいます。
そして、人の意見を聞く耳を持たなくなり、人をいつの間にか遠ざけてしまいます。それによって、その自信は不動のものになりますが、
周りにはもう、それを振り翳す人がいません。 それは、勝利か敗北か、どちらでしょう・・・? 哀れというひとことしか見つかりません。
私自身をはじめ、何方にも陥る可能性のある「亢龍有悔」。 嫌な自分を見ることは、勇気のいることですが、周囲の
大切な人を失ってしまう前に、初心(潜龍)に返り、謙虚に自分を省みることは、とても大切ですよね。
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坤為地(こんいち) |
〜 大地の包容、受け入れる、育む、穏やかな牝馬の如く柔軟に一歩さがって進む時 〜
− 受容力の象 = 女は弱し、然れど母は強し。強さとは即ち柔らかさ。
乳房も臀部も心も柔らかに神々しく母なる大地の如く −
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☆卦辞:坤元亨。利牝馬之貞。安貞吉。(こんはおおいにとおる。ひんばのていによろし。あんずればきつなり)
キーワード:控えめ、地道な努力、受動的、消極性、女性性、女性の健康体、世話苦労多し、先立てば失敗、寛容、内助の功、包容力、
忍耐、庶民的、月、補佐役、育成、結論は急がずに、のんびり、敢えて地味に、縁の下の力持ち、After You など
*八純卦 消長卦 十一月の卦 成卦主は二爻
☆序卦伝: 「天地ありて然る後に万物生ず。」
天は乾の卦であり六十四卦最初の卦。次にこの、地である坤の卦があります。天と地があり、はじめて万物が生じます。
解説&運勢:坤為地は、地と地が二つ重なった全陰の卦です。母なる大地の柔らかで優しい姿。賢く従順な母馬が飼い主に従い
親子でのんびり寛いでいる姿を連想する、愛情深く優しい情景です。母なる大地の言葉の如く、大地は豊かな
力を蓄えあらゆるものを生み育てます。(踏まれても蹴られても傷つけられてもずっとそのまま耐え、人も動物も家も
ビルも山も地上にある一切のものを乗せられる力持ちでもあります)前の卦、乾の力強い男性的なイメージに対し、
女性的な弱いイメージです。 柔軟であることは決して剛健より劣っているということではなく、天の力強いエネルギーを
しっかり地で受け止めてこそ発現しますので、これこそ易の本質、陰陽二気合一の大切さを表します。物事は何事も陰陽で
成り立っています。表(陽)があれば裏(陰)があり、昼(陽)があれば夜(陰)があり、男性(陽)が居れば女性(陰)が居て、
陰陽のどちらか片方が良い悪いではなく、優れている劣っているのではなく、男性の精力も女性の深い受容力が
あってこそはじめて活かされ、新しい命を生みだす事が可能となるのですから、陰陽どちらかが行き過ぎてしまうことの
ないようバランスを上手に取る事が大切なのです。易は「中」を重んじる、といいますが、中庸の徳を尊びます。易辞の
なかでも多くの「中」が強調されています。(この、中徳につきましては易の部屋で後程ゆっくりお話させていただきます。)
話が「中」にそれてしまいましたが、この坤の卦は敢えて坤道に従い、柔順に我が道を守る事が大切であることを説いて
います。 ですので「我れこそが!」と、先頭きって進めば迷ってしまい、後に従うなら主を得るということで、この卦を
得た時は、分を弁え、人の後ろから静かについて行き、人の意見に謙虚に耳を傾け、裏方役に徹した方が成功しやすい
時なのです。 「我先に」ではなく「お先にどうぞ」という『余裕』がポイントです。 私は英語の After you. という言葉が
大好きです。 この言葉を発する人の殆どは余裕の温かい笑みを見せてくれるものです。 例えば満員電車に
ギューギュー詰めになって無理矢理乗るよりも、次の電車を待つ余裕が大切なんですね。 慌てず騒がずのんびりと。
願いは後で叶うものなのです。
運勢的には、世話苦労が多い時ではありますが、万事控え目に、柔軟な対応で吉となります。余裕を持って譲る気持ち
を忘れずに、少々カチンと来る事があっても、言い返したり言い負かそうとすると事態は悪化しますので、冷静になり
一歩譲り素直で控え目な対応が幸いを齎します。
☆初爻 - 爻辞:履霜。堅氷至。(しもをふみてけんぴょうにいたる)
キーワード:悪いことを小さいうちに抑止し拡大防止する時、不善の徒と知り合うことあり、独断NG,
衰運の気配を察知し今の内戒慎注意を怠らぬこと など
解説&運勢:「薄い氷も少しずつ厚い氷となる。何事も前触れを推測して進みましょう」。
薄い氷を踏んだ時に、既にその氷が厚くなり結氷の時期が来ること(危険)を想像し、
警戒、用心することが要。小事が大事に至りやすい。取るに足らない言動が、いつのまにか
取り返しのつかない厚い氷にならぬよう、注意しましょう。物事はいきなり起こるという
ことはないものです。万事不吉の前兆があるとみますので、何事も警戒心、早めの対処が大切。
早期発見、早期治療がポイント。 今ならまだ間に合います。 今の内に手を打ちましょう。(小凶)
★恋愛・結婚・相性〜残念ながらあまり良い相手ではなさそう。 次の縁を待って無難。
★仕事・取引〜最初から難航しているなら不調だが、良い手ごたえを感じたなら成立。利に迷うと失敗、欲張り禁物。
★金運〜辛抱の時。ギャンブルなどで安易に取り返そうとすると益々事態悪化。
★病気〜治りかけが大事。甘く見てぶり返さないよう気をつけて。
★入試・就職〜レベル相応のところなら合格。自分に合ったと思われる最初に志したところに進んで無難。
★妊娠・出産〜妊娠の兆しあり、性別は女子、初期を大事に、悪阻は我慢しすぎず入院したり、切迫流産等に気をつけて。
★紛失、失せ物〜落としてしまった可能性が。もしくはしまい忘れた箇所を何度も探すと出てくる可能性が。
☆二爻 - 爻辞: 直方大。不習无不利。(ちょくほうだい。 ならわざれどもよろしからざるなし。)
キーワード: 運気順調、力量認められ抜粋重用される、望み事意の如く通じ喜びみる、衆人の上に立つ など
解説&運勢: 陰の位に正しく居て、中庸の徳をもっています。陰の最善の徳を持っていますので、
柔順中正の理想的な体特者、乾の気を十分受け入れられる大地のような自然の力が備わって
いる時ですので、全てが真っ直ぐに進展し、また、その力が四方に拡大され、限りなく広大と
なって行きますので、敢えて習うことをせずとも万事順調とします。 地味な活動が報われ
信頼されるようになる時。自然の法則に従えば大丈夫な時ですから、今後も坤為地の精神で
地道に進みましょう。(大吉)
★恋愛・結婚・相性〜良縁に恵まれます。誠実で慈愛に満ちた相手への敬愛を忘れることなく末永くお幸せに。
★仕事・取引〜次第に発展の兆しあり。こちらの意見を通そうと必死になることなく、聞く耳を持ち和して接することが要。
★金運〜安定します。しかし、収支のバランスをしっかり考え、大判振る舞いは控えましょう。
★病気〜長引く予感。だが、老婦の病は然程心配はなさそう。名医にかかれば大丈夫です。
★入試・就職〜問題なし。今まで努力してきた成果があがる時。合格間違いないでしょう。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない、既にしているなら女子、安産でしょう。
★紛失、失せ物〜置き忘れ、しまい忘れたところを念入りに探しましょう。四角い大きな箱の中が怪しいです。キッチン、バスルーム、
寝室、クローゼット、ベッドの下なども探しましょう。
☆三爻 - 爻辞: 含章可貞。或從王事。无成有終。(しょうをふくむていにすべし。あるいはおうじにしたがえば
なすことなけれどもおわりあり。)
キーワード: 力あっても誇示せず謙虚に、目先の利害にとらわれず長期的な方針を以って消極姿勢で、
縁の下の力持ちに徹し将来幸運招く など
解説&運勢: この爻は下卦の極みにあって、陽位にあって位が正しくなく、中庸の徳を持っていません。
たとえ力を備え持っていても、それを誇示すること無く外に現さず、包み隠しているべき時。
時に王命を承けて事に従う事があったとしても、自ら先立つようなことはせず、人々の嫉妬を避け、
ひたすら天子の命に従って、それを成功させるよう努めて無難です。(「章」は知識、才能のこと。
「王事」は王命による日常の仕事のこと。)持っている才能、徳をひけらかさず真面目にやって
いれば、目立たなくとも終わりを全うすることができるのです。今は一歩下がって低姿勢、
消極的に進んで丁度良い時です。時期尚早。(小吉)
★恋愛・結婚・相性〜中々纏まらずやきもきしますが、いったん纏まれば大丈夫。成就します。
★仕事・取引〜中々ぐずぐずしていて進み難く難航し、こちらから進めない事情が起きそう。動かず転業開業も待つ時。
★金運〜思わぬ収入に恵まれる予感。 とはいえ無駄遣いには注意。
★病気〜腰痛、ぎっくり腰に注意。胃腸、神経痛は長引きそう。名医にかかりましょう。
★入試・就職〜実力よりあえてワンランク下げて合格。高望みしなければ大丈夫。
★妊娠・出産〜妊娠の兆しあり、性別は男子、安産です。
★紛失、失せ物〜家の中にあります。何かに包み込まれているか、入り込んでいるか、紛れ込んでいます。バッグの中等探してみましょう。
☆四爻 - 爻辞: 括嚢。无咎无誉。 (のうをくくる。とがもなくほまれもなし。)
キーワード: 大失敗もないが特に幸慶もなし、節度弁え散財に気をつける、出過ぎることなく控えめに、
欲を節する など
解説&運勢: この爻は六五の君主の側近、大臣の爻です。君主に近い為、周囲からは野心があるように
見られ、その為妬みや誹謗中傷を受けやすいのです。(陰をもって陰位に居て位は正しい
のですが、中を得ていず、位置する所は謹慎を要する所) 従って、今は袋の口を括るよう
己の才知力量を隠し、無能を装い、外に現さないようにしなければならないのです。
嚢を括る=袋の口をくくること。 言葉の不注意から災いが起きる時。お金もお財布も
しっかり締めて散財しないよう注意。何をするにも気を引き締めて。
出る杭は打たれてしまうという時。この時期に目立つ事をすると叩かれます。たとえ賞賛を
得られなくても難を逃れて無難です。(小吉)
★恋愛・結婚・相性〜ぐずぐずして中々話が纏まらない相。心を開かず結婚まで進み難い相手。
★仕事・取引〜転業開業はもう暫く待って。好期は後に来ます。新規は見合わせて無難、成立の見込み薄い。
★金運〜貯蓄の時。安物買いの銭失いにならぬよう、浪費を避けましょう。 本当に自分にとって必要な物かどうかしっかり検討を。
★病気〜食欲不振、消化不良、胃腸風邪など胃に関する病気。ストレス太りの可能性も。過食は避けましょう。
★入試・就職〜手堅く決めて合格。高望みや揺れ動きはNG。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない、既にしているなら女子、お産は無理なく大事を取りましょう。
★紛失、失せ物〜袋やバッグ等入れ物の中、諦めず根気良く探せば見つかります。
☆五爻 - 爻辞: 黄裳元吉。(こうしょうげんきち。)
キーワード: 力を誇らず驕らず有力な目上に従い幸慶あり、人望ある時、親睦和合をはかり事態が有利に、
率先せずあくまでも補佐役に など
解説&運勢: 上卦の中爻、尊位にあたるこの爻は、柔順にして謙遜な中徳を持った天子です。「黄」は、五行
では中央の色、つまり中を得ていることを表します。「裳」は現在のスカートに当たり、昔は下着の
飾りとして着用されていました。主役はあくまでも上着(乾)です。美しい坤徳を持つ天子は、
乾を立て、自らはスカートという分限を守っていますので吉となるのです。上を引き立てつつ、
黄裳は下につく謙遜中庸の態度にたとえ、縁起が良いとされ、「謙虚な従い進めば吉」となる
のです。 あくまでも謙虚に、坤道を守り一歩下がって吉を得る時です。(大吉)
★恋愛・結婚・相性〜相性バッチリ、誠実で素敵な方です。お互い尊敬し合いながら信頼関係を深めて行きましょう。大吉です。
★仕事・取引〜こちらからあまり積極的に出るのはNG。穏健第一、一歩引いて相手を立てながら。転業開業大吉。
★金運〜良好。とはいえ、入る以上に使ってしまわないよう注意。
★病気〜胸、肺、心臓の病気、出血、吐血の相。
★入試・就職〜合格します。就職も良いところに決まります。
★妊娠・出産〜妊娠の兆しあり、性別は女子、お産は安産です。
★紛失、失せ物〜スカートやパンツのポケットの中。ソファーやベッドの下、水場等、必ず出てきます。
☆上爻 - 爻辞: 龍戦于野。其血玄黄。 (りゅうやにたたかう。そのちげんこう。)
キーワード: 高望みはNG,強敵と争い損失、本分を忘れることもNG,余計な一言が多くてトラブル勃発 など
解説&運勢: 坤卦の差以上、卦極にあり、陰がその勢いを増し、極限に達したところです。陰が極まり
陽となったところで、陰でありながら乾の陽と紛らわしい程となり、陽に戦いを挑みます。
その姿は陽の龍と陰の龍が荒野で血を流し戦っているようです。両者傷つき、陽の血は
黒々とし、陰の血は黄色となって大地を染めています。(其血玄黄=玄は黒で天の色、
黄は土の色で雌龍の色) 本来、柔順にして陽に従うべき陰が、坤為地の精神を忘れ、
上へ上へと突き進み、坤徳を失い戦い傷ついた姿を表しています。 陰は極まれば陽を生じ、
陽と争わざるをえず、天と地が争うという残念な結果になってしまいます。そうなりますと、
滅亡するより外はありません。 この爻を変じると剥になり、剥尽される意となりますから、
相手に剥尽されるというより、坤徳を失った己が自信を剥尽する結果になるのです。
運勢的には己が招く不和を表します。悪気がなくともひと言多かった為にトラブルを起こして
しまい敵をつくってしまうですとか、争いから相方にダメージが生じたりしますので、怒りを
抑えて急進を戒め後退することで無事を得ます。(凶)
★恋愛・結婚・相性〜残念ながら相性合わず凶相。 傷つかないうちに早く引き下がって無難。
★仕事・取引〜危険がはらんでいる時ですので要注意。見合して無難。無理に進むと争いが起きそう。転職開業も今は見合わせて無難。
★金運〜思わぬ散財、大損の相。無駄遣いは慎み質素に。
★病気〜頭部の外傷、怪我に注意。 栄養失調、バランスの偏りが見られますので、食生活を見直しましょう。
★入試・就職〜高望みしていると望みはないですから、ランクを下げましょう。就職も中々難しい時で望み薄く、時を待つしかなさそうです。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない、既にしているなら男子。 お産は出血多量の相があるので胎盤早期剥離等には特に要注意。
★紛失、失せ物〜公園、広場などで落としてしまった可能性が。または箪笥、戸棚の上などを探してみましょう。
☆用六 − 利永貞。(えいていによろし。)
用六とは乾・坤両卦のみにあるプラスアルファの解説です。乾卦は用九となります。また、用六は坤卦
のみならず、陰爻を得た全ての場合の心得ともなります。
陰は柔順にして陽の大に従い、陰陽和合となるものですので、守るべき坤道を堅実に守って行くことが
宜しく、陰として進む正しい姿勢で居るという事が利しきを得ると説いています。
このように、用六の永貞とは、従順な坤徳をいつまでも保つことにより、陽の広大な徳を具現し、終わりを
全うすることができるのです。要するに、永く柔順な陰徳をキープする事ができたなら万事順調で、
有終の美を飾る事が可能、ということです。
乾為天とは正反対の大変女性的な卦、坤為地。 母を印象付ける卦です。 母親の深い愛情、柔和さが香るような
落ちついた絵柄です。 柔軟で穏やか。のんびりリラックス、自然の流れにお任せする・・・というのがこの卦の個人的なイメージです。
人生を楽しむには、焦らずリラックスして心に滞る重圧感を柔軟に解放する事、と思います。 知る必要のある事は何であれ、
一番良い時に自然とあらわれるものですし。 今日という日を、新しい気持ちで穏やかに、牝馬の如くやすらかに過ごす・・・
境遇を作るのは、自分自身。満たされないからといって人を非難すれば、自らのパワーをも逃してしまう事になります。
常に心の中を覗いて、自分の行動パターンを謙虚に見つめなおし、深い愛をもって人に感謝し、それらの体験をまるごと
解放するのです。そうすると、自然と穏やかな人生が送れるはず・・・そう坤為地の卦は物語っているように感じます。
『先立つ時は迷い、後れる時は主を得て利あり』 ・・・ なのです☆
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水雷屯(すいらいちゅん)
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〜 試練、滞り、生みの苦しみ、創造の悩み、困難、苦しみに耐え忍ぶ時、時期を待つ、春雷 〜
− 生みの苦しみの象 = お産の痛みは希望の痛み、顔を歪め苦しみつつ無事をひたすら願う。 −
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☆卦辞:屯。元亨利貞。勿用有攸往。利建候。(ちゅんは、おおいにとおるていによろし。いくところあるにもちうるなかれ。
こうをたつるによろし。)
キーワード:芽生え、芽吹き、物事の出発点、水難、進退ままならぬ、多事多難で順調得にくい、欠陥住宅、
骨折り甲斐がある など
*四大難卦のひとつ 一月の卦 成卦主は 初爻
☆序卦伝: 「天地の間に盈つる者は唯万物なり。故にこれを受くるに屯を以ってす。屯とは盈つるなり。屯とは物の始めて生ずるなり。」
乾の天と坤の地とがあって、然る後に万物が発生しますので、それ故天地乾坤の卦の次に屯の卦があります。屯は
盈つるという意味があり、万物が天地に止まり集まって充満している様子を示します。物が初めて生じた姿であり、まだ
発育していない事を表しています。
解説&運勢:屯は天@乾=父と地@坤=母が交わり初めて震=長男を得るという産みの苦しみを表します。
この卦は早春に厚く積もった雪の下から柔弱な若芽が必死に出ようと伸び悩み苦しんでいる姿ですが、
雪の重圧にさえぎられ立ち往生しているのです。「屯」という字の構成を彖書から引くと、真ん中一本通った
L字の伸びた部分が下にくねくね曲がって表されています。それは草の根が曲がっている姿なのです。
「U」の部分は草や木の芽、上の「ノ」の部分は地で、震の草が、伸びようと頑張るのですが、上卦地上に
あります氷に邪魔されているのです。また、駐屯や屯田などの言葉がありますが、屯=とどまる、伸び悩む
という意味もあります。障害や艱難があり、御自分の力が出しきれない環境といえるでしょう。上卦の坎は
困難に陥ること、下卦の震は動く事を示し、動こうとして困難に陥ってしまう状態を表しています。 しかし、
「雲雷は屯なり」という言葉の如く、遠からずして雷が鳴り雨が地に降り注ぐこととなります。大地に宿った
生命力は、雨が降ればすくすく成長しますから、時間はかかりますが、事態は必ず好転します。辛抱強く春の
訪れを待ちましょう、と、いうことがこの卦から読み取れます。 彖伝には「天造草昧」と記されていますが、
これはそのような混沌の中一縷の望みが宿る、とも読む事が出来ます。
運勢的には四大難卦ひとつですが、春が来れば自然に氷がとけて芽が出るので今は時期が悪いだけなのです。
なので希望が持てる悩みの時。 逸る気持ちを押さえ退守して無事を願う時です。この水雷屯の時に
もしもやるべき事があれば自ら手を下さず然るべき適任者にお任せして無難です。望みを叶えるには
忍耐と時間が必要ですので、独断で動いてはNGな時なのです。今は辛抱強く雪解けを待ち、焦って動かず、
開花への希望を捨てずに努力しつつ耐える時なのです。大成功は大きな悩みがあればこそ。困難試練は
決して悪い物ではなく、後に貴方を大きく成長させてくれる糧となるのです☆
☆初爻 − 爻辞:磐桓。利居貞。利建候。(ばんかんたりていにおるによろし。たてられてこうたるによろし。)
キーワード:前途難関あり、独行不利、助言者と協力体制で、初心貫く、謙虚に、時運今だ至らず、
隠忍自重し好機到来待て など
解説&運勢:「大きな石のように、どっしりと動かず貞正を守る時。」力があっても、今は屯難の時に当たって
いるという事を忘れずに、妄りに動かず現状維持に努めましょう。 動くと不利になります。
卦の主爻で目上の言うことを謙虚に聴き立場を守っていることで信頼を得られます。
周囲から推されて長になるのは良いですが、できるだけ辞退して無難な時。謙虚な姿勢で
周囲に接することで周囲の心を得ることに。(吉)
★恋愛・結婚・相性〜進みそうな感じではあるのですが中々進み難く難航しそう。焦らずじっくりが鍵。
★仕事・取引〜甘く見て軽々しく進むと失敗しますから手堅く。代理人を立てると良い。根気良く丁寧な対応を。転業はNG,開業は苦労あれど吉。
★金運〜現状維持、財産を減らさないようセーブして無難。大きな買い物はもう少し余裕が出てからにしましょう。
★病気〜便秘、胸、中毒に注意。軽く見ると長引きそう。安静を努めて。 過労から肝臓を壊しそうですので休息し、お酒も程ほどに。
★入試・就職〜あまり難しいところは狙わず相応なところにして無難。体調を崩さないよう試験や面接の前は風邪などに注意。
★妊娠・出産〜妊娠の兆しあり、性別は男子、無理をしなければ安産です。
★紛失、失せ物〜車の中、下駄箱、玄関、もしくは水場、川など水中に落とした可能性が。
☆二爻 − 爻辞:屯如。てん如。乗馬斑如。匪寇婚媾。女子貞不字。十年乃字。(ちゅんじょてんじょ。うまにのりてはんじょ。
あだするにあらず。こんこうせんとす。じょしていにしてじせず。じゅうねんにしてすなわちじす。)
キーワード:艱難に負けず隠忍持久することで時間はかかるが開運に、女子婚姻に遠しだが後に相応しい
相手と成就、身近なものからの詰まらぬ誘いで本筋失いがち、進退ままならず埒あかない など
解説&運勢:行き悩み、引き返しと、馬で出かけては行ったり来たりうろうろしている姿の爻です。嫁入る娘が
躊躇い悩んでいます。それは馬に乗ってしつこく付き纏って来る近所の男(初九)がいるからです。
その男は敵(強盗、悪意)ではなく、娘に惚れて求婚に来ていますが、その娘@六ニの本命の
相手は九五の男性です。初九に悩まされるも(何故なら初九も男前@聡明で偉大な力を持つ
イケメンで、屯難の中にいる娘はうっかり惹かれてしまいそうになるのです)六ニは貞節正道を
守り、結ばれるべき九五のところへ行く気持ちは曲げません。初九を冷たくあしらうことで、
十年も経つと初九のストーキング、牽制もなくなり漸く九五の差し出す手を握ることができ、
めでたく結ばれるのです。屯難が解け邪魔が去って常道に帰る・・・ めでたしめでたし。(ただ、
十年というのは可也大袈裟に感じます。いくらなんでも長すぎますよね。実際にはもっと短い
年月と思います)
運勢的にもこのように、自己本来の大きな目標達成が行き悩んでしまった時、とかく手近な
副次的方面に打線して行きやすいものですが、そういった甘い誘惑に負けず只管自己本来の
道を全うする事が大事です。たとえ苦しく迷う事があっても、目先の安易な道を選ばない事が
要です。焦らずともひたすら待つ事で後に正応の九五と結ばれるのですから。(小吉)
★恋愛・結婚・相性〜話はあっても中々纏まり難いですが、時間は経っても後に必ず後に相応しい相手とご縁がありますので大丈夫です。
★仕事・取引〜トラブルに悩まされる相あり。新規の取引は見合わせて無難。転業開業も見合わせて無難。
★金運〜出入りが激しく結局出費の方が多かったりと、損をしそう。収支のバランスをしっかりと。
★病気〜便秘、消化器の病に注意。 バランスの良い食生活を心がけましょう。
★入試・就職〜集中力が不足していませんか?メリハリをつけて勉強するですとか、就職もしっかりと自分に合った所を選びましょう。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない、既にしているなら女子、無理をしなければ安産です。
★紛失、失せ物〜部屋の境目、子供の部屋、飾り物が置いてある場所などを探してみましょう。
☆三爻 − 爻辞:即鹿无虞。惟入于林中。君子幾不如舎。往吝。(ろくにつきてぐなし。ただりんちゅうにいる。
くんしほとんどすつるに しかず。ゆけばりん。)
キーワード:過ちに気づいたらすぐ引きかえって無難、無理に進むと損失、自己過信せず明知の人に従う時、
艱難の中方針誤るか、目標失い努力が空回りしがち など
解説&運勢:「獲物に目が眩み、鹿狩りに行ったが案内人(協力者)がいない。林の中に迷いこみました。
危険を冒す事は辞めた方が良いです。これ以上深追いすれば必ず行き詰まり、不吉です。
恥をかくことになります」。 このように、何事も行動を起こす前に、物事の機運を冷静に察し、
危険を感じたなら深追いしないことが一番です。欲を抑えて退守することが要。
運勢的にも今は考え方、進み方に無理のある時。冷静に察し、改める時です。(凶)
★恋愛・結婚・相性〜どうしても周りの理解援助が受け難く、人に騙されたり邪魔や困難多く、纏まり難い。
★仕事・取引〜騙されたり勘違いしたりで損害を受ける相あり。難航長期戦と腹を括りましょう。闇雲に動かないよう注意。
★金運〜欲張ると大失敗します。うまい話には必ず裏があると心得、用心しましょう。
★病気〜軽く見ていると拗らせる相あり。 早めの対処が鍵。
★入試・就職〜高望みせず相応なところを狙いましょう。夢や憧ればかりではなく現実に目を向けましょう。
★妊娠・出産〜妊娠の兆しあり、性別は女子、お産は無理せず大事をとりましょう。
★紛失、失せ物〜箪笥、戸棚類が怪しい。ひっくり返してみると出てくる可能性が。
☆四爻 − 爻辞:乗馬班如。求婚媾往吉。无不利。 (うまにのってはんじょ。こんこうをもとむゆけばきち。
よろしからざるなし。)
キーワード:はじめは支障があっても後で通達、目下に求婚は吉、恋愛問題に迷うも正しい道を行き通達、
先方から望まれるよりこちらから望むことが良い、進退に迷うが身近な人より正規の関係者、
目下の有力者と協力し功あり など
解説&運勢:「馬に乗って出かけるも、躊躇いながら引き返しますが、求婚してくる者が現れます。
このご縁は応じて吉。」一旦は馬に乗って出かけたものの、屯難の時故力及ばぬことを知り
また引きかえしている様ですが、そんな中、協力者が現われます。 自身の力及ばぬ事を
自覚し、協力者(初九)を素直に求め、共に困難を克服して行く事が賢明な時です。
運勢的にも力のある協力者を求め、物事を行うのは良い時です。縁談も先方から
求めて来る時は応じて吉です。(小吉)
★恋愛・結婚・相性〜モテ期到来引く手数多で迷いますが、最終的には迷いも消え、自分にとって大切な相手を選びます。求められて吉。
★仕事・取引〜迷ったり躊躇ったりで進展し難いが、相手から来た話はある程度妥協し、受けて吉。
★金運〜あまり良いとはいえない時。無駄遣い、ネットショッピングなど控えめに。
★病気〜腹部の病。名医の診療を受けましょう。
★入試・就職〜合格の兆しあり。就職も良いところへ進めるでしょう。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない、既にしているとすれば女子、お産は安産です。
★紛失、失せ物〜車で出かけたところを探してみるか、訪問した先に忘れていないかチェックを。男性に尋ねてみると出てくる可能性が。
☆五爻 − 爻辞:屯其膏。小貞吉。大貞凶。(そのこうをちゅんす。しょうていはきち。だいていはきょう。)
キーワード:隠忍し、好機を待つ時、欲しい物が手に入らず不自由な時、無理をすれば挫折、分相応なら通達
気持ちはあっても資材不足で思うようすすまない など
解説&運勢:軟膏を塗ったところ、屯難な時故、全体に満遍なく塗れず一箇所に固まってしまった様子。これは
屯難の下にある人々へ徳澤を広く及ぼすに至っていない事を表します。(軟膏=あぶら=うるおい
=膏澤、恩澤、徳澤)分相応な事でしたら吉ですが、力以上の事を無理にやろうとすると凶となります。
運勢的にも小さな日常的な事、無理のない範囲での事でしたら吉ですが、大きな事、例えば
力以上と思われる事は勿論、転職、結婚、引越し等、人生における重大な決断は、今暫くは
見合わせた方が良いようです。今は思うように進まない時ですから、大きな事に手を出さない
方が無難です。(小吉)
★恋愛・結婚・相性〜中々順調に行き難く、滞りが多くて良縁のように見えても見合わせて無難。
★仕事・取引〜滞りがちで中々進展し難いですが、小さなことでしたら進んで纏まります。大事、力量以上のことには手を出さず無難。
冒険心は抑えましょう。転業開業も見合わせて無難。 リストラの相あり。
★金運〜苦しい時期、節約して乗り越えましょう。
★病気〜不摂生が祟り不健康、バランスの良い食生活、睡眠を心がけて。耳、腎臓、肺、心臓、血行不順、冷えに注意。
★入試・就職〜ランクを下げて合格。大きな組織、会社は見合わせて無難。
★妊娠・出産〜妊娠の兆しあり、性別は男子、バランスの良い食生活で、貧血やむくみなどに気をつけると安産です。
★紛失、失せ物〜クローゼットや押入れなど暗いところを探してみましょう。キッチンやバスルームなどの引き出しも怪しいです。
安価なものでしたらすぐ見つかりますが、高価なものほど中々見つかり難いです。
☆上爻 − 爻辞:乗馬班如。泣血漣如。(うまにのりてはんじょ。きゅうけつれんじょたり。)
キーワード:時運に恵まれず艱難の極に達し、嘆き悲しむ、艱難窮まり少しずつ開運にすすむ兆しあり、
鬱になりやすいので気分転換を上手にはかる時、人間関係の断絶で人間不信、閉鎖的に、
新しいことに手出しせず誠意を以って現状好転に努める時、いたずらに嘆き悲しまず希望を持って
艱難が解けることをひたすら待つ など
解説&運勢:孤立孤独の爻(陰を以て陰位に居て、弱く力がないばかりか応爻の三爻も陰で孤立)
にあり、しかも爻の極み(坎の極み)にいるので困苦甚だしいのです。「漣如」は絶え間なく
泣く事です。 水雷屯の動いてはならない時、何とかしてこの困苦から脱出しようと無理に馬に
乗ってうろついていたので窮地に陥ってしまいました。故に進退に困り果て血の涙を流し叫んで
いる哀れな様を表しています。しかし、困窮のどん底の今を耐え抜けば、やがて道が開けます。
もう少しの辛抱です。冷静に御自分を省みながら方針の転換を計る時です。(大凶)
★恋愛・結婚・相性〜残念ながら纏まり難く良縁とは言えないようです。見合わせて無難。
★仕事・取引〜大赤字、大欠損。暫くは辛抱し、焦らず時期を待つしかなさそうです。出口はもうすぐですから。強行すれば裏目に出て益々悪化。
★金運〜とても苦しい時。艱難の極で嘆き苦しむが、出口は見えてます。もう暫くの辛抱。
★病気〜目や頭、精神的な苦しみあり。 無理に我慢せず心療内科など名医を探しましょう。
★入試・就職〜ランクを思っている以上に落とさなければ中々難しい時。就職難で仕事も中々決まり難そうですが、辛抱の時。悪い時期はそう
長きません。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない、既にしているとすれば女子、お産は微弱陣痛などあり難産の相。しかし目出度く無事出産に至ります。
★紛失、失せ物〜失って間もないものはすぐ出てくる可能性が。高いところに置き忘れたのではないでしょうか。探してみましょう。
この卦を得ると、私は妊娠、出産を思い出します。(お産は死ぬほど苦しかった〜!)陰と陽、天と地にとってはじめて
生ずる産みの苦しみを表す卦ですし、人間でいえば男女が交わり始めての試練のように連想します。
苦しんで苦しんで、無事産み終えたからといって、そこで終わりではなく、やっとそこから喜びの第一歩、始まり、
スタートとなりますよね。 屯のしめくくりには小貞吉、大貞凶・・・小貞はよろしく、大貞は凶であると書かれています。
天地万物創造の始まりを表しますから、人間でいう誕生したばかりの赤ちゃんと同じ時期を表すのです。
赤ちゃんの頃は、焦っていきなり大人のように扱ってもどうにもなりませんし、かえって危険ですから大貞凶となります。
赤ちゃんはそっと優しく、その成長を手助けしながゆっくり穏やかに見守ってあげなければなりません。 これが小貞吉
にあたります。小貞吉、大貞凶とは、何事にも当てはまると思います。 例えば、力がないのに無理に事業を始めたいと
焦る時も屯に当たると思います。 準備も力もないのに無理にあれもこれもと手をつけてしまうと、大貞凶となり、
必ず後で失敗することになりますし、故に「屯難」ということばもあるのですよね。 屯の時は、産みの苦しみの時、
焦って動いてはならない時と認識し、ゆっくり落ち着いてを心がけ、目先のことだけに心を動かされないよう、全体的な
大きな流れに目を向け、未来に希望を持つことが大切なんですね。 赤ちゃんは、いつまでも赤ちゃんのままでは
ありませんし、草木も芽生えたあとはしっかり成長し、前途は計り知れません。 希望を持ってコツコツ努力し前進
することで、困難を克服し、必ず開花する時が来るのですから・・・☆
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山水蒙(さんすいもう) |
〜 蒙昧、幼い、未熟、濃霧、手探り、朦朧として先が見えない時 〜
− 五里霧中の象 = 物事の様子や手掛かりが掴めず、方針や見込みが立たず困った時は
その道に詳しい有識者の指導を自主的且つ謙虚に求めなければならない。 −
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☆卦辞: 蒙亨。匪我求童蒙。童蒙求我。初筮告。再三すればみだる。則不告。利貞。(もうは通る。われどうもうをもとむるにあらず。
どうもうわれをもとむ。しょぜいはつぐ。さんさいすればみだる。みだるればすなわちつげず。ていによろし。)
キーワード:教育の卦、幼子、未熟、方向定まらぬ、子供の心配、自主性、次第に明瞭後に発展、初心、妄想、紛らわしい、思慮不足
躊躇い、暗い、 など
*九月の卦 成卦主は二爻
☆序卦伝: 「物生ずれば必ず蒙なり、故に之を受くるに蒙を以ってす。蒙とは蒙(くら)きなり。物の稚(おさな)きなり。」
屯の卦の次に、蒙の卦がありますのは、物がはじめて生じた時というのは蒙昧無知、人間でいえば右も左もわからない
赤ちゃん、幼児のようです。ですので物のおさなきなり、と表現し、そのような時は蒙昧ということを云っているのです。
解説&運勢:「蒙」とは、気を覆い尽くしてしまうつる草のことで、朦朧としていることです。 このように、物事の判断がつかなくて、
どうしていいか迷う時といいますのは、有識者に教えを乞い導きが必要になります。 故に教える側が生徒を求める
のではなく、生徒が先生を求めて教えを乞うのが本来の教育の姿、と示しています。発(啓)く者より発かれる者が
積極的に出てこその啓蒙教育ですから、「馬を水辺に連れて行く事は出来るが、馬に水を飲ませる事は出来ない。」
という諺通りになりますね。 山水蒙の時は、将来がまだ未知数の未熟な状態です。無限の可能性を秘めていること
から「教育の卦」ともされています。 初筮は告ぐ。再三すればみだる」とありますが、最初に得た卦にこそ判断材料が
集約されているにもかかわらず、気迷いがある為、得た卦に疑いを持ち、何度も同じ事を占ってしまうという気持ちは
わかりますが、そうすることで、余計迷いが多くなり、霧も更に濃いものとなってしまいまい益々正しい判断ができなく
なりますから、迷い悩み判断が付かない時はひとりで抱え込まず素直且つ謙虚にその道のスペシャリストのアドバイスを
受け入れる姿勢が要となるのです。教えられる者、教える者が疑いを持つこと無く信頼し合い真理に従い虚心に
努めることが、蒙昧の時のお互いの正しい姿となるのです。
ここでは、学ぶ側の意欲に基づく自主性と謙虚さが教育の原点であり、易の精神と共通するものと述べています。
蒙の時は、未熟な己を認め啓発するよう、良き指導者、師を求め、例えば学問や稽古事、修行に励み、教養を
高める時なのです。また、必ずしも求める対象は先生に限らず、例えば両親や祖父母、尊敬する友、諸先輩、
その道に精通する人物に意見を求めたり、書物等から感銘を受ける言葉を得ること等、学び手本となる物事全てが
貴方にとって「師」となります。運勢的には、謙虚且つ素直に学ぶ姿勢を持つことで、先が明るい時です。
山(上卦)から湧き出る水(下卦)は、最初はチョロチョロ、その水がどちらへ流れて行くのか方向は定まっていませんが、
啓蒙されるに従い、やがてその頼りない水は泉となり川となって、大海へ出る可能性を秘めている事を示しますから、
師に道筋を作って貰う事によって貴方の力は無限に広がり発展して行くのです。
☆初爻 − 爻辞:発蒙。利用刑人。用説桎梏。以往吝 。(もうをはっす。もってひとをけいするによろし。
もってしっこくをとく。もってゆけばりん。)
キーワード: 無知故失敗し易い時、法や約束規則に従う時、情に流され妥協は後悔のもと、現状打破には
厳しさが要、無理をすれば災難、など
解説&運勢: この爻は陰であり最も蒙昧深く知恵がない為先が見えない状態を表し、比している二爻が
師匠となり、この蒙昧を発きます。童蒙を発く為には、例えば母親が幼子に躾をする事と同じく、
厳しさや法度を知らせて、敬いを持たせる事が必要となります。もし、従わなければ刑罰を
用い改心させる事が宜しい、という個所です。 桎梏とは罪人の手足を拘束する手枷足枷のこと、
という解釈があり、刑罰としては軽いものとのことですが、今の時代、それでは虐待を疑われ
ますよね。ですので今風には厳しいお説教、と、解釈した方が自然なのではないでしょうか。
幼子も同じですが、厳しくするべき時に厳しく教えを説かず、甘やかしてばかりいては、
その甘やかしに狎れて勝手放題となり、知恵を開く事ができず、後に童蒙も師匠も恥をかく、
という事となります。 母親も甘やかしに甘やかして子供を育てると、後に他人に迷惑をかける
子に育ってしまうという事と同じになりますね。ただし厳しさにも限度がありますから、規律を
重んずるにおいてのバランスを上手に加減し導く事は、教える側の度量に関わってきます。
厳格過ぎてしまうと恨まれる事もありますからその加減が難しいですが、何事も行き過ぎはNG
ということになります。甘やかしと厳格のバランスを上手に見極め、限度を知り自制して進んで
無難な時です。
運勢的には何事も中々見通しが立たず有利に進まない時。全てにおいて自制が必要となります。
物事の事態をのみこむ事に甘くなり、失敗する恐れがありますので、事を起こす前には
有識者のアドバイスに謙虚に耳を傾けましょう。知ったかぶりはNG。結果を急ぐと失敗しますので、
少しずつ着実にじっくり進みましょう。 また、忠告等厳し過ぎて人から恨みを買ってしまう時でも
ありますので、言い過ぎて敵を作らないよう注意しましょう。 (小吉)
★恋愛・結婚・相性〜残念ながらあまりおすすめできない相性。見合わせて無難。結婚も時期を得ていないので纏まり難い。
★仕事・取引〜取引などは見合わせて無難。焦って進めば凶。転業開業も未熟で不安。
★金運〜いくら困っても法に触れるようなことはしないよう注意。怪しい儲け話などにはのらず現状維持で節約を。
★病気〜回復へ向っているとはいえ小康状態、長引く傾向。無理せず大事を取るよう心がけて。
★入試・就職〜実力不足の相。ランクを落とすか、もっと努力をし、実力をつけるかどちらかです。
★妊娠・出産〜妊娠の兆しあり、性別は女子、流産しないよう無理せず大事にしましょう。
★紛失、失せ物〜玄関先、傘立て、下駄箱等探してみましょう。子供に尋ねてみると知っている可能性が。
☆二爻 − 爻辞:包蒙吉。納婦吉。子克家。(もうをいるきち。ふをいるきち。こいえをよくす。)
キーワード:人徳アリ、周囲から慕われ人間関係豊か発展、子孫に恵まれ繁栄、養子縁組吉、良縁得て家運隆昌 など
解説&運勢:童蒙を啓する中庸の徳をもった師の立場の個所です。包は包容力を表し、度量寛大にして
包容し、啓発して行く事が吉となると説いています。婦は五爻を指し、妻を迎えるに当たっても吉。
子は九二を表し、低い地位に居る子(二、三、四爻の震の主爻で長男と見做します)が、父亡き後
その家(六五@母)を助けしっかり治めてて行く象ともみます。 導く側と導かれる側が意気投合し、
信頼関係が築けてこそ剛柔応じて吉となる事を表し、老いては子に従う母の象ですとか、夫を
上手に立てながら柔軟な対応ができる謙虚で賢い妻の姿があってこその二爻ですから、夫や子供側
も温かな包容力、妻や母親を安心させられるだけの度量がなければ信頼関係は成り立ちませんね。
運勢的には良き指導者(蒙を啓く師)の立場に立って、見通しは良くないですが、人徳があり、周囲
から慕われ、人間関係が豊かになり発展する時ですので、何事も謙虚且つ臨機応変に対応する時。
弟子や後輩、子宝に恵まれる相あり。才能も力も備わっている時です。(大吉)
★恋愛・結婚・相性〜良縁大吉相。養子は最高に良い。妻に実権が移るものの夫婦仲は円満。親孝行でき一家が幸せに。
★仕事・取引〜こちらからはあまり積極的に出て行かず、先方から求めてくる話には応じて吉。
★金運〜金運大吉。とはいえ、調子に乗って無駄遣いすることなく、活きた投資を。
★病気〜過労で疲れています。腎臓、心臓が弱っている恐れが。気をつけて疲れを無理せず養生を。
★入試・就職〜合格します。入学、就職も目的のところに入れます。
★妊娠・出産〜妊娠しています。性別は男子、安産です。
★紛失、失せ物〜水場、キッチン、バスルーム、暗いところ、または何かに包まれている可能性が。
☆三爻 − 爻辞:勿用取女。見金夫不有躬。无攸利。(じょをとるにもちうるなかれ。きんぷをみてみをゆうせず。
よろしきところなし。)
キーワード:財運乱れ、思慮なく衝動的に動く時、利己的な為方針誤り信用失い自ら転落、失敗、女子不貞の意、
浮気、部下や側近など不正事あり 欲に目が眩む など
解説&運勢:この六三は、柔弱浅知恵、蒙昧で不正、不中にあり節操なく身持ちの悪い不貞な女性を表します。
不貞な女性は元来、上九に応じ従うべきであるのに、目先にお金を沢山持っている勢力盛んな
九二を見て、そのお金に目が眩み、相応な相手を捨て、正しい道を忘れる軽率さ、薄情さがあるのです。 金夫は九二のお金持ちの男性を示します。「打算的な女性が、お金目当てで玉の輿を狙っている様」
の、この爻を得ましたら縁談は避ける時。心が通い合っていません。恋愛関係、金銭トラブルに巻き
込まれないよう注意する時でもあります。甘い言葉で近づいて来る人にご用心。
恋愛金銭ではなくとも、身持ちの悪い女性=無節操な生徒ともたとえることもできますね。易はこの
ように、たとえばなし、教訓を自分なりに応用し、解釈することで幅が広がり面白くなります。
上九の先生と応じ、教えを受けて居ながらも、九二の先生の評判が良いと聞くとそれにすぐ乗りかえ
てしまうような節操のない裏切りを易々と出来てしまう、志の定まらない生徒です。このような生徒は
引き受けて教えてしまってはいけない、と、いうことになります。こういう志の定まらない生徒は、
何処へ行っても相手にされず、大成する筈がないですものね。
また、このような打算の心が自身に少しでも当てはまるようでしたら、正しい道を守るよう心を改め、
欲に走らず身を慎みましょう。心を固く閉ざしやたら動かず無事を願う時。早く自ら悔悟
することで、苦しむことはなくなります。(凶)
★恋愛・結婚・相性〜計算高く貞操観念の薄い相手なので避けて無難。また、相手の家柄や資産目当ての結婚は不幸を招くのでやめましょう。
★仕事・取引〜こちらから積極的に進まず時期を待ちましょう。深追いNG。色仕掛けで来るものは断固避けましょう。転業開業凶。
★金運〜狡賢い相手に入れあげ散財の相。甘い話、目先の欲に惑わされないよう気をつけて。
★病気〜腫れ物、性病、腰の病、難病が多い。 用心養生しましょう。
★入試・就職〜周囲に反対されているところは落ちます。自分の憧ればかりにとらわれず客観的な視点で考え直してみましょう。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない。しているとすれば男子、お産は難産の予感。
★紛失、失せ物〜寝室、暗いところ、クローゼットや箪笥、戸棚、押入れの腰の高さほどのところなどを探しましょう。
☆四爻 − 爻辞:困蒙吝。(もうにくるしむりん。)
キーワード:事の軽重や白黒誤り人間関係断絶、疎外孤独無援、良き師を求めて研磨啓蒙受ける時、何事も
錯覚誤解しその為損失挫折あり、思慮不足で失敗、頑固NG謙虚な姿勢で など
解説&運勢:「無知で蒙昧な愚かしさに苦しみ孤独無援を嘆く」様。応比なく、力もなく、陰柔不才で
導いてくれる師もなく、友もなく、蒙昧のまま孤独に苦しむ時。(導いてくれる筈の九二、上九は
遠くに離れて居て連絡がつきません) このような苦しい時は己の姿勢境遇を変え、自ら積極的に
良き師を求め、謙虚に教えを乞うことで、苦しみを和らげる事は可能です。(凶)
★恋愛・結婚・相性〜残念ながら孤独の相。無理に一緒になっても何等かの事情で破談の相。此方が謙虚に相手を敬う事で良い関係に好転。
★仕事・取引〜助けてくれる者が居なくて成り立つ見込の低い辛い状況。たとえ成立してもこちらに不利になってしまいそう。
転業開業も見通し悪く見送って無難。
★金運〜見込み違いでお金に困ってしまうことが。 欲を出さず節約して過ごしましょう。
★病気〜心の病、寂しさや孤独、トラウマが潜んでいる、回復は遅い傾向に。積極的に良い医師を探しましょう。
★入試・就職〜もっと実力をつけなければ今の志望は無理な様子。努力が必要な時。
★妊娠・出産〜妊娠はしていない。しているとすれば性別は女子。 名医を探し安産です。
★紛失、失せ物〜何か考え事をしている時に落としたか、置き忘れの可能性が。出かけた場所に置き忘れたのではないでしょうか?
☆五爻 − 爻辞:童蒙吉。(どうもうきち。)
キーワード:謙虚な姿勢で賢者の教えを受け自ら欠点弱点を排除し艱難を脱する、これまでわからなかった
ことがクリアになり見通し明るくなる、目から鱗 など
解説&運勢:陽位の上の陰爻で、上卦の中を得ています。従順で中庸の徳を持ち、君子の座にいます。
尊位に居ても尚、身分の高い事を忘れ、下の賢人(九二)に教えを乞おうとする立場、九二
に対し謙虚に信頼し、童であり蒙な姿勢、従順な態度で随うのですから、大いに将来性があり、
発展するので吉なのです。(六五は艮の卦の一爻であり、少男ですから、童とし、純粋な
気持ちを持つ事を表します)『象に曰く、童蒙の吉なるは、順にしてもって巽なればなり』、という
言葉がありますが、巽なればなりとは、この爻を変じて上卦が巽となる巽順の意とします。
変じると渙となり、渙は坎が渙散する象で、蒙が啓発されて行く事を示します。
運勢的には、たとえ相手が年下でも部下でも、賢い人物に謙虚に耳を傾け教わる事で、
成功を得る時です。 プライドを守り自分ひとりで考えて進めることは間違いが多いもの。
先見の明のある人に意見を仰ぎ、やっと自分の力を発揮するチャンスに恵まれます。
謙虚に低姿勢ですすめば運勢は良くなります。身の程を知ることが鍵。「この私を誰だと
思ってるのだ?!」という尊大な態度はNGです。(大吉)
★恋愛・結婚・相性〜良縁です。纏まって大吉。素直で従順、誠実な人ですから、きっとお互いを大切にし合い末永くお幸せに過ごされるでしょう。
★仕事・取引〜こちらに有利とはいえ、あまり才走ることなくすすめましょう。途中で解除になる心配が。転業開業吉。
★金運〜金運大吉。 困ることはまずないでしょう。
★病気〜風邪、喉、咳、胸を患う相。全身の痛み等もあり。名医にかかれば治ります。
★入試・就職〜合格の可能性大。入試も就職も大吉です。
★妊娠・出産〜妊娠の兆しあり。性別はおとなしい女子。名医を探して安産。
★紛失、失せ物〜子供に尋ねてみると出てくる可能性が。 木製品か布類の下に潜んでいる可能性が。
☆上爻 − 爻辞:撃蒙。不利為寇。利禦寇。(もうをうつ。あだをなすによろしからず。あだをふせぐによろし。)
キーワード:思わぬ危険災難に遭遇、盗賊暴漢に注意、蒙昧を取り除こうとしすぎるのはNG,説得は寛容温情を
もってでなければかえって恨まれる など
解説&運勢:ここは陰位に陽爻で居て、教えを説く立場にありますが、卦極に居るので不中不正な上、とかく
強過ぎ厳し過ぎ、剛に過ぎて中庸を得ず、故に蒙を撃つ(撃つ=折檻)という、行き過ぎた
激しさを表します。時には厳しく教えを説かなければならない場合もありますが、あまりにも
強烈なスパルタでは教育するどころか反発されてしまいます。 それを戒め、「不利為寇。
利禦寇」といっているのです。これは、上に立つ師も、下に居る蒙も、其々その行うべき教え、
教えられる道に従順に従う事が宜しく、教える側は、指導とお説教のふたつの道をしっかり
整えバランスを取り、過ぎてはいけない、と、いっているのです。教える相手は思い上がった
応爻六三ですから、慎重に指導して行かなければならず、指導する側の器が問われるのです。
六三を誘惑する悪友を寄せ付けぬよう、過ちに気づかせ改心させるよう、上手に指導しなければ
ならないのです。例えば子供の教育も厳し過ぎては却って反抗されますから、それよりも悪い
誘惑に引かれないよう、子供の個性を伸ばすよう注意深く導いてあげることが要となりますよね。
運勢的にも、言動の行き過ぎに注意の時。良かれと思っての助言も相手の反感を買う恐れが
あります。説得にあたっては柔和で寛容な態度で。過ぎたるは猶及ばざるが如しです。(小凶)
★恋愛・結婚・相性〜残念ながら良い縁談とはいえないようです。喧嘩口論が絶えず暴力を振るう相手かもしれません。
★仕事・取引〜相手の出方を冷静に伺いましょう。こちらから積極的に出る時ではないです。転業開業も見合わせて無難。
★金運〜損をしないよう無駄遣いに注意。ネットショッピング、カードの使いすぎに気をつけて。
★病気〜無理が過ぎて病勢をつのらせ危険に陥る。無理せず安静を心がけて。頭に関係する病気とも見ます。喧嘩に巻き込まれ
怪我をしないよう注意。
★入試・就職〜高望みすると失敗します。今考えているところはハードルが高いので、ランクを落としてみましょう。
★妊娠・出産〜妊娠の兆しあり。性別は元気の良い男子、規則正しい生活をしていると無事安産。
★紛失、失せ物〜箪笥、クローゼット、ロッカー上部、机の上、神棚、もしくは水場を探してみましょう。
私も母親である身として、子供を教育していかなければならない立場という事を意識しています。 甘やかすのは簡単
ですが、厳しく指導して行く事は大変難しく思います。 甘すぎても厳しすぎても良くないですし、何事も中庸、バランスが
大切ですね。特に親が感情的になり声を荒げて怒ってしまうのは一番よくありませんし、怒ることと叱ることは違うものですから。
と、頭ではわかりつつ、つい、感情的に声を荒げてしまう自分がいます。これではいけない、と、反省しつつ、親も子供から
色々な事を学び、親として成長して行くもの、と、思います。
蒙の卦を思う時に連想するのが果という文字です。果は果物ですからその栽培方法を考えると明解なように、果決、果断を
上手にしなければ、良い花は咲きません。 これがまた大変難しいことなのですね。 時期をはずしたり、やりそこなったりすると、
とんでもないことになるのですから。 まして子育てはその意味においてとても重要ですので特に難しいものと思います。
甘やかさず、愛情を注ぎ、かつ、徳を育てなければなりませんから、その親にも徳というものが備わっていなければ難しいものです。
徳というものは、人間の本質的な問題です。これに対し、知能や才能は附属的要素となるのです。この、知能、才能、または
技能等はなくてはならない大切なものですが、人間の要素としては、派生的なもの、附属的なものになると思うのです。
躾や習慣というものもありますが、これは徳というものを育てる上においてとても大切で、本質的要素の中に入ると思います。
この、「徳」をどうやって子供達に教えていくかが最大の課題なのですよね。それには教える側の親が「徳」とは何かを理解し
模範を示さなければならないのですが、とても難しい事と思います。 親もひとりの人間ですから、色々悩み迷いながら、
親になって行くものですね。私もまだまだ未熟者、ということを認め、人として謙虚に学び続けなければ、と、思います。
人生、一生学びですものね☆
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