企業がFacebookを活用するためには何にどれくらいの費用が掛かる?

 フェイスブックを利用して、自社の製品・サービスをPRしたいと考える企業は増えています。しかし、ページ開設や広告など、フェイスブックを利用する際には何を使ったときにどの程度の費用が掛かるのかはご存知でしょうか?企業がフェイスブックを使用したときにかかる費用について紹介します。

アカウント入手などの初期費用は無料

 基本的にFacebookでアカウントを入手して、登録すること自体は無料です。有料コンテンツを使用しない限り初期費用はかかりません。通常のページでの投稿や、ファンを集めることについても何ら費用が掛かりませんので、通常の広告を提供するよりも安く済むことになります。

 ただし、ゲーム、アプリ、ギフトなど関連商品の購入には料金がかかりますので、Facebook内での使用は考えて使いましょう。

広告の利用・スポンサー記事の掲載

 Facebook内でスポンサー記事や広告の掲載は有料コンテンツです。広告やスポンサー記事の掲載時は、その費用は広告主が決定することができ、一日単位の予算にするか通算予算で決めるかや、インプレッション単価の入札(CPM)かクリック単価の入札(CPC)かなども選択できます。掲載する広告などの値段は1ドルからの入札で、広告主が好きな料金を選べますので予算や目的に応じて入札額を決定しましょう。

 そして、掲載された広告や記事は、獲得したインプレッション数(表示回数)またはクリック数によって課金されていきます(日本の場合におけるフェイスブック広告の相場は、1クリックあたりだいたい100円ほど)。支払い金額が1日の予算や通算予算より多くなることはありませんので、追加で料金が発生することもありません。


 これらが企業がフェイスブックを利用する際にかかる費用です。使える予算をしっかり考慮しながら、フェイスブックの有効な使い方を実践できるようにしましょう。

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なぜあなたのコンテンツは流行らない?ホリエモン、バイラルメディア時代のヒット戦略を語る!

 ホリエモンこと堀江貴文が、自身のメルマガに寄せられた質問に答えるYouTube番組「ホリエモンチャンネル」。その中で、ホリエモンが流行るネットコンテンツに必要な要素について語っています。

 ネットのおかげで誰もがコンテンツ発信者になれる時代。YouTuberやアルファブロガーになれば、自分の趣味がびっくりするほどの利益を生み出すことも。ネットコンテンツでの成功についてホリエモンは、「ちょっとした目新しさがなきゃ」と指摘しています。

「目新しさ」を作れば、ビジネスはいくらでも広げられる

 「堀江貴文のQ&A vol.374~YouTubeで世界視野!?~」で取り上げられた質問は、「元パティシエです。レシピをクックパッドとYouTubeで紹介して、自分のサイトに集客し、アフィリエイト収入や会員料金を稼ぐビジネスをやろうと思っています。このビジネスモデルは成功するでしょうか?アイディアをください」というもの。

 この質問にホリエモンは、「英語ベースで世界向けのレシピを発信すれば再生回数は上がるかもしれないけど、自分のサイトに誘導するのは難しそう。良いレシピだけが大きなサイトに取り上げられて、ユーザーもそっちに流入してしまうと思います」と回答。パティシエのレシピへの需要はあっても、それだけで流行るのは難しいとのこと。話題性を出すためには、ちょっとした目新しい要素が必要なのです。ホリエモンは、一例として「Google Glassを使って、パティシエ目線の動画を配信したらどうだろう」と提案しています。

 バイラルメディアの浸透もあり、単発のコンテンツでは他のサイトに転用されることもあります。自分のサイトへの流入が増えなければ、収入を得ることはできません。サイト自体に他とは違った斬新さがあれば、コンテンツではなくあなたという発信者にファンがついてサイトへのアクセスもガンガン増えるのかもしれませんね。

 「堀江貴文のQ&A vol.374~YouTubeで世界視野!?~」ではホリエモンと株式会社WILDMAGIC代表取締役の土橋仁さんが、人気が出るコンテンツを作る秘訣や、それをどうビジネスにつなげていくかを語っています。WILDMAGICが展開している、自然と一体になれる新しいアウトドアプランも紹介されていますよ。仕事の息抜きに、ぜひ見てみてください!


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【全文】「専門家やスペシャリストは発明を生み出せない」:素人が起こすこれからのイノヴェイション

 イノヴェイションを想像するとき、エジソンやスティーブ・ジョブズのような天才イノヴェイターが新しい価値を生み出していると考えている人は少なくないでしょう。実際、日本政府も「異能ベーション」という、才能を持つ特殊な人材の活躍を後押しする事業を始めました。しかし、「実際の発明というのは、変わり者の天才が作りだすものではない。真のイノヴェイションは情熱や知識を持った仲間が作っている」とクリエイティビティとイノヴェイションの第一人者であるチャールズ・リードビーターは主張します。

 ここでは、チャールズ・リードビーターがTEDで語った、「素人が起こすイノヴェイション」の講演について書き起こします。

スピーカー

チャールズ・リードビーター/イノヴェイション・コンサルタント

見出し一覧

・イノヴェイションを起こすのは天才ではなく集団だ
・利用者がイノヴェイションを起こすと確信できる3つの理由
・新しいイノヴェイター、消費者を脅かす「大企業の脅威」
・「灰色の組織モデル」こそが真の勝者たりえる

動画

イノヴェイションを起こすのは天才ではなく集団だ

 これからお話するイノヴェイションについては、すでに多くの人によって語られています。ここでは、少し違った視点からイノヴェイションの意味と意義を、ユーザーや消費者の役割を見直すことで明確にしたいと思います。まずは簡単な質問から始めましょう。マウンテンバイクは誰が発明したのでしょうか?経済理論をもとにするのであれば、新規事業を始められるような大きな研究所を持った大企業だと考えるでしょう。しかし、マウンテンバイクを発明したのは大企業ではないのです。

 では、天才発明家が自力で自転車部品を組み合わせ、開発したのではないかと考えるでしょう。実際にマウンテンバイクを発明したのは、カリフォルニアの若者です。カリフォルニアのレース用の自転車は派手過ぎて興味が湧かず、大きくてハンドルの重い自転車にも満足できなかったのです。そのため、大きな自転車からフレームを、レース用自転車からは変速機、バイクからブレーキを持ってきて組み合わせました。そうして「クランカー」と呼ばれる最初のマウンテンバイクができました。クランカーはカリフォルニアの自転車仲間が集まって発明した製品なのです。

 やがて、自転車部品の輸入業者がクランカーを商品として売り出し、ビジネスにしようと考えました。他の会社も参入し、10年か15年たったとき、自転車の大企業が目を付けたのです。それから30年経った今では、付属品も含めたマウンテンバイクの売上はアメリカの自転車市場の65%になりました。総額にすると580億ドルになります。

 つまり、マウンテンバイクは消費者が発明したということになります。もし自転車業界の主流を追っていたらマウンテンバイクが持つビジネスチャンスは見えなかったでしょう。自転車業界には新しい製品を発明する動機がなかったからです。ヨーカイ氏(アメリカの法律専門家)と私の考えではいくつか違う点があります。彼はインターネットによって、多くの人が共同で発明できるようになったと言いましたが、情熱と知識と意欲を持ち、プロ並みの技術を持つ消費者が道具を手に入れ、インターネットによって消費者同士が結びついたとき、初めて共同の発明という新しい花が開いたのです。ウェールズ(Wikipediaの創設者)が言ったように、新しい形態の組織、あるいは新しい組織化が必要になっています。組織抜きで組織化できるでしょうか?今ではソフト開発など、複雑な業務を共同で行う場合でも必ずしも組織は必要ない時代です。

 いかに創造性を高めるかを考える上で課題となるのは、まさに組織の考え方の相違なのです。政府や大企業は、独創的な発明を生むのは野球帽を逆さに被って会議に出てくるような変わり者で、有名大学とか研究所に奇抜な色の部屋を持ち、卓球台があるようなおかしな場所ですごい発明を考えていると考えがちです。そして、完成した発明はパイプラインで運ばれ、消費者のもとに届けられ、消費者は受け取るかどうかを考えるだけでいいというのが世間一般の理解です。この理解から生まれる政府や大企業の施策は、特殊な人や場所を確保するということです。研究特区を設け、独創的な人たちを集めます。そして、消費者にはより多くの発明を届けようとします。こうして、奇抜な天才から有用な発明が生まれるという考えはますます間違ったものになっています。そもそも最初から間違っていたのです。創造的な発明は共に働くことから生まれるのです。そして、対話が重要なのです。もともと間違っていた世間の考え方がますます間違いになっている理由は、アイデアが逆向きに流れているからです。

 現在では、消費者が専門家以上に先進的なアイデアを生み出しています。なぜでしょうか?そこには3つの理由があります。

 まず1つ目には多くの技術や人々に影響を与えるようなエッジが立った発明は、目で見て何に役立つのかよく分からない場合が多いということです。発明による報酬が最大になるのは、実は発明品の目的がよくわからない場合です。革新的なイノヴェイションが生まれた時、ほとんどの人はその発明が何に利用できるかわからないでしょう。

 電話の歴史も最初は理解されなかった発明の一つで、先が見えない中で進歩してきました。最初の有線電話を発明した人はウエストエンド(ロンドンの都市。劇場が多数存在)の劇場でライブを聴くための機械だと主張していました。携帯電話会社がSMSを発明した時も、何に使えるか理解されていませんでした。SMSの技術は10代の利用者の手に渡ることで使い方が発明されたのです。

利用者がイノヴェイションを起こすと確信できる3つの理由

 発明が革新的であるほど確かな見通しはなく、使ってみなければ何の役に立つのか見えてくることはありません。今まで作られた特許や発明に関わる制度は、発明家が自分の発明の価値を知っていることが前提でした。しかし、現代の発明家は発明の価値を前もって知ることができないのです。ユーザーと共に協力して、発明品を自在に利用することで本来の価値が見えてくる発明は、誰かがパッと思いつくものと考えられがちですが、ほとんどの発明が蓄積と協力の結果生み出されています。Wikipediaも時間をかけて発展したものです。

 利用者が重要である2つ目の理由は、利用者こそすごい発明をすることができるということです。新しくて斬新なアイデアを見つけたいのでれば、業界の主流や大企業が行っていることの中から探しても無駄です。大きな組織を見るとその訳が分かります。仮にあなたが大企業で働いているとしましょう。出世の階段を上ろうとすれば、役員会議で「これはすごいアイデアです。新規分野で新規顧客が対象ですが、利益はすぐには出ません。しかし、将来はきっと儲かる商品になります」と言えるでしょうか?大企業にいる場合は「優れた改善案です。既存商品と既存の販売網を使った、既存顧客向けのアイデアで、今後3年間の利益は間違いなく確保できます」と言うしかないのです。

 大企業は過去の成功に依存します。保守性に浸かっているので、新しい市場に飛び込むことはできません。新しいマーケットは情熱を持つユーザーが開拓するのです。1つ良い例を話しましょう。誰が30年前の音楽業界で「新しい音楽を創ろう。抑圧された黒人がターゲットで、世の中への不満を音楽にして表現するのです。大衆には最初は受けないかもしれないが、いずれきっと売れるだろう」と主張したのでしょうか?(笑) 結果はどうなったのでしょうか?ユーザーがラップを作りました。自力で歌を録音し、自力でデモテープを配りました。そして、30年後の現在、ラップはポピュラー音楽の主流になりました。

 新しい発明が大企業からではなく、利用者から生まれた3つ目の理由は、プロ級の素人が出現したことでした。私が所属しているロンドンの「DEMOS」というシンクタンクでは「プロ級の素人と仕事する」というのを仲間との合言葉にしています。素人ではあるけれど、「特定のあること」が好きで、好きだからやりたいという人がいます。「特定のあること」はソフトウェアや天文学、自然科学や凧揚げ、サーフィンなどどんな分野でも良いのです。好きだからやりたいと思う人は高いレベルでその趣味や娯楽、学びをしようとします。多くの人にとってそれは暇な時にその気になればやる趣味ですが、インターネットの発展により、真剣に取り組むための技術の習得が簡単になりました。他にも、趣味に必要なカメラやサーフボードなどのアイテムが、グローバル化によってすいぶんと安価で購入できるようになりました。知識が豊かな消費者が趣味を通じてお互いにつながり、一緒に活動しながら消費することが創造性を表現する手段になっています。多くの人がこうした「創造的な消費」に興味を持つのは、仕事では自分を表現できないからです。意味のある仕事をしている実感がないので、何か別の活動をやりたくなります。仕事の意味を感じられないのは、人生に大きな影響を与え、組織的にも大きな課題と言えるでしょう。

 天文学を例に考えてみましょう。30年前、専門的な天文学者以外は大きな望遠鏡で宇宙を見ることはできませんでした。子供の時に驚いたのですが、英国北部にあるジョドレルバンク天文台の望遠鏡は、月にロケットが発射される時に鉄道で運ばなければならないほど、とても巨大なものでした。今では6人のアマチュア天文家がインターネットを利用し、無料で誰でも利用できる「ドブソニアン望遠鏡」を提供しています。ドブソニアン望遠鏡では、簡単なセンサーを使うことで30年前のジョドレルバンク天文台の望遠鏡と同じことができます。天文学では創造的な担い手であるユーザーが急速に増えています。消費者は製作者にもなれるのです。

新しいイノヴェイター、消費者を脅かす「大企業の脅威」

 消費者が製作者にもなれることは組織的な視点にどんな意味をもたらすでしょう?世界を2つのグループに分けて考えて見ましょう。一つは古い伝統的な組織モデルです。古い組織モデルでは特別な人々が特別な場所を使い、特許を取得して受身の消費者に商品を一方的に流します。もう一方は、WikipediaやLinux(オープンソースのソフトウェア)をイメージして下さい。新しいモデルはオープンで、古いモデルは閉じています。この2つの組織のモデル間では抗争が起きていて、古いモデルは存在が脅かされています。新しいグループが成功しないよう、出来ることは何でもやるというのが古いモデルにいるグループの行動のようです。著作権の議論は、新しいグループを鎮圧するための苦肉の策だと私は見ています。特許とか著作権というのは、もはや腐敗しきってしまいました。特許や著作権は発明を促すのではなく、そして知識の普及を組織化するのでもありません。大企業は特許や著作権を利用することで、新たな発明を邪魔しています。

 例えば貴方がベンチャー企業を立ち上げたとします。「素晴らしいアイデアがあるのです。すごいプログラムを発明しました。それはMicrosoft Outlookよりずっといいものだ」と主張したとしましょう。一体誰がMicrosoft Outlookと競合する事業に資金を投資するでしょうか。誰も投資しないでしょう。これがMicrosoftと競合するのがオープンソース型の事業だけである理由です。

 大きな論争になっているのは、オープンソース型のものや消費者主導の発明が、維持・発展できるかどうかです。オープンソースや消費者主導の発明が大企業の独占を打ち負かす唯一の競争相手だからです。専門家からの反撃も強くなるでしょう。古いモデルの専門家は学者であれ、プログラマーであれ、医者であれ、ジャーナリストであれ、「素人の意見は信用するな」と言うのです。

 私が20年前にファイナンシャルタイムズ(イギリスの新聞社)の記者になった頃、記事を読んでいる人と出くわすととてもドキドキしたものです。地下鉄でファイナンシャルタイムズを読んでいる人を見かけたときは、肩越しに自分の記事を読んでいないか確認するために覗き見をしていました。たいていの読者は株価しか読まないですし、私の記事が掲載されている新聞が床の上に落ちていたりすると、「一体なんて馬鹿な奴らだ。俺のすばらしい記事を読まずに」と叫んでしまいたい気持ちになりました。ファイナンシャルタイムズが読者の参加を認めるのは2つのパターンだけでした。一つは投稿の読者ページでしたが、投稿は半分に縮められて3日後に掲載するルールがありました。もう一つが論説欄担当の編集者とのコネがある場合です。本当にこの2パターンしかなかったのです。

 恐ろしいことに、今では読者が記者や出版者になることを希望しています。「俺たちの記事だけ読んでればよいのに…」と多くのジャーナリストは思っているでしょう。しかし、読者は別にジャーナリストになりたいわけではありません。ジャーナリストはよく分かっていないようですが、ブロガーはただ情報を発信して議論や会話がしたいだけなのです。そして、情報のやりとりに加わりたいのです。ブロガーの増加は創造の担い手が増えていることを指します。ジャーナリストとブロガーの対立は大きな抗争と言えそうですが、オープン化を目指すグループからクローズドなグループへの大きな動きもあります。

 オープン化を目指すグループの将来にとって重要な課題があります。それはボランティアに依存していけるかという課題です。もしオープン化が重要ならば、資金を流して組織化する仕組みを支援する必要はないでしょうか。赤十字社のような団体を設立するのは素晴らしいアイデアです。しかし、ボランティアだけで組織できるでしょうか。公共政策や資金の流れをどうすればよいのでしょうか?そして、BBC(イギリスの放送局)や公共政策はどんな役割を担うのでしょうか?

「灰色の組織モデル」こそが真の勝者たりえる

 最後に知って欲しい事は、クローズドな組織を運営している方もオープン化に向けて動いているという事実です。つまり、この抗争は単なる二項対立ではなく、この2つのグループの間に我々の将来があるのかもしれないのです。新しい組織モデルがオープンとクローズドの中間を混在させて生まれてくるでしょう。MicrosoftとLinuxのように白か黒かはっきり分かれるわけではなく、その中間の灰色の世界が存在します。この「灰色の組織モデル」はとてもパワフルなのです。灰色の組織モデルを理解した人が将来は大成功するでしょう。

 最後に灰色の組織モデルの具体例を一つ紹介しましょう。私はつい最近、上海に行く機会がありました。上海は5年前は水田だったオフィス街で、10年間で2500もの高層ビルが建てられました。そのビルの中の1つでティモシー・チェンという青年と食事をしました。ティモシーは2000年にインターネットビジネスを始めましたが、後にコンピュータゲームに専念することを決め、インターネットビジネスからは離れています。彼は「盛大遊戯」という名の中国最大のコンピュータゲーム企業を経営しています。9000のサーバーを中国全土に備え、ゲームのプレイヤーは2億5000万人いて、常時400万人がゲームで遊んでいます。しかし、このサービスを提供するスタッフはわずか500人です。一体どうやって2.5億人のプレイヤーに対して500人で対応しているのでしょうか?盛大遊戯はサービスを提供しないのです。ルールや道具などのプラットフォームを用意し、ユーザーとの対話とアクションを組織化します。ゲーム自体はユーザーが自分たちで作るのです。それがある種の一体感をユーザーと会社の間に生み出します。盛大遊戯が打ち出した施策の効果は絶大です。

 ゲームを始めると、プレイヤーは登場人物を作り、ゲームを通して成長させます。クレジットカードの支払いが滞るなど、何か問題があると登場人物は消えてしまいます。登場人物が消えてしまったときは2つの選択肢があります。1つは、登場人物を創り直すことです。しかしこれまでのプレイ履歴は消えてします。新規のプレイヤー作成には100ドルかかります。もう1つは上海にある盛大の事務所に並び、プレイヤーの再登録を行うことです。再登録には700ドルほどかかりますが、プレイ履歴をとり戻すことが出来ます。毎朝、事務所の外には再登録のために600人ほどのユーザーが並んでいます。盛大遊戯は、ユーザーが共有できる道具や場所を提供することで成り立つ会社の一例です。オープンソースではないですが、とても強力です。

 ゲームの会社の場合、100万人がゲームで遊ぶとして、その内の1%がアイデアを提供する開発者になれば、1万人の人手が確保できます。政府が抱える深刻な教育問題や国民保険の問題も同様に、生徒のうちの1%が教育の提供側に協力するなら、教育を支える人材が十分に確保できます。また、国民保険も利用する患者の1%が保健サービスに関われるかもしれません。

 経費削減の圧力の中で、利用者を巻き込んだモデルが力強く立ち上がりつつあるのは、サービスを提供する側の人材を何倍にも増やすからです。このようなモデルが成立するのは利用者が製造し、消費者が計画するからです。

 以上です。ありがとうございました。

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【全文】「閉ざされたインターネット」Upworthy・CEOが語る、情報のフィルタリングの危険性

 FacebookやGoogleは、もはや生活になくてはならないサービスだという人も多いのではないでしょうか。多くの人が利用し、自分に最適な情報を手に入れていると錯覚しがちなGoogleの検索やFacebookのニュースフィード。しかし、アメリカで人気のバイラルメディア「Upworthy」のCEOであり、インターネット活動家であるイーライ・パリザーはこう指摘します。「Webで見ることのできる情報の多くは実はフィルタリングされている。もしかしたら、あなたと私のGoogleの検索結果は異なっているかもしれない」と。

 ここでは、イーライ・パリザーがTEDで指摘した、インターネットでの情報がフィルタリングされているという事実とその危険性についての講演を紹介します。

スピーカー

イーライ・パリザー/インターネット活動家・バイラルメディア「Upworthy」 創設者

見出し一覧

・GoogleとFacebookは私達が見る情報を操作している
・インターネットは「フィルターに囲まれた世界」
・フィルタリングのない「理想のインターネット」を追い求めて

動画

GoogleとFacebookは私達が見る情報を操作している

 FacebookのCEOであるマーク・ザッカーバーグが、Facebookのニュース配信機能についてジャーナリストから質問されていました。「なぜニュース機能は重要なんですか?」とジャーナリストが聞くと、ザッカーバーグは「たとえ話ですが、あなたの関心はアフリカで死に瀕した人々より、家の庭で死にかけているリスに向けられているのではないですか?」と答えました。マーク・ザッカーバーグが言ったような、自分と出来事の関連性の考え方をもとにしたWebとはどういうことか話したいと思います。

 メイン州(アメリカ)の片田舎に住んでいた私にとって、子供の頃の「インターネット」は現在とは全く違う意味を持ったものでした。インターネットは世界へのドアであり、人々を繋げるものでした。インターネットが民主主義と僕たちの社会に大きく役立つに違いないと思っていました。しかし、私達の見えないところでインターネットの情報の流れに変化がありました。この変化は、注意しないと大きな問題になるかもしれません。私がインターネットの情報の流れの変化に初めて気付いたのは、Facebookのページを見ている時のことでした。私は政治的には革新派ですが、進んで保守派とも交流しています。保守派の考えを聞き、保守派のサイトを見ることで何か学びたいと思っています。ある日、私のFacebookの配信から、保守派の情報が消えてしまって驚きました。何が起こったのかと言うと、私がクリックしたリンクをFacebookがチェックしていて、保守派よりリベラル派の友達のリンクをクリックすることが多いと気付いたため、何の相談もなく保守派の情報を削除していたのです。私のFacebookのニュースフィードから保守派はいなくなってしまいました。

 このように目に見えないところでアルゴリズムによるWebの編集を行っているのは、Facebookだけではありません。実はGoogleもWebの編集をしています。Googleを使って検索をするとき、私とあなたでは同時に検索したとしても大きく異なる結果が表示される可能性があります。あるエンジニアによると、Googleのサービスにログインしていなくても、57個もの項目をGoogleではチェックしているそうです。どんなPCを使っているのか?どのブラウザを使っているのか?現在地は何処か?Googleはこれらの項目をチェックすることによって、検索結果を調節しているのです。

 ちょっと考えてみてください。もう「普通」のGoogle検索は無いに等しいのです。そして妙なことに、このことは認識しにくい現象です。自分の検索結果と他人の検索結果がどれほど違うかは普通分かりません。

 私は数週間前に、Googleで「エジプト」と検索したスクリーンショットを送ってもらうように大勢の友人に頼みました。ここで私の友人のである、スコットとダニエルの検索結果を見てみましょう。
 2人の検索結果を並べて見てみると、リンクを読むまでもなく2つのページの違いに気付きます。リンクを読んでみるとさらに驚きます。ダニエルのGoogle検索結果では、エジプトのデモの関連記事が全くなく、スコットの方は反対にデモの記事ばかりでした。依頼をしたとき、エジプトではデモが大きな話題だったのにも関わらず、検索結果は大きく異なっています。

インターネットは「フィルターに囲まれた世界」

 GoogleとFacebookだけではありません。Webの編集はウェブ全体で起こっています。多くの企業が個人一人ひとりに向けて情報のカスタマイズをしています。Yahoo!ニュースはネット最大のニュースサイトですが、今では人によってカスタマイズされた違う内容を提示しています。Huffington PostやWashington Post、さらにはNew York Timesも様々な形で情報のカスタマイズを試みています。その結果、インターネットは「私たちが見たいもの」を予測して表示していますが、私たちが本当に見る必要がある情報が表示されるわけではないという状況に急速に変わってきています。エリック・シュミット(Googleの元CEO)は、「カスタマイズをされていない情報を、人々が見たり利用したりするのはとても難しくなるでしょう」と言っています。

 誰もカスタマイズされていない情報を見ることができないことは大きな問題だと思います。情報操作のためのフィルターやアルゴリズムによってできるのは、「フィルターに囲まれた世界」だと思うのです。そして、この「囲まれた世界」がネット上では、あなただけが持つ個人の情報世界となるわけです。自分の世界に含まれるものは自分がどんな人で、何をしているかによって決まります。しかし、何が取り入れられるのか決めるのは自分自身ではありません。これが問題なのです。もっと重要なのは、自分の世界を形成することで、何が削除されたのかは見えないことです。フィルターによる問題の1つは、Netflix(DVDのオンラインレンタルサービス)のデータアナリストたちによって発見されました。発送待ちの段階である妙なことが起こっていたのです。映画によってはDVDをオーダーすると、すぐに発送されて家に届きます。「アイアンマン」のような大衆が見たいと思う映画はすぐ届くのに、「ウェイティング・フォー・スーパーマン(アメリカのドキュメンタリー映画)」のような考えさせられるような作品は待ち時間がとても長いことがあります。

 データアナリストたちがDVDの発送を待つ段階で発見したことは、利用者の計画的な向上心と、もっと衝動的な今の欲望が大きく対立している状況でした。ユーザーは「羅生門」を観たことがある人になりたいと思う一方で、4回目の「エース・ベンチュラ(コメディ映画)」を観たいわけです(笑) 最良の編集は両面を見せるものです。ジャスティン・ビーバーを少し、アフガニスタンの紛争を少し、「ヘルシーな情報」と「デザートのような情報」も提供するわけです。アルゴリズムでカスタマイズされたフィルターの問題点は、利用者が最初にクリックした内容をメインにして参考にするため、情報のバランスが崩れてしまうことです。バランスのとれた情報摂取の代わりにジャンクな情報ばかりに囲まれてしまうこともあり得ます。

 つまりインターネットに対する我々の見解は、間違っているのかもしれないということです。メディアが作りだした神話にはこんな一節があるのではないでしょうか。「放送・出版業界は門番でした。編集者によって、情報の流れがコントロールされていました。でもインターネットが現れ、門番を追い払ったのです。私たちは繋がり合えるようになりました」。しかし、実際にはこの神話はウソです。私たちが目にしているのは、どちらかと言うと編集者という門番からアルゴリズムの門番にバトンが渡されている状況です。そして、問題はアルゴリズムは編集者が持つような倫理観念がないということにあります。ですから、世界の情報をアルゴリズムが監修し、私たちが見るものを決めるのであれば、アルゴリズムが情報の関連性以外の要素も考慮するようにしなくてはなりません。見たくないものや難しいもの、重要なものなども提示するようにしなくてはだめです。

フィルタリングのない「理想のインターネット」を追い求めて

 過去にも我々は同じ問題に直面しています。1915年のことです。当時、新聞は市民の義務についてあまり考えていませんでした。でも、人々は新聞が重要な役割を果たしているということに気付きました。市民が適切な情報を得ていないと、民主主義は機能しないのです。よって、情報のフィルターを行う新聞が重要だと市民は考え始め、ジャーナリズムの倫理ができました。ジャーナリズムの倫理は完璧ではありませんでしたが、私達と新聞は1世紀の間、この倫理を守りました。現在、私たちは「ウェブ上での1915年」に直面しています。プログラミングをする上で、倫理的な責任を組み込んでくれる、新しい門番が必要なのです。

 この講演は、FacebookとGoogleからの出席者にも聞かれているでしょう。ラリー・ペイジやサーゲイ・ブリン(2人ともGoogleの創設者)のように、今あるWebの構築に貢献した人々には感謝しています。しかし、アルゴリズムには生活や市民が果たすべき義務がしっかりと組み込まれているように彼らに確認してもらいたいのです。アルゴリズムが明白で、情報の取捨選択を決めるフィルターのルールが理解できるようにして欲しいのです。さらに、何が削除されて何がされないかを自分で決められるように管理できるオプションを提供してもらいたいのです。インターネットが私たちの思い描いていたようなものにである必要があると思うからです。私たちが思い描いたインターネットとはみんなを繋ぐものであり、新しいアイデアや人々、そして異なる視点を提示するものです。「理想のインターネット」を達成するためにも、Web上で私たちが孤立しないようにするべきです。

 ありがとうございました。

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