在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が、競売に掛けられた中央本部の建物を事実上取り戻した。東京都心の千代田区にある地上10階、地下2階建ての朝鮮総連中央本部ビルは、北朝鮮の日本での工作拠点であると同時に、大使館としての役割も果たしてきたが、傘下の信用組合の不良債権(627億円)を処理できなかったため競売にかけられた。
共同通信が4日報じたところによると、朝鮮総連中央本部ビルを22億円で落札した不動産会社「マルナカホールディングス」が、同ビルを山形県の不動産会社「グリーンフォーリスト」に44億円で転売した。グリーン社は同ビルの購入費用を、朝鮮総連の関連施設である「朝鮮出版会館」の管理会社「白山出版会館管理会」からの融資によって調達したという。白山出版会館管理会は最近、朝鮮出版会館を売却して資金を調達している。グリーン社が購入した中央本部ビルには、白山出版会館連合会が50億円の根抵当権を設定した。中央本部ビルの名義上の所有者はグリーン社となるが、実質的には朝鮮総連関連会社が所有することになる。朝鮮総連は形式的にはグリーン社と賃貸借契約を締結し、中央本部ビルを引き続き使用していく方針だ。
韓国の外交筋は「朝鮮総連が幾つかの段階を経て、627億円の不良債権を44億円にまで減らすという手で問題を解決した」との見方を示した。東京地裁は2007年、朝鮮総連が傘下の信用組合の不良債権を処理すべきだという判決を下し、これを処理できなかったとの理由で、13年に朝鮮総連本部ビルを競売に掛けた。
今回の契約を仲介した山内俊夫元参議院議員は、毎日新聞とのインタビューで「日本と北朝鮮の間には拉致問題など解決すべき問題が多い。朝鮮総連が望む通り、建物を引き続き使用できるようあっせんした」と説明した。