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2014衆院選ふくい

国の動向注視 対策探る 人口減少 

県内、伝統行事に影響 

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 若年女性の流出で、二〇四〇年に全国の八百九十六市区町村が消滅する可能性がある−。有識者らでつくる「日本創成会議」が五月に発表した試算結果は、地方自治体に衝撃を与えた。県や県内市町は、人口減少対策本部を相次いで立ち上げ体制を整えるが「国の戦略が見えない」との声も。妙案を探る一方で、伝統行事の廃止など、問題は既に形として現れている。 (山本洋児)

 人口減少対策の基本理念を示した「まち・ひと・しごと創生法」は十一月、臨時国会で成立。「総合戦略」の策定を明記したが、十二月上旬に予定された戦略の閣議決定は、総選挙後にずれ込むことになった。

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 同法は一五年度に都道府県と市町村に対し、各地の実情に応じた「地方版総合戦略」をつくる努力義務を課す。福井市内で十一月中旬に開かれたシンポジウムで、国の担当者は「予算はゼロ。戦略をつくると補助金が出るわけではない」と、地方自治体の主体性を求めた。

 これに対し、県総合政策部の前田洋一企画幹は、人口減少問題に危機感を示し「来年度いっぱいに戦略をつくる」と明言。ただ問題解決には東京への一極集中を変える必要性を指摘し「国が意識を持って」と積極的に関わるよう求めた。

 本紙の調べでは、八日現在で県と県内十一市町が八月から順次、人口減少対策に向けた組織を立ち上げている。鯖江市は、産業振興による雇用創出や愛郷心を育む取り組みなど五つの柱を検討。「国の方針が出ても揺るがない」(秘書企画課)と、鯖江版戦略の大枠を年度内にまとめ、一五年度予算に反映させる。敦賀市も既存事業の見直しで産業振興と子育て支援、人材育成に重点を置く。

 これに対し、福井市はいち早く対策本部の設置を表明したものの、その後の動きは鈍い。市総合政策室の担当者は「国に先んじて進めるのは難しい」と説明。「連携が必要」と国の動向を注視する。

 自治体の対応が分かれる中、人口減少の影響は既に市民生活へと及んでいる。秋田県の「なまはげ」に似た奇祭として知られる、福井市茱崎(ぐみざき)、蒲生両町の伝統行事「あっぽっしゃ」(二月六日)は、二年連続で中止となり、来年も再開のめどは立たない。最盛期で数十軒あった訪問先は二、三軒に減り、青壮年が務める鬼役もなり手が少ない。

 行事を受け継いできた地元の有志グループ「とうだい」の北村真治さん(55)は「空き家が増え、子どもも減った。住民の地域への愛着は薄れ、地区の存続が本当に不安」と漏らす。一トンのみこしが出る地元神社の秋祭りも運営が困難になりつつある。現状を打開する政策は、見つかるだろうか。

 

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