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子どもたちのおもちゃをボランティアで修理する「おもちゃ病院」が昨年末、紀の川市後田に開院した。ドクターを務めるのは、飛行機整備士の宮田悟さん(31)。根っからの機械好きが高じ、活動を始めた宮田さんは「故障の原因を見つけたとき、無事に修理できたとき、そして“治った”おもちゃを渡して『ありがとう』の一言をもらえたときが何よりうれしい。県内におもちゃ病院はおそらくここだけ。使い捨ての時代ですが、修理すればまた遊べることを子どもにも親にも知ってほしい」と話している。 |
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◆子どもの笑顔 やりがいに | ||||
宮田さんが自宅で「きのかわおもちゃ病院」を始めたのは昨年(2006年)12月。数年前、テレビでおもちゃを修理するボランティア活動を知り、「機械いじりが好きな自分の趣味を生かせる」と感じたのがきっかけだった。 北海道で生まれ育った宮田さんは、小学生のころから工作好きで、ミニ四駆やエアガンを分解しては中がどうなっているのかを見て、組み立て直したり、改造したり。高校進学後、分解する対象は自分のバイクへ。さらに「親の車のエンジンルームを勝手にバラしたりもしていましたね」。高校卒業後に大阪へ移り、9年前から飛行機整備士として関西国際空港で働いている。紀の川市へは2003年に引っ越してきた。 開院後は手作りのポスターを近所の保育園や図書館に貼ってPR。これまで約5カ月で17件の依頼を受けた。親に連れられた子どもが宝物のおもちゃを持ってくるケースが多いが、祖父母が「息子が遊んでいた新幹線のおもちゃですが、孫にも遊んでもらいたいので修理してほしい」と来たこともある。 ドライバーやはんだごて、電気の流れを見るテスターなどを使いながら作業。“退院”の際、依頼した子どもから「ありがとう」と満面の笑顔で言ってもらえたときが至福の瞬間だ。「お風呂で使うおもちゃは遊んだ後、水を切って乾かすように」「電池は液漏れ防止のため、遊ばないときは抜いた方がいいですよ」などアドバイスも欠かさない。 3月には地域の文化祭で出張診察も。1日でおもちゃ4件に加え、自転車の修理1件の依頼を受けた。「私は他府県から移って来たため、和歌山に知り合いがいない。地域の人たちと交流するきっかけにしたいというのもおもちゃ病院を始めた理由でした」と語る。 全国では定年後に修理ボランティアをする人が増えているそうで、「和歌山でもおもちゃドクターが増えてくれれば」と願う宮田さん。仕事の合間を縫って活動しているため、依頼者の前で修理できないことも多いが、「本来は『中はこんなになっていて、ここが悪くて…』と説明しながら子どもにも親にも作業しているところを見てもらいたい。電化製品と同じで、安い海外製のおもちゃが出回り、壊れるとすぐ買い換えることが多い時代ですが、修理すればちゃんと遊べること、物を大切にする心を伝えたい」と話している。 修理は無料で、部品代は実費。診療日は不定期。問い合わせは同病院(0736・75・5227、午前10時〜午後3時)。 写真=「物を大切にする心を伝えたい」と宮田さん |
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