長崎県佐世保市の高1同級生殺害事件で、県は5日、事件前に県の児童相談所が少女(16)=家裁送致=に適切に対応できなかったのは、児童福祉制度に関する児相幹部らの理解不足があったとする報告書を県議会に提出した。本来は児相や警察、学校などで対策を話し合うべき対象だったのに、他機関の意見を聞かないまま判断したと批判している。
県は報告書で今後、人員増強や職員の研修強化に取り組むとしたが、5日の県議会委員会で「再発防止策が不十分」との批判を受け、報告書を修正する方針を示した。
少女の精神科医は昨年6月、児相の担当者に電話で「放置すれば(少女が)誰かを殺すのではないか」と通報。警察や学校の関係者でつくる要保護児童対策地域協議会(要対協)での検討を求めたが、児相職員は「要対協で支援するケースとは思えない」と断り、幹部も追認した。
これに対し報告書は、医師の通報への対応は不十分で話を聞きに行くなど調査をすべきだったと指摘。他の機関からの通報や相談を安易に受けないよう部下を叱責していた児相幹部による部下への日常的なパワハラも間接的に影響した可能性が否定できないとした。
さらに事件前に父親を金属バットで殴打するなどの行動や、精神科医の通報内容を考えると「少女は要対協の対象だった」としている。〔共同〕
児相