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新作『ボトムオブザワールド』インタビュー
eastern youth吉野寿が語る、“覚悟のアルバム”とバンドの今後「人生で最後の一枚との想いで作った」
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結成27年目を迎えるeastern youthが、2月18日にアルバム『ボトムオブザワールド』をリリースする。同アルバムは、かねてより自身達で運営してきた「裸足の音楽社」からオリジナル・アルバムとしては初の単独リリースであり、先日脱退を発表したベーシスト・二宮友和が参加する最後の作品となった。かねてから親交が深い向井秀徳 (ZAZEN BOYS)や射守矢雄(bloodthirsty butchers)、cp(group_inou)らがゲストコーラスに参加するなどの新しいアプローチを見せつつ、“これぞeastern youth”と呼ぶべき爆裂ギターサウンドと、切れ味鋭い詞世界を展開する本作。リアルサウンドでは今回、吉野寿(ボーカル・ギター)にインタビューを実施。聞き手に音楽ライターの石井恵梨子氏を迎え、吉野が同作に込めた思いや二宮の脱退を受けて感じたこと、これからのバンドの方向性について大いに語ってもらった。(編集部)
「正直いって最後のアルバムだったらどうするかなと思って」
一一素晴らしいです! 吉野さんの手応えはいかがでしょうか。
吉野寿(以下、吉野) いや、よく出来たと思ってますね。今までで一番よく出来たと思ってる。その、キャリアの中で。
一一15枚目ですからね。
吉野:あ、そうなんですか? ……ずいぶん遠くまで来ましたねぇ。
一一知らなかったと(笑)。今回は特に音が良くないですか?
吉野:おんなじように録ったんですけどね。ただ、録ってくれた人が初めてで。植木清志くんっていう、ブッチャーズとかずっとやってた人。音楽の趣味とか何も説明しなくても俺との共通点があるし、ポイントみたいなものは、すぐわかってくれたんじゃないでしょうか。
一一とにかく音のエネルギーに圧倒されました。聴くほうも「ウォオオー!」って感じで、腹の底から滾るものがある。
吉野:まぁ、吹っ切って作れた気はする。迷いは常にあるけど、意図的に払拭した、切り落としたっていうかさ。「イカンイカン、迷っちゃいかん!」「人の意見も聞かん聞かん!」って。それは個人的にですけどね。バンドのメンバーがどう思ってたかは知らないけど、個人的にはそうやって作ったように思いますね。
一一迷いというのは、具体的には?
吉野:要するに、こんなことやったらウケないんじゃないか、とか考えてしまうわけですよ。なんかいつもお馴染みの感じだな、これ新鮮味がねぇなとか、逆にこれやっちゃうと変かなとか。そうやって自分でブレーキかけちゃうところが、どうしても出てきちゃうんですよね。だけど、そういうのはもういいって思った。自分の中から素直に出てくるもんだったら、何かに似てたっていいし、何十回とやってきたことでもいいし、まったくやったことがなくてもいい。その代わり、自分の中から自然に出てきたものだけ。何かを聴いて憧れてこんな曲にしたいとか、そういうことは意図的に考えないようにしたんですね。音楽は常にいっぱい聴いてますけど、そこに憧れないように。
一一この2~3年でよく聴いた作品ってありますか。
吉野:なんだろう? 一番よく聴いたのはニーナ・シモン。そればっかり聴いてます。あとシュープリームスとオーティス・レディングしか聴いてない(笑)。明るいソウル・ミュージックみたいなのが好きで。あとは相変わらず昔の、80年代のイギリスのパンクっすね。初期パンクからハードコア・パンクに移行する過渡期のあたりのバンド。明るいんだけどちょっとショボくて、ハードなんだけど寂しいみたいな。もう時代遅れなのかもしれないけど、だって好きなんだもんしょうがねぇじゃんっていう。
一一若手では、オッと思うバンドはいました?
吉野:俺ね、ほんと新しい音楽は聴いてなかったですね。何かロックシーンでワオと思ったものも……ないかな。いいセンスだなぁと思うバンドはいるんだけど、新しいって意味では、そんなに。
一一少し話が飛躍しますけど、90年代までってUSシーンと日本のオルタナ・シーンがリンクしながら、どんどん新しい音が出てきた印象があるんですね。でも今は、新しいか否か、という価値観がない。どれだけオリジナルか、どれだけ踏ん張れるのかに重きが置かれている気がします。
吉野:あぁ、うん。そっちのほうが大事ですね。見ててもそのほうが面白い。「あっ、最先端だな」とか「尖ってるなぁ、先行ってるなぁ」っていうのは洋服のトレンドみたいなもので。早い、センスがいいっていうのも楽しみ方のひとつだと思うけど、それほど重要じゃないと思うようになってきましたね。俺はもともとそういうタイプなんだろうけど。それよりは「あんたじゃなきゃできないこと」っちゅうか。「お前……面白い奴だなぁ、誰なの? どこで生まれたの?」っていう、そういうことに興味持つほうが多いですね。
一一今回はその「あんたじゃなきゃできないこと」だけ、そのために踏ん張る力だけで作られたアルバムだと感じましたね。
吉野:あの……正直いって最後のアルバムだったらどうするかなと思って。個人的にですよ? バンドがどうのっていうんじゃなくて。でも曲作る役目を負っているのは俺なんで、もうこれで人生で最後の一枚しか作れないとしたら、どういうものを残しておきたいか。その想いで作ったんですね。だから自分の大事なとこ、だけ。「こんなことやってみました」「遊んでみました」っていう余裕はない。そんな余裕は削ぎ落として、身も蓋もなくていいから、骨だけ。みっともなくても情けなくてもいいので、本当の嘘なしの骨だけで勝負して、ダメならダメでそれでいいっちゅう。そういうイメージで作り始めましたね。
一一それは、二宮さんの脱退も含めての話ですか。
吉野:や、それはまた全然違うんですよ。でもバンドのバランスはやっぱり昨日今日の話じゃないから、俺の気持ちに影響がなかったかって言えば、あったような気もする。バンドの状態って日々変わるもんですからね。でも、そこでも俺はギターぶっ叩いて歌い散らすしかできることがないんですよ。今はバンドの需要が下がっちゃって、経済的にも困窮極まってきたし、全然収入ねぇし。「参ったなぁ、バイトするのもなぁ~」って言いながら……まぁこのまま行ったら働かなきゃいけないことになるんですけど、その前にやれること全部やろうと思って。もう俺に与えられてる機会はそんなにたくさんねぇのかなと思うと、今まで誰に気ぃ遣ってたんだろう、俺? みたいな。だったら「もう気ぃ遣わんぞ! おーし、ギター持ってこい、はいカウント! ガァァーーン! よぉーし!」と。そんな感じです。
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