経済協力開発機構(OECD)は5日、多国籍企業が各国で納める税額などの情報を親会社がある国に提出することを義務付ける国際ルールをまとめた。多国籍企業による課税逃れを防ぐため、加盟国や20カ国・地域(G20)が協調する。
9日からトルコのイスタンブールで開くG20財務相・中央銀行総裁会議で税逃れ対策の一環として報告する。
報告を義務付けるのは、連結売上高が7億5000万ユーロ(約1000億円)以上の多国籍企業。日本では1000社程度が対象となる見込みだ。
2016年1月以降に始まる事業年度から、グループ会社の納税額や売上高、保有資産などを国ごとにまとめて、親会社がある国の税務当局に毎年報告させる。
報告を受けた税務当局は、子会社がある国の税務当局と情報を共有する。国境をまたいだグループ間の取引を通じて、税率の低い国に利益を移す動きを封じる。
OECDは昨年9月、企業グループ内の取引などについて報告を義務付ける方針を決めていた。ただ、各国で納める税額などの情報をどこで報告させるかは決めていなかった。
経団連などは情報漏洩や事務負担の増加を懸念し、本社がある国への報告だけで済むように求めていた。OECDは経済界の声に配慮し、子会社ごとに提出させることは見送った。
OECDは英国などが導入している知的財産の優遇税制について、見直すよう勧告することも決めた。企業が税負担を減らすために、他国で開発した知財を移す事例が相次いでいるためだ。
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