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2015/02/06

お題「市場雑談メモ/原田先生に引き続き若田部先生も債務消滅理論とな/師匠の会見鑑賞会!!」

ということでなんでこうネタがある時と無い時の差が大きいんでしょうかねえ最近は・・・・・・

○市場ネタ30年国債とか中期とか

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2014/resul079.htm
(1)応募額 1兆4,716億円
(2)募入決定額 5,510億円
(3)募入最低価格 100円20銭  (募入最高利回り) (1.490%)
(4)募入最低価格における案分比率 42.2279%
(5)募入平均価格 100円74銭  (募入平均利回り) (1.464%)

ということで何故か株式市場まで注目していたらしい(らしいというのは30年国債の落札結果が順調というのが出た時に株価指数先物が盛大に戻りを試しに行っていたからそう申し上げておくのだが)30年国債入札ですが、前場の引けでのオファーサイドが平均落札になって、1.5クーポンの100円レベルの手前で止まるという結果でまずは事前に懸念されていたあばばばばー結果とはなりませんでした。

・・・・・・でまあそれは良いのですが、入札前の前場は結構調整していましたが、落札結果出た途端に先物が吹いて何故か堅調落札の超長期も戻るには戻ったものの先物の方が戻りが早いとは何事ぞとか思っていたら、時間の経過とともに超長期特に30年の気配がヒャッハーヒャッハーと強くなって前場引けでは1.465%オファーとかのレベルだったのが大引けになってみると1.350%の引け(7強)とかもうチョッピーにも程がある展開。

でもって昨日超長期も盛大に暴れましたが、まあこれは入札という要因があったからシャーナイナイとしましても、中短期の暴れっぷりが結構な暴れん坊将軍で、5年は12bpレベルとかまで盛大に叩かれた後に入札結果出た後に8.5bp辺り(でしたっけ?)まで戻って、そのあと売りが出て(そのせいで先物が引けにかけて大失速したと思われ)結局10bpレベルに戻って引けは10.5bp(0.5甘)とか中々の暴れ。

更に貫禄の暴れを示したのがなぜか2年でして、前日引けの3bpに対して朝からやたら弱くて前場に前日比利回り2ばい2ばーい以上の6.5bpまで金利が上昇し、超長期落札発表後にはいったん3.5bpレベルまで戻ったものの、その後また叩かれて5bpレベルとかになる(引けは4.5bpで1.5甘)とかジェットコースターにも程がありますし、そのゾーン普通ヘッジできないからこんな凶悪な動きをされたらマーケットメーカー死ねるわ。

なお、この次に申し上げますが、実際には後場の中短期の戻りは超長期の落札結果よりも3M短国が事前のトークよりも強くて100円で切れたので中短期安心感が出たという話もあったりしてまあ謎ではありますわ。


てな感じで、まあとりあえず日銀トレードヒャッハーだけの相場から一転していろいろとオモシロ展開(というかこれだと面白くない人も続出してそうですので不謹慎ですかそうですか)になっておりますが、一応30年国債入札は順調に終了して相場は戻った形になっていますが、これだけ動きがチョッピーですとまだまだ落ち着いたとは言いにくいとゆーところですかね、よー知らんけど。


○市場ネタ:短国とかオペとか

よく考えたら今日は6MTBの入札なので短国買入は月曜に実施されるんでしたすいませんすいません。

で、昨日の3M

http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/tbill/tbill_nyusatsu/resul20150205.htm
(3)募入最低価格 100円00銭0厘0毛(募入最高利回り)(0.0000%)
(4)募入最低価格における案分比率 44.8519%
(5)募入平均価格 100円00銭0厘4毛(募入平均利回り) (-0.0015%)

昨日は駄文の方では100円足切でしょとか申し上げておりましたが、直前にはプラス利回りの可能性もありそうという話にはなっていましたので、100円4割案分は何となく強いという評価になって、そのせいで先ほど申し上げた中短期の利付債の戻りが出てきたという話もあるのですがよくわからん、つーか短国と利付は別世界の面もある(同じようなモノという動きをする場合もありますけど)ので、そこでそんなに戻すのかよとも思いますが。

・・・・・・・・まあ何ですな、昨日の短期(というか2年カレント)ゾーンの大暴れぶりを見ますに、さすがにこの動きでマーケットメーカー(最近は一般的に2年くらいも短国も同じカテゴリーに入れられてることが多いわな)がリスク許容度落としていて、今更日銀トレードヒャッハーでも無いだろとなり、その一方で在庫はある程度持たないといけない、となりますとそらまあ100円にドカンと札入れて案分狙って余ったら日銀トレードヒャッハーなどと言っている場合でもないということで、必札分だけを上に入れて後は100円以下で札を流した結果アベレージが上になったんでしょうかね、よー知らんけど。

でまあ一部体力のある人がいたのか、銀行業態さんあたりでマイナス利回りじゃなかったら担保だバランスシートの調整玉だとしてニーズがあったのかは知らんけど、まあそういう人たちが100円に札を入れたので上記の結果になったという感じでしょうかね、まあただの推測ですけど。

さてさて本日は短国6Mの入札がありますが、なにせ6か月ものと言えば四半期末を2回通過できるという夢のような素敵な商品でありまして、発行量が3.5兆円しかない(3Mは5.7兆円な)となりますとまあ普通にニーズを集めて100円足切ですかそうですかという所で、月曜の短国買入が目先の注目材料となりそうですな。


ところで固定金利オペ。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150205.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(2月9日スタート分) 2,160 2,160
(固定金利オペの結果のみ)

これは2360億円のロールで、2160億円入っているので結構順調な歩留りになっておりまして、昨日はシグナル以外の細かいのが残高落ちるかねとか勝手な予想をしたらこちらも順調な歩留りでして、このオペの歩留りが良いと短国買入に掛かる負担が軽くなるのでニッコリという所ですな、うんうん。

以上市場雑談メモでした。


○原田先生に加えて若田部先生の珍理論コンボキタコレ!

原田先生に加えて若田部先生も「日銀が国債を買うと政府債務が消滅」という珍理論を展開していまして、都の西北方面には何か瘴気でも漂っているのではないかと申し上げたくなる次第なのでございますが早稲田の政経の経済出身の方のご見解をお伺いしたい。

http://www.asahi.com/articles/ASH1V5GGDH1VULFA024.html
日銀法改正でアベノミクス再起動 若田部昌澄・早大教授
聞き手・福田直之
2015年2月5日09時17分

・原田先生のジンバブエ理論と同じ話もあるのですがその前の話も大概にアレ

ということで色々とツッコミどころはあるのだが金融政策の効果に関する説明もかなりアレなので鑑賞しましょう。

『「日銀の金融緩和には基本的に賛成だ。日本経済によい影響をもたらしている。緩和でまず株や不動産といった資産価格が上昇する。人々が物価が上がると思うようになり、消費と投資が増える。そして輸出が増える。そうした経路が予想通りに来ている。就業者数が増えて、失業が減って、企業倒産件数が減っている。株高と円安は金融緩和の直接的な結果と言え、経済全体により影響を及ぼしている」』(上記URL先より、以下同様)

金融緩和の効果が前向きの循環として効いてきているとのご解釈ではあそうですかという所ですが・・・・・・

『「アベノミクス全体で見た場合、財政は3分の1、金融は3分の2を牽引(けんいん)していると思う。さすがに今、金融政策が効いていないというのは難しいだろう」』

・・・・・・・えーっとすいません、財政政策と金融政策での牽引が100%でしたら先ほど仰せになっておられました前向きの循環は働いていないと思いますけど。自律的な成長拡大サイクルに入っていないのであったら単なる一時的なカンフル剤あるいは未来から力を前借りしてくるドリンク剤みたいなもんで、その効果を捕まえて「効いた効いた」と言われましても、それは無いよりはマシ程度の話にしかならないと思いますけどねえ。


・物価は貨幣的な現象じゃなかったのでしょうか??????

しかしこの先生の説明の一番のアレは直線一気置物リフレ理論を擁護しようとしてものすごい勢いで過去のリフレ理論と全然違う話をしているところ。

『――日銀が掲げる2年程度で2%の物価上昇率を実現するという物価目標はどうご覧になっていますか。

 「達成するのはかなり怪しくなってきた。ただ、それは日銀自身だけではなく政府の問題が大きい。昨年4月の消費増税による景気低迷が大きな足かせになっているからだ。消費増税の影響で2015年度の成長率はマイナスになりそうだが、それがなければもっと良い数字になっていただろう」』

>それ(物価目標達成の遅れ)は日銀自身だけではなく政府の問題が大きい
>それ(物価目標達成の遅れ)は日銀自身だけではなく政府の問題が大きい
>それ(物価目標達成の遅れ)は日銀自身だけではなく政府の問題が大きい

・・・・・(;゚д゚)

えーっとすいません確か置物リフレ理論によりますと「物価は貨幣的現象であるから、物価は金融政策で対処する問題であり、他の要因を理由にしている(当時の)日銀は無能で屑であり、今すぐ置物リフレ理論を用いてインフレ目標を金融政策のみで達成すべし」だったと思いますけれども、実際にMB直線一気置物理論を投下して大口叩いた達成期限になったら消費増税ガーに政府の政策ガーですかそうですか。


・政府と日銀の共同文書の建付けも否定していますね!!!!

『「本当にコミットメント(公約)を強めたいのならば、元々のアベノミクスの基本文書である政府と日銀の共同声明を強化して、具体的に法律にしてしまうのが一つの方法だ。その次は、年来の課題となっている日銀法に物価目標を正式に入れ込む改正をすることだ」』

ご高説によりますと金融政策だけで達成できない場合もある物価目標なのですが、それを法的に義務付けるって無茶苦茶でござりますがな。

『「ただし、デフレ脱却には政府の責任が大きい。これらは安倍晋三首相が主導権を握って進めるべきだ。アベノミクスを再起動するときに、そういう『レジーム・チェンジ(体制転換)』的なことを強化する手立てが必要だ」』

えーっとすいません。

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2013/k130122c.pdf
「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」

を見ましてもデフレ脱却に関しては日銀の責務であり、政府の責務は持続的な経済成長をもたらす成長力の強化や構造改革、財政の長期的な持続可能性の構造構築ということになっておりますが、いつの間にデフレ脱却が政府の責任になったのでしょうか?????それに今申し上げましたけど、人の責任によって決まる物価目標の達成可能性に対してなんで日銀が法的に責任取るような制度を作らないといけないのでしょうか??????


・都の西北に漂う珍理論再び

なお他にもツッコミどころがあるような気がしますが、この後に本日は師匠会見というメインイベントがございますので適当に切り上げて早稲田大学政治経済学部に漂う瘴気もとい珍理論の説明を鑑賞しましょう!!!

『――国内総生産(GDP)比240%の政府債務残高は重荷になります。

「財政の話をするときに見過ごされている観点がある。日本政府が持っている資産から国債残高などの負債を差し引きすれば、純債務は13年度で490兆円。仮にこれまでと同じペースで増えたとすると、14年度は530兆円弱だ。』

なるほど。

『もちろん政府資産は全部は売れないとしても、巨額だし、売却やリースが可能なものも多額に上る。』

・・・・・・・・ここは一応好意的に解釈すると聞き手の人が変に端折っているから一瞬ビビるのですが、政府資産を削減して国債も削減しようという話のようです。もちろん余計な遊休状態になっている政府資産と国債の両建てを落とそうというのは分かりますが、政策遂行に必要な政府資産は売却とかリースとかできませんなと思いますけどまあここまでは良い。

『そのうえで、政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる。』

>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる
>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる
>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる
>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる
>政府と一体と考えられる日銀が持っている国債260兆円は国のバランスシートから落とせる

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/other/acmai/release/2015/ac150131.htm/
営業毎旬報告(平成27年1月31日現在)

まあ確かに日銀はバランスシートに国債260兆円を持っていまして、日銀と政府を統合して考えてみれば政府の発行している国債残高とこの260兆円部分が両建てになっておりますので、それを落としても結構なのですが、そうなりますと日銀バランスシートの負債サイドにあります「日銀当座預金」と「銀行券」の部分(他もあるけど大きいのこれね)はどうなるのでしょうか????????????

この後の若田部大大大先生の説明だと「負債は270兆円弱」という説明をしておりますので、どうも(銀行券は還流しない限り永久負債という風に考えれば実質上は負債というより資本みたいなもんだとも言えますが)185兆円ほどあります所の当座預金に関しては踏み倒す以外に消滅させる方法はないのでして、つまり若田部大大大大大先生の理論は「民間保有資産の強制接収を行えば政府の債務が減ります」と言ってるのと同じなのですけど、窃盗現行犯タイーホとかチャチなレベルではない壮大な構想に思わず頭がクラクラしてしまいます。

一応そのあとを鑑賞しておきましょう。

『政府が利子を払う相手は日銀になるので、日銀はそれを納付金として国庫に納めるだけになる。そうすると負債は270兆円弱でGDPに対して57%ぐらいだ。だから、日本では財政破綻(はたん)が誇張されすぎている感じがする」』

ということで「負債は270兆円弱」と思いっきり仰せになっておりまして、結局のところ原田大審議委員候補者様の仰る「日銀はタダで国債を買っているので日銀が国債を買うと政府債務が消滅する」というジンバブエが裸足で逃げ出す珍理論と同じような話をしているのが分かると思います。

・・・・・・・ちなみに超余談になりますが、この若田部先生様の珍理論自体はゴミにも程がありますが、この論法で参考になるのは、いわゆる「銀行券ルール」には妥当性があるという話がこの論法から導かれる訳ですよ。つまり、統合政府という意味でみた場合に、発行銀行券の底溜り分を永久無利子負債として、見なしの資本的性格のものだと考えれば、日銀が発行銀行券の範囲内で保有する国債に関しては銀行券見合い部分なので、実質的には統合政府の純債務と考えなくても済むという話であり、それを超えて保有する分においては財政ファイナンス部分であって、統合政府の純債務の政府から日銀への付け替えにすぎないという話になると思いますがどうでしょうかね。

まあそんな余談はともかく、日銀当座預金を踏み倒さないとすると国道とかが日銀当座預金の見合いとして民間金融機関に譲渡されるとなるのかも知れませんが、そうなると民間金融機関は預金者などへの預金支払いの原資を賄うために国道に関所作って通行料を徴収するとか、戦国時代もビックリの群雄割拠の時代が到来するのかもしれませんね!!!!!!!!!1111



○師匠の会見がお笑い劇場というよりは最早恥ずかしいというレベルである件について

http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2015/kk1502a.pdf

質疑応答自体はそこそこあるのですが、その中でもアタクシ的にアレとしか思えない3つの質疑応答をネタにしたらそれだけでものすごい量にwww


・2年の定義が盛大に変わっている件について過去のご高説と比較対照の巻

途中の辺りから参りますかね。

『(問) 副総裁はかねて「量的・質的金融緩和」の柱として、2年で2%達成への強いコミットメントと、それを具体的に行動で示す、と一貫して説明してこられたかと思います。その点、1月の展望レポートの中間評価では2015年度の物価の見通しの中央値が+1.0%になり、2年での達成は難しく、2%の達成には3年かかるようにみえます。』

そうですね。

『QQEは2年という具体的な期限を明示したことが政策の効果や信頼性を高めたと思うのですが、2年で2%のコミットメントが現状揺らいでいるということはないのでしょうか。原油安が理由ということであれば、2%のコミットメントが守れなかったとしても具体的な行動は必要ないというお考えなのでしょうか。』

これは助け船のようで泥船を出すという質問。

『(答) 「2年程度」の点については、今のところ中央値では「2015年度を中心とする期間」という2年程度の幅におさまっていると思っています。2年程度で、できるだけ早くということには変わりはありません。』

・・・・・・・ほうほうそうですか。ところで副総裁任命の同意を求める際の国会での説明はこうなっておられましたよ。

http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/002018320130305012.htm
第183回国会 議院運営委員会 第12号(平成25年3月5日(火曜日))

幾つかございますけど先ずは質疑冒頭の御法川信英委員(自民党)の質問に対する答えを引用しましょう。

『○岩田参考人 達成の期間ですが、一般に、私はインフレ目標採用国の研究をずっとしているんですけれども、そこでは、ミディアムタームと英語では書いてあって、中期的と書いてあって、それで、それのいろいろ研究をした研究書などでは、実際には一年半から二年で大体その目標圏内にきちっとインフレ率が維持されているということであります。』(上記2013年3月5日での国会発言より以下暫く同様)

>一年半から二年で大体その目標圏内にきちっとインフレ率が維持されているということであります
>一年半から二年で大体その目標圏内にきちっとインフレ率が維持されているということであります
>一年半から二年で大体その目標圏内にきちっとインフレ率が維持されているということであります

で、その続き。

『ですから、私も、それが標準的なスタンダードだということで、ただ、日本の場合、非常にデフレが長くて、デフレマインドがもう定着しておりますので、これを金融政策である程度マイルドなインフレに転換することが必要ですので、今言った中期的のうちの二年は、遅くとも二年では達成できるのではないか、またしなければいけないというふうに思っています。』

>遅くとも二年では達成できるのではないか、またしなければいけないというふうに思っています
>遅くとも二年では達成できるのではないか、またしなければいけないというふうに思っています
>遅くとも二年では達成できるのではないか、またしなければいけないというふうに思っています

ついでにその次の質問者となる津村啓介委員(民主党)の質問に対する質疑応答を前も引用しましたけれども念のため。

『○津村委員 (冒頭割愛) 二%ということを先ほどおっしゃられていましたが、岩田さんは、全責任を負う、マンデートだ、それを市場が信頼するからこそインフレ期待が上がるんだ、それについては現行の日銀法では不十分ということをおっしゃいましたが、これから中央銀行のトップ、副総裁につかれるとなれば、運用で、自分はこうやるんだ、全責任を負うんだということを明確にされることで、ある意味では、岩田さんのおっしゃる今の法の不備といいますか、そこを補っていかれるということだと思います。そこで、お伺いしたいんです。一つは、二年とおっしゃるのは、この就任の三月から二年後、つまり再来年の春ということでよろしいかというのが一点。それから、もう一つは、全責任を負って市場の信頼をかち取るということですから、それが達成できなかった場合の責任の所在ということははっきりとさせていかなければいけないと思いますが、それは、職を賭すということですか。』

『○岩田参考人 それは当然、就任して最初からの二年でございますが、それを達成できないというのは、やはり責任が自分たちにあるというふうに思いますので、その責任のとり方、一番どれがいいのかはちょっとわかりませんけれども、やはり、最高の責任のとり方は、辞職するということだというふうに認識はしております。』

『○津村委員 二年間というのは、二年後の春、つまり、二〇一五年の春の消費者物価の上昇率二%ということを目標とされる、そして、最高の責任のとり方としては、職をかけるということでよろしいですね。』

『○岩田参考人 それで結構でございます。』(ここまで上記2013年3月5日での国会質疑より)

・・・・・・・とまあ著名(かどうか知らんが)な質疑も念のため引用しておきましたよ!!!!!


などと、さっそく過去のご発言との比較対照をしてしまいましたが(^^)、そもそもの会見質疑に戻りたいと思います。


・物価って金融政策で達成できるんじゃなかったでしたっけという件を過去のご高説(以下同文)

でまあさっきの続きですが、見事に諸葛孔明の罠に嵌っているのが師匠のチャーミングなところです。

『先程の金融経済懇談会の冒頭挨拶でも申し上げましたが、消費が、消費増税後少し弱かったということ、それが予想外に長引いたということが物価引き下げ要因として働いたわけですが、もうひとつ強く働いたのが原油価格で、これは半年でマイナス6割と、半値以下になってしまいました。これは、すぐに金融政策でどうこうするということではないと思っています。』(最初のURLにある一昨日の記者会見より)

>これは、すぐに金融政策でどうこうするということではないと思っています
>これは、すぐに金融政策でどうこうするということではないと思っています
>これは、すぐに金融政策でどうこうするということではないと思っています

なるほど。

・・・・・・・では先ほど引用した副総裁任命の承認を得るべく国会で行った質疑に関して、3番目に質問に立ちました阪口直人委員(日本維新の会)との質疑を途中から引用してみましょう。

『○岩田参考人 私が一番懸念しているのは、どうも日本銀行が、物価の安定あるいは一%とか二%とかそういうインフレ目標達成を金融政策だけではなかなかできないという立場に立っている。やはり、世界のインフレ目標国のように、物価の安定は責任を持って日銀がやるんだ、中央銀行がやるんだ、そういうような考えをもう少し持っていただきたいというふうに思っておりますので、それが組織上の問題でそうなっているのかどうかよくわかりませんが、私、そういうふうな考え方も、もう少し柔軟になってほしいなという気持ちは持っております。』

『○阪口委員 岩田候補の、とにかく、そのときの経済や政府の政策のせいにはせず、日銀の責任で二%を達成する、この覚悟、これは大変にすばらしいものだと思います。また、先ほど、それが二年という期間内に達成されなかった場合には責任を負うんだと。このことも、ある意味、きょうは、市場を動かす上での大きな御発言であったかと思います。(以下割愛)』(以上上記2013年3月5日での国会質疑より)

ええまあこれも暫く前にネタにした、というかこの日の為にサルベージしてすぐに自分の駄文の過去ログから拾えるようにしていたんですけどね!!!!!

なお、会見質疑では以下「そのときの経済や政府の政策のせいにする」言い訳が続きますが鑑賞用に引用しておきますね。

『ある程度の時間は物価下押し圧力がかかり、その結果、ある程度、物価上昇を少し遅くするということは確かだと思います。もっとも、物価の上昇を抑制する一番大きな要因である原油価格の下落の影響も徐々に剥落していきます。また、これは経済活動に良い影響を与え、長い目でみれば物価押し上げ要因となるため、2015年の最初の頃は物価下押し圧力は強いかもしれませんが、次第に2015年度を中心として平均的には2%に向けて回復してくる、軌道に乗ってくると考えています。』(最初のURLにある一昨日の記者会見より)



・マネタリーベース直線一気置物理論は政策実務上全くの役立たずだという事のようですという話

ちなみにこれは質問後半部分への答えで実はベンダーの名前とかが出ていまして(日銀サイトにアップされている要旨では固有名詞が割愛されている)、ベンダー記事ではそこの名前とかもあったので、質問したのはブルームバーグの某H記者だと思われます(^^)。砲撃の前半とその答えを鑑賞しましょう。

『(問) 副総裁は就任前の2013年3月4日の講演で、「日銀当座預金が10%増えると予想インフレ率が0.44%上昇する」ということをおっしゃったという報道がありますが、これが事実かどうかをお伺いします。また、実際に日銀当座預金残高の推移をみますと、講演をされた2年前の水準が44兆円で、足許の水準が185兆円、これは10%どころか4倍以上に達しています。それにもかかわらず、予想インフレ率を表す一つの指標であるBEIは足許で1%を切っている水準です。これは、もともとのご発言自体が誤っていたのかどうか、それとも今でも同じようにお考えなのでしょうか。(後半割愛)』

(・∀・)ニヤニヤ

師匠のお答えである。

『(答) 最初のご質問について、何月何日に何を申し上げたか、何%であったのか、具体的な日時、数字までは記憶になく、調べてみないと分かりません。』

えーっとすいません。日時の方はどうでもよいのですが、マネタリーベース直線一気理論の一次関数の傾きの係数忘れたら困りませんか・・・・・・・と突っ込もうとするとそのあとに驚愕の言い訳が待っています。

『はっきりお答えはできませんが、日銀当座預金あるいはマネタリーベースと、BEIで測った予想インフレ率とはある程度強い相関関係があります。私が研究していた際には、過去のデータで、日本銀行の最初の量的緩和時代と、その後のリーマンショック以降の期間におけるBEIとベースマネー、当座預金の関係を前提にお話したことは事実です。』

ほうほうそれでそれで??

『ただし、その場合でも、最初の量的緩和の時代とリーマンショック以降では、日銀当座預金あるいはマネタリーベースと、BEIの関係は少し異なっています。経済環境によって、日銀当座預金あるいはマネタリーベースとBEIの関係は変わるもので、当時はそれを前提として、これぐらいの変化があれば、これぐらいになるだろうという発言をしたと思います。(以下割愛)』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

あのーすいません、「経済環境によって、日銀当座預金あるいはマネタリーベースとBEIの関係は変わるもので」ってので済むのでしたら2013年4月にQQEを導入した時にはどういう計算であのMB目標を出したのか、昨年10月に追加緩和を実施した時にはどういう計算でMB拡大ペースを増やしたのでしょうかとお伺いしたい訳で、「必要額が事後的にしか分からない」ような理論って実際にフォワードルッキングで政策を実施するのに何の役にも立たない所か有害にしかならない理論じゃないでしょうかね???????

まあ1兆歩譲ってその置物理論を政策として活用するとしまして、「その時の状況で関係が変わってしまう」直線置物理論でしたら、そもそも論として「2%のインフレ期待を達成するために必要となるマネタリーベースなり日銀当座預金の量は事前には分からない」という事になると思うのですけれども、なぜ事前に分からない筈の置物理論を使ってQQE導入時に黒田総裁が高らかに宣言していた「2%達成の為に必要な措置は全て投入した(キリッ)」とは一体全体なんだったのかと小一時間問い詰めたいのでありますが、あれは全て嘘八百であったという事なのでしょうか???

んでもって更に1京歩譲って腰だめの数字なら腰だめの数字でもよいのですが、「必要な額が事後的にしかわからない」のであれば、金融政策が物価に対して波及するまでのタイムラグというのを考慮に入れれば、必要以上に額を出して望ましくないインフレーションを起こして国民厚生を悪化させることを避けるためには、「必要な措置は全て投入」ではなく、「政策の効果を見ながら徐々に投入」するのが政策アプローチとして妥当なのではないでしょうかと思うのですが、置物直線一気理論の言い訳をして、もっと致命的なツッコミどころをご提供するという師匠のハイブロー振りに憧れてしまうアタクシであります。


・BEIに関する話がもう目を覆う惨状である

んでもって先ほどの多分ブルームバーグさんの質問と思われる中盤も鑑賞しませう。中盤というからには後半もあります(^^)。

『(問)(前半割愛)これに関連する質問として、大学の研究者ではなく、日本銀行の中で政策担当者として実務を2年近く経験されて、何か変化というか、ある程度分かったこと、あるいは分からなかったことがあるでしょうか。(以下割愛)』

どう見ても諸葛孔明の罠です本当にありがとうございます。

『(答)(前半割愛)BEI、予想インフレ率は、日本銀行の金融政策において非常に重要なキーポイントと思っていますが、これをどのように計測するかは非常に難しいということです。』

えーっとすいません。先ほどの就任前の国会説明もそうですし、昨日ネタにしたときに引用しましたが、副総裁就任後の2013年10月の中央大学での講演でも散々BEIを持ち出して説明していた(引用するとくどくなるので当該箇所は適当に確認してちょ)と思いますが何を今更仰せなのか、というよりは単にBEIの数値が自分の説明上都合が悪くなったからごまかしているだけでしょ。

『特に日本の場合は、米国や英国と比べてBEIに対する信頼性があるかという点、市場も非常に小さく取引関係者が限られているという点に問題があります。』

何を今更言ってるのでしょうかねえ。

『ただ、研究者のときには、予想インフレ率を知る手掛かりはBEIしかなく、ある程度欠陥はありながらも利用せざるを得なかったということです。』

http://www.jcer.or.jp/esp/result.html(ESPフォーキャスト調査、ただし非会員だデータはちょっと前のしか取れない)
http://www.boj.or.jp/research/o_survey/index.htm/(生活意識に関するアンケート調査)

その他色々とあると思いますし、いろいろなものを総合してみていくもんだと思いますが、もしかして貴殿におかれましてはそのような努力もしないでポッと出てくる数字のうち自分の論に都合の良いものを取り出していただけだったという事なのでしょうか???

『先程の「日本銀行に入って変わったのか」という質問とも関係しますが、日本銀行に入ってからは、予想インフレ率をみる上で様々な指標を提供してもらえるようになりました。研究者の時にはなかなか手に入らなかったようなものや、研究者としては気付かなかったようなデータもあります。実際、BEIもなかなか手に入らないもので、研究者としては手が縛られていました。』

ここの部分でベンダーのニュースではブルームバーグのようなものは高いのでBEIもなかなか手に入らないと仰せだったようですが・・・・・・・・・・・

http://www.bb.jbts.co.jp/marketdata/marketdata05.html(日本相互証券)
http://www.mof.go.jp/jgbs/topics/bond/10year_inflation-indexed/bei20150210.pdf(財務省)

などと簡単に参照できますし、大体からして・・・・・・・

http://market.jsda.or.jp/html/saiken/kehai/downloadInput.php(売買参考統計値)

こちらから物価連動国債にしろ利付国債にしろ売買参考統計値のデータが無料で取れますし、しかもCSVでもエクセルでも取得できますから、BEIはここから名目債と物価連動国債の利回りから計算すれば算出できる訳で、「なかなか手に入らないもの」となる理由がさっぱり理解できませんが。

まさかとは思いますが、BEIに関してその程度の知識レベルしか無いのに、その数値を金科玉条のごとく持ち出して日銀の金融政策をケチョンケチョンに誹謗した挙句に、ついには日銀副総裁にご就任された、などというような信じ難い事などが我らが美しい国ニッポンで起きる訳はないですから、きっと置物大師匠様におかれましてはジョークを飛ばしているんだと思いますよ(吐血)!!


『それが、日本銀行では様々な、膨大な指標が提供されるようになり、予想インフレ率は様々なサーベイデータをみなければならないということがだんだんと分かってきました。』

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)ナンカイコウナルノケサハ

いやーここまで「私は今まで無知の上に不勉強でした」って堂々と悪びれもなく言えるのってどういう神経してるんだろと思うのですが、「予想インフレ率は様々なサーベイデータをみなければならない」とか普通に当たり前だろと思いますし、何でしたらこんな分かりやすい解説も日銀レビューシリーズで出ていますけどご覧になったことはなかったのでしょうか(これ出た時にワタクシも読みましたよ)???

http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/rev_2008/data/rev08j15.pdf
インフレ予想(Inflation Expectations)について
2008 年12 月

・・・・・・・まあ気を取り直してその先を鑑賞しましょう。

『最近BEIが非常に下がっていますが、実は長い間2%くらいでアンカーされていた米国でさえ、この原油価格のもとでは、ピークから30%〜40%下がっています。こうしたBEIの動きにはよく分からないところがあります。。従って、それだけをみて予想インフレ率がどうなっているかを判断するのは少しリスキーで、サーベイデータとか、賃金の交渉状況や企業の価格設定行動がどうなっているかといった広い範囲でデータをみるようにしています。』

何を今更の二乗という所ですが、要するにBEIだけで説明していたのが都合悪くなったから急に別のものを繰り出してくるという言い訳のスキルを日銀で学んだということですね!!!!

『その結果、広い範囲でみると、足もとの予想インフレ率が落ちているからといって、中長期の予想インフレ率がそれほど崩れているというわけではないということが分かってきました。』

分かってきました(ドヤァ)ってお前は小学生か。

・・・・・・そしてこの質疑のある意味白眉部分はこちら。

『そういう意味で情報を集め、分析し、提供してくれるスタッフのおかげで、研究者の時代よりも、深く分析できるようになったと思っています。』

>研究者の時代よりも、深く分析できるようになった
>研究者の時代よりも、深く分析できるようになった
>研究者の時代よりも、深く分析できるようになった
>研究者の時代よりも、深く分析できるようになった
>研究者の時代よりも、深く分析できるようになった

つまり従来は不勉強なうえに浅い分析に基づいて日銀を盛大に罵倒して白川総裁や山口、西村副総裁を石持て追い出したということを告解されておられるという理解でよろしいでしょうか???

#何がすごいって多分自分でそういう意味だと思っていないで発言しているとしか思えないところだが


・2年で2%厳しいなら枠組みを見直すべきではないかという話には案の定の回答

更に先ほどのブルームバーグH記者と思われる質疑の後半部分を鑑賞しましょう。

『(問)(前半割愛)もう1点は、就任後半年くらい経った2013年10月18日に中央大学で講演されたとき、「2年くらいでなかなか達成できないなら、どこに問題があるかを見直す」と「量的・質的金融緩和」についておっしゃっています。2年が経とうとしているなかで、まだまだ程遠い水準にあるとなれば、「量的・質的金融緩和」のメカニズムを含めて見直さなければならない時期に来ているのではないかと思います。この点についてどのようにお考えでしょうか。』

(;∀;)イイシテキダナー

『(答)(前半割愛)物価安定目標の達成について、例えば2年が、私が就任してから2年の今年4月ぴったりとすれば、そこまでうまくいかない状況だということは事実です。可能性はそういうことだと思います。』

辞任か焼き土下座マダー??

『ただ、消費増税の影響は、だんだんと和らいで、消費も回復してくるでしょう。足許の予想もしなかったような原油価格の下落も、中長期的にみれば、むしろ経済活動に良い影響を与えることを通じて、物価上昇をもたらしてくるということです。私がこのくらいにできるだろうと思っていた2015年の4月とかその辺りには間に合わないかもしれませんが、需給ギャップを縮めながら予想インフレ率も上げていくことによって物価が上がっていくという基調は変わっていないと思っています。』

えーっとすいません間に合わなかったら世界標準じゃないですし金融政策だけで達成しようという気概がないのが今までのレジームの問題だったと国会で言ってましたよね????

『従って、今の「量的・質的金融緩和」を続けていくのが適当だと思います。また、様々な下振れ・上振れリスクはあると思いますので、それに対してはいつでも対応する構えではいます。』

よくもまあ恥ずかしげもなく・・・・・・・・・


・辞任マダーの質問には見苦しい言い訳

『(問) 2013年3月5日の国会衆議院議員運営委員会で行った所信表明において、「就任から最初の2年で達成できない責任は自分たちにある。責任の取り方はどれが一番良いのか分からないが、最高の責任の取り方は辞職することだと認識している」とおっしゃいました。その後、答え方を変更されたこと、「電車の時刻表の通りにきっちりいかない」というような答弁をされたことは承知しています。先程も、きっかり2年ではうまくいかないとおっしゃいましたが、今、お考えにある責任の取り方とはどのようなものでしょうか。また、うまくいかなかった原因というのは、消費増税でしょうか、もしくは原油安でしょうか。4月を迎えるにあたって、期待に働きかける政策を採っている以上、これに対するご説明を頂きたいと思います。』

まあ想定通りの言い訳が来ますので鑑賞しましょう。

『(答) まず、副総裁として目標達成に向けて全力を尽くすということに変わりはないのですが、仮に、達成がどんどん遅れてしまう場合に、国会答弁では、「最終的に」とか「最高の」と言っているわけで、その前の段階の責任は「説明責任」であって、まずは説明責任を果たさなければ話にならないということだと思います。』

金融政策で達成するといっていたのに達成できていないのですから説明責任というのは政策の枠組みのどこかに間違いあるいは見込み違いがあったという点について説明するものですよね!!!!!

『説明責任を果たすとして、その時思ったよりも遅れる理由は、消費増税なのか、原油価格なのかということですが、もちろん消費増税は、ある程度遅らせる要因となっていると思いますが、私は、主として、原油価格がこれだけ下がっているということが大きいと思います。』

それは説明責任ではなくてただの言い訳です。そういう言い訳をするのがケシカランって日銀批判するときに言ってましたよね大師匠。

『原油価格の低下は、経済活動としては非常に良いわけで、政策委員の中央値としてはそんなに遅れてはいないのですが、就任時などに私がお話した時より遅れているのは、ここまでの原油価格の下落は予想できなかったためです。』

リーマンショックガーとか大震災ガーというのを言い訳呼ばわりして一刀両断にしておられた筈ですが。

『英国、米国や欧州などでも物価は下がっています。』

海外が下がっているからというのはエクスキューズにはならないのでは無いでしょうかねえ貴殿のかつての日銀批判の論調を踏まえますと。

『日本の場合は消費税の影響も加味されていますが、これは徐々になくなっていくと思いますので、基本的に大きな要因は原油価格の急落であろうと思います。』

ということで、これを説明責任というのでしたらもっと丁寧な説明責任を過去の日銀はしていましたけれどもねえ・・・・・・・・

てなわけで、美しい国日本の倫理というのは凄まじい勢いでマリアナ海溝よりも深く沈んでしまったのでしょうかねえなどと嘆きつつ質疑3本をネタにしたら量が膨大になったのでまあこのくらいにしときますわorzorz





2015/02/05

お題「超長期があばばばばばーなので市場メモを少々/きくちゃんお笑い劇場キタコレ!」

30年国債入札が不安だの注目だのという話がだいぶ流布されているようなのでそろそろ底打ちですかねえ(根拠なし)。

○日経新聞は別にどうでもいいことでリーク記事書くなと小一時間

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJ8ATZ6K50Y001.html
政府:日銀人事の国会提示、5日に−事前報道で1日延期
更新日時: 2015/02/04 18:23 JST

『民主党の笠浩史衆院議運委理事は4日昼、ブルームバーグ・ニュースの取材に対し、「一部で日銀審議委員の後任が報じられた。情報漏えいの調査をして理事会に報告すべきだ、今日の提示は認められない」と主張したことを明らかにした。同氏によると、その後の調整の結果、与野党は5日午後12時30分から両院の議運理事会を開催し、日銀を含めた国会同意人事の提示を受けることで一致した。』(上記URLより、以下同様)

・・・・・・・・いやまあ正副総裁人事とかだったらそれなりに影響あるからハッスルしたくなると思いますけれども、執行部追認機関学者委員の後任人事なんぞ別に速報する程のものでもないのですから、日経新聞も報道しないでスルーしておけよと思う次第。

『日銀審議委員人事をめぐっては、民主党の野田佳彦政権下の2012年3月、一部報道で伊藤忠相談役の渡辺康平氏が候補として報じられたが、結局、提示されなかった経緯がある。』

ってやらかしの前科があって、事前報道ルールに関してはなくなったとはいえ、リーク報道が出ると必ずこういう話になるわけですから、別に急いで報道しなくても問題ないようなネタでリーク報道するなよとしか思えないですな。

いやまあ一瞬「提示見送り」のニュースを見て、あの珍理論に対して日銀審議委員としてふさわしくないという文脈でリストの差し替えという話になったのかと思いましたが、ただの手続き問題とは惜しいですけど、まあいずれにせよあのジンバブエも裸足で逃げ出す「日銀が国債を買うと債務が消滅」という珍理論を持った人が日銀の政策委員会の委員としてふさわしいと判断していること自体についての審議をきっちりとやっていただきたいと思いますし、大塚なにがしさんとか津村なにがしさんとかこういう時の為にいると思うので精々頑張っていただきたいものです。



○市場雑談系あれこれ

・超長期があばばばばーとな

毎度のロイターさん
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL4N0VE31120150204
〔金利マーケットアイ〕翌日物の加重0.07%半ばか、3カ月物TBレートが低下
2015年 02月 4日 15:13 JST

表題が短国ですが長期の方の記事を引用。

上記URLの小見出しを見ると『<14:15> 国債先物が2カ月ぶり安値、30年債入札に警戒感』となっている前が『<12:35> 国債先物が下げ幅縮小、日銀買入で売り圧力が強まらず』となっている辺りが味わいが深い訳でして・・・・・・・・・

昨日は寄りではそんなにサガランチ会長で輪番待ちキタコレと思ったのですが、中期と超長期が弱めに推移して輪番を迎え、輪番そのものは割と強かったので後場最初は戻ったのですが、その後またまた超長期主導でゲロゲロマーライオン相場という展開になってしまいまして、なんと申しますか超長期そこまで親の仇のように売るかと思いつつも、明日(つまり今日)の30年入札ガーとか言いながら叩く叩くで遂に30年1.5%100円まであと8毛という所まで来ましたですよあばばばばー。

でまあ中期もしらっと0.10%水準まで戻っていますが、ここで面白いというか記憶力が置物並みではないかと思うのは「5年の0.10%は強いビット」という講釈する人が結構いることで、いやお前らついこの前まで「付利金利を下回る5年国債とかアホジャネーノ」と言ってただろうと小一時間な訳で、付利越えが岩盤なのはせいぜい2年カレントだろと思うのでして、今日は30年国債の入札ですが、あと8毛調整すれば絶対水準系の投資家も買うでしょと思いまするに、5年とかの中期がどうなるかも注目したいものですな。


・なお3M短国はどうせ貫禄の100円足切りと想定

先ほどのロイター記事の短期部分ですけどね。

『国庫短期証券(TB)はしっかり。新発3カ月物(509回債)は一時前日比0.006%低いマイナス0.020%で出合いを付けた。年度末を見据えた買い需要が示された。レポ(現金担保付債券貸借取引)GCレートは低下。日本証券業協会が公表した「東京レポ・レート」で、5日スタートのGC翌日物レートが0.051%と前日(0.059%)に比べて低下した。』(上記ロイターの市況記事より)

ということで昨日は2年も3bp水準までやっと上昇している中で短国は貫禄のマイナス継続という動きでして、まあ今日は3M新発の入札がありまして、後で書きますけれども固定金利オペシグナルオペがまさかの増額となっていて短国買入のペースにも影響がでるかもという要因はあるのですが、まあこの調子だとどうせ100円足切(オーバー足切になったら泡を吹く)でしょという所です。

しかしまあ何ですな、上記にありますように「年度末を見据えた買い需要でカレントの3M短国の金利が低下」という事のようですが、年度末を見据えた買い需要という意味では別に509回だけではなくほかの銘柄でも年度末を見据えた需要が高まって当該ゾーンの引け利回りが全体として低下してマイナスが深めになっているのでは?と思うのですが、売買参考統計値やBB引けなどを見ますと(以下の部分は内務省検閲によって削除されました)。



・固定金利オペがまさかの増額

昨日のオペオファーと結果のうち固定金利部分

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of150204.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式> 15,000 2015年2月6日 2015年5月19日

てな訳で今回はシグナルのロールでその結果。

http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150204.htm
共通担保資金供給(全店)<固定金利方式>(2月6日スタート分) 13,630 13,630

今回の固定オペは折り返し元が10031億円でして、そのロールが13630億円となっているのでまさかの増額ロールでして、固定オペが半分くらい落ちてその分の穴埋めに短国買入のハイペースが続くのでしょうなあと思って計算している向きにとっては「おー」という数字で、今月の固定オペの動向も面白いかもしれませんね(なんとなくだがシグナル分は割と普通にロールされて細かいのが落ちるような流れのような気がします)。



ということでさて本日は以下きくちゃん師匠のお笑い高座鑑賞でございます。


○お笑い劇場の前座は挨拶(メインは会見ですよ)だが2013年10月と比較も入れると味わい深い

今回の金懇挨拶
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/data/ko150204a1.pdf
最近の金融経済情勢と金融政策運営
宮城県金融経済懇談会における挨拶
日本銀行副総裁 岩田 規久男 2015年2月4日

・・・・・・・・・ということで金懇挨拶キタコレなのですが、今回は新機軸の導入といたしまして、こんなのを引っ張り出してみようと思います。

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/ko131018a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2013/data/ko131018a1.pdf
「量的・質的金融緩和」の目的とその達成のメカニズム
中央大学経済研究所創立50周年記念公開講演会における講演
日本銀行副総裁 岩田 規久男 2013年10月18日

てな訳で、以下『』(今回)『』(前回)とか比較している部分がございましたら、今回というのが上記の宮城金融経済懇談会の挨拶、前回というのが2013年10月のご講演、とまあそういう風に比較して確認していると思ってください。なお、特段(今回)とか(前回)となっていない場合は基本今回分になりますが前回の小見出しなどをいちいち前回と書かない場合がありますが、文の流れを見れば理解できるかと思って割愛している部分がありますのでよろしくお願いいたします。


・当然ながら金融政策のメカニズムに関する説明しか読まない

今回の金懇挨拶ですが、前半部分は『2.日本経済の現状と先行き』となっておりまして、その辺はまあ普通に執行部の見解を話しておりますのでどうでもヨロシというか会見のほうでちょっとネタにするかもですという事で盛大にパスしまして、『3.金融政策運営について』という所から参ります。

『さて、ここからは、現在日本銀行が進めている金融政策について、いくつかの切り口からお話ししたいと思います。日本銀行は、2013年1月に、消費者物価の前年比上昇率2%という「物価安定の目標」を設定しました。所謂「インフレーション・ターゲティング(インフレ目標政策)」の導入です。この目標の実現に向けて、2013年4月以降、「量的・質的金融緩和」と呼ばれる強力な金融緩和を進めており、2014年10月には、この「量的・質的金融緩和」を拡大する措置も講じたところです。』(今回、以下暫く同様)

ほうほうそれでそれで?

『これらの政策は、長年にわたるデフレの中で人々の意識に定着してしまった「デフレマインド」を「緩やかなインフレマインド」へと転換すること、言い換えると、「物価の緩やかな上昇が継続することを前提に人々が行動するような状況」を作り出すことを意図しています。』

ふむふむ。

『したがいまして、皆さまに積極的にマインドを転換して頂くためにも、私たちの政策について丁寧にご説明し、理解を深めて頂くことがとても重要であると考えています。』

・・・・・・・????

えーっとすいません。導入してもうすぐ2年になろうとしているのですが、まだ「マインドを転換して頂くためにも」とか仰っている時点でどう見ても2年での目標達成が出来ていないという事になるとおもうのですが、いまだにそんな話をしている場合じゃないんじゃないですかねえ(ニヤニヤ)。

とまあそういうマクラが入りましてその次。


・気合なのか貨幣的現象なのかの説明が明らかに前回対比トーンダウンというか混線状態

『「量的・質的金融緩和」の核心は何かと問われた場合、私は「政策レジームの転換によるデフレマインドの払拭」であると答えることにしています(図表5)。』(今回)

まあ前回の講演でもレジームシフト云々というのがあったのですが、こんな文脈で出ていますな。

『なぜこのようなこと(引用者注記:市場の金利や市場の予想インフレ率の変化が生じた、という例を出しています)が起こるのでしょうか。それは、市場参加者が、マネタリーベースや超過準備の動向から中央銀行の金融政策レジームを判断し、将来の貨幣ストックや将来の金利およびインフレ率を予想するからです。金利や予想インフレ率に影響するのは、中央銀行の金融政策レジームと、そのレジームを前提とした市場参加者の将来の貨幣ストックの予想であって、現在の貨幣ストックではありません。』(前回)

えーっと、前回は金融政策レジームの転換が市場参加者の将来の貨幣ストックの予想を転換するので市場の予想インフレ率の変化が生じた、ということで前回講演の図表22と図表23で、「超過準備とインフレ予想」というお題でグラフを示しておりました。

しかしながら今回の講演では図表5では市場のインフレ予想がどうのこうのという話は皆無となっており、なぜか「デフレマインドの払拭」という話になっておりましてこれ如何にという所ですが、そらまあマネタリーベースを盛大に拡大した挙句に師匠ご推奨のBEIの方はろくすっぽ上がらんどころか下がっているのですから説明ができませんよね!!!!!

しかしそのあとの方ではレジーム転換の話として・・・・・・

『現在の日本銀行の金融政策も、従来と異なる政策レジームへの転換、すなわち「インフレもデフレも最終的には貨幣的現象であるから、積極的な金融緩和によってデフレからの脱却は実現できる」という考え方に転換したことが出発点となっています。』(今回)

という話をしているのですが、その割には貨幣の量がどうのこうの的な話については上記で比較しましたように、前回は思いっきりMB直線一気置物理論が登場していたというのに、今回は「政策レジームの転換でデフレマインドを払拭」と言いながら「貨幣的現象なのでデフレ脱却ができる」という風にそれお前ただのトートロジーじゃねえかという話に留まっている辺りが何とも訳ワカランチ会長としか申し上げようがありません。


・しかしながらレジーム転換に関する説明がいろいろとアレな件

でまあ今トートロジーと申し上げましたが、どうもこう説明がワケワカランチンなのよね。つまり、さっき引用したように・・・・・

『これらの政策は、長年にわたるデフレの中で人々の意識に定着してしまった「デフレマインド」を「緩やかなインフレマインド」へと転換すること、言い換えると、「物価の緩やかな上昇が継続することを前提に人々が行動するような状況」を作り出すことを意図しています。したがいまして、皆さまに積極的にマインドを転換して頂くためにも、私たちの政策について丁寧にご説明し、理解を深めて頂くことがとても重要であると考えています。』(今回、以下暫く今回)

という話をしつつ・・・・・・・

『「量的・質的金融緩和」の核心は何かと問われた場合、私は「政策レジームの転換によるデフレマインドの払拭」であると答えることにしています(図表5)。』

と言ってるのがそもそも訳分からん次第でして、

『人々の行動パターンは、人々が参加しているゲームのルールに依存します。そして、ルールが変われば、人々の行動も変わります。ほぼ自明とも言えるこの原理が、なぜ経済政策に関して重要かというと、「政策レジームの転換」が起こるかどうかによって、家計や企業など様々な経済主体の予想と、その行動が左右され、最終的に政策の効果それ自体も大きく異なってくるからです。』

と説明していて、最初のところでは「マインド転換のために説明してご理解いただきたい」とお話をしているのに、QQEについての説明では急に「レジーム転換すると経済主体の行動が変化するのは自明」(キリッ)と言い出すわけで、レジーム転換して経済主体の行動が変化しているんだったらそもそも「丁寧にご説明し、理解を深めて頂くことがとても重要」という必要がないと思いますし、だいたいからして先ほども申しあげましたがレジーム転換とやらをして2年近く経過しているのに今更説明して理解を求めるような状態だったら「レジーム転換で経済主体の行動が変化」というのがそもそも間違いとは言わないけど誇大広告だったんじゃないですかねえ。

でまあそのレジーム転換に関しては、

『例えば、極端なインフレに直面した政策当局が金融の引き締めを行うとしても、そうした政策が持続的なものと認識されなければ、将来の物価動向についての家計や企業の予想は変化せず、高インフレを前提とした行動も変わらないため、インフレは終息しません。逆に、インフレの克服に向けた政策当局の姿勢が確固たるものであることについて信認が得られれば、将来の政策経路についての企業や家計の予想の変化と、それを前提とした行動につながり、自己実現的にインフレが鎮静化することになります。』

てな訳で政策の信認が重要とのことですが、大口叩いた「2年で2%」がドンドン後ズレしているのにレジーム転換で行動の変化は自明(キリッ)とか言ってる場合かよと思いますが・・・・・・

『現在の日本銀行の金融政策も、従来と異なる政策レジームへの転換、すなわち「インフレもデフレも最終的には貨幣的現象であるから、積極的な金融緩和によってデフレからの脱却は実現できる」という考え方に転換したことが出発点となっています。』

その結果マネタリーベース直線一気置物理論でマネタリーベース拡大しましたが2年で2%is何処?という所で、結局のところこの辺の説明がただの循環論法になっているのが実に香ばしいのですが大口叩いた通りの実績が出ていないのだから仕方ないですね!!!


しかしここはある意味ワロタ。

『日本銀行はそれ以前にも、ゼロ金利政策や量的緩和の導入など、金融政策の歴史におけるフロントランナーとして様々な金融緩和措置を講じてきました。にもかかわらず、15年以上の長きにわたってデフレからの脱却が果たせなかったのは、「金融政策によってデフレは克服できる」という政策レジームが採用されていなかった(?なくとも民間経済主体からそうした信認を得られていなかった)ことに原因の一端があると思います。』

>?なくとも民間経済主体からそうした信認を得られていなかった
>?なくとも民間経済主体からそうした信認を得られていなかった
>?なくとも民間経済主体からそうした信認を得られていなかった

えーっとすいません、「日銀はデフレ脱却の意欲がない」だの「日銀はデフレ推進」だのと散々罵っておられたの置物先生一派のリフレ派の皆さんだと思うのですが、そう考えますとリフレ派の皆様におかれましては日銀のデフレ脱却に向けた取り組みに対する信認を損なう事を推進していた訳でして、そうなりますとデフレ脱却に向けた取り組みを邪魔しておられたのがリフレ派の皆様という事になりまして、「リフレ派の日銀批判がデフレ脱却への阻害要因になっていた」という話になるのではないでしょうか(^^)。

そういや相変わらずMB直線一気理論とかに悪態をつくとリフレ界隈の皆様が「債券市場の人間はデフレ派」とか面白い見解を示してくれて素敵なのですが、デフレ脱却に向けた政策に対してその政策スキームはおかしいのではないかというのがデフレ派ということでしたら、かつてのリフレ派の皆様はもっと強力なデフレ派だったという事になりますねうははははは^^;

でまあ結局MB直線一気一次関数理論で全然2%達成しないという状況って信認の問題になると思うのですがそこは盛大にスルーして達成時期を先送りしているのに「レジーム転換すると経済主体の行動が変わる」(キリッ)もへったくれもないと思うのですけどねえ。


とまあそんな感じでレジーム転換云々の話が結局ただの気合じゃねえかというツッコミでありました。


・2年での話がトーンダウンとは恐れ入りますな

さらに味わいがあるのはその次の『(2)「量的・質的金融緩和」の波及経路』であります。

『政策レジームの転換が信認を得るためには、政策当局からの明確で具体的なメッセージが必要です。』(今回)

まあ明確で具体的なメッセージをだしても先ほどの話のようにそれを実現しないと意味がないのですけれども2年で2%というのはどうなりましたっけなどとツッコミをしないで次を読みましょう。

『現在の金融政策においては、@「消費者物価の前年比上昇率2%」という物価安定の数値目標を設定し、その達成に強くコミットしていること、Aそのための具体的な行動として、「量的・質的金融緩和」を強力に進めていることによって、政策レジームの転換が具体化されています(図表6)。』(今回)

さて前回ですけどね。

『「量的・質的金融緩和」は、次の二つを柱としています。第一の柱は、2%の物価安定目標の早期達成についての「コミットメント」です。すなわち、「2%の物価安定目標を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現すること」について、日本銀行は「明確に約束している」ということです。』(前回)

えーっと、2年程度とか早期にという文言が今回のテキストにないのは何でですかねえ(棒読み)という所ではございますが、一応今回の図表6のところには「2%の物価安定目標を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現することについて、日本銀行が明確に約束。」とは書いてありますので、まあ別にひっこめた訳ではないのでしょうけれども、講演テキストに堂々と書くにはどこからどう見ても2年またはそれよりも早期に実現できそうもないので外したとしか思えないのですが、それはアタクシの目が濁っているからですかそうですか。


・「予想インフレ率が上昇するのは所与」なるもその「予想インフレ率」が変わっている件

でまあ『(2)「量的・質的金融緩和」の波及経路』の続きですけどね。

『「量的・質的金融緩和」に伴う長期国債の大規模な買入れによって、名目金利には強力な下押し圧力が働いていますので、政策レジームの転換が人々の予想インフレ率を上昇させると、人々の予想実質金利が引き下げられることになります(図表7)。予想実質金利とは、「将来の物価の変化を考慮すると、実質的な金利はいくらになるか」という主観的な予想であり、人々の貯蓄・投資行動や資産価格に様々な影響を及ぼします。』(今回)

まあ相変わらず予想インフレ率が上昇するのは所与というのがワロタとしか申し上げようがないですけれども、ここも前回と比較してみると興味深い点が発見されます。

『こうした2本の柱から構成される「量的・質的金融緩和」は、名目金利と、金融市場で資産運用を行う市場参加者の予想インフレ率に対して、それぞれ次のような作用をもたらします。まず、長期国債を中心とした各種資産の買入れにより、民間にお金を大量に供給することは、名目金利を引き下げる方向に働きます。加えて、2%の物価安定目標にコミットした「量的・質的金融緩和」は、のちほどご説明するように、市場参加者の予想インフレ率を引き上げる方向に働きます。』(前回)

ご覧いただきますとわかりますように、2013年10月の講演では「市場参加者の予想インフレ率」ということで思いっきりBEIにかかわる話をしていた(さっきのところでもそうでしたよね)のですが、2015年2月になりますと「人々の」とか「主観的な予想」とか、市場のBEIの推移が自分の説明にとって都合が悪くなっているのですっかり無かったことにしているという辺りに侘び寂びと申しますか幽玄の世界というものを感じる次第であります。


・そして市場が反応しているけれどもBEIの話はスルー&トリクルダウンキタコレ

で、その結果として・・・・・・・

『ご存じの通り、こうした変化にもっとも敏感に反応したのが金融市場であり、株式や外貨建て資産などリスク性資産の価格上昇は、資産効果を通じて民間消費を増加させる方向に作用しています(図表8)。』(今回)

ということで金融市場の話をしているのですが、肝心の金融市場におけるインフレ予想(つまりBEI)に関する話を完璧にスルーなされるとか、2013年10月にBEIを連呼していた講演との整合性はどうしたのでしょうかはいはいおじいちゃん満州の話はさっきもしたでしょお薬の時間ですよといった風格を漂わせるアレなものとなっております。

ちなみに、資産効果で消費増加という話ですが・・・・・・・・

http://mainichi.jp/select/news/20150203k0000m010025000c.html
アベノミクス:首相「トリクルダウン、我々の政策と違う」
毎日新聞 2015年02月02日 18時50分(最終更新 02月03日 00時40分)

どうも師匠の説明する金融政策の波及経路はアベノミクスでは無いと首相が仰せのようですが、その辺りの整合性についても小一時間お伺いしたいものでございます。


・しかしながら波及経路の説明が実にこうさびしいですなあ(棒読み)

でまあその続きですけどね。

『また、過度な円高の修正は、輸出採算性の改善などを通じて輸出関連企業の収益好転につながっているほか、海外からの観光客も目に見えて増加しています。』(今回)

輸出採算性の改善とのことですが、前回はこのように説明しておりましたよね!!!!

『また、外貨高の効果として輸出の増加はすぐに思い浮かびますが(図表6)、海外から日本への旅行者による国内サービス需要を増やす要因である点も見逃せません。』(前回)

>輸出の増加はすぐに思い浮かびますが
>輸出の増加はすぐに思い浮かびますが
>輸出の増加はすぐに思い浮かびますが

・・・・・・・・すぐに思い浮かんだ輸出の増加はどうなったんでしょと思いますし、全体でみた場合に観光収入の増加ってそんなに特筆大書するような話かよ(別に効果がないとは言わんが)と思いますけどね。

『加えて、これまでデフレマインドのもとで貯蓄や現預金の保有増に励んでいた家計や企業も、予想実質金利の低下や所得・財務状況の改善を受けて、住宅投資や設備投資を拡大させることが期待されます。』(今回)

えーっとすいません、QQE始まってもうすぐ2年で約束の期限なのですけれども「投資の拡大が期待されます」じゃあtoo lateにも程があるんですが、前回の講演ではこのあたりについて「(6)設備投資の増加」などと思いっきり小見出しを打ってこんな説明をしていましたよね。

『こうした動きは、企業の設備投資にも、複数の経路を通じて前向きな動きをもたらします。まず、家計の消費が増えれば、企業は消費の増加に応じて生産の増強を図る必要が出てくるため、設備投資に積極的になります。株高や外貨高によって、他社株や外貨を保有する企業(主として輸出企業)の純資産価値が増大すること(バランスシートの改善)も、企業が設備投資を増やす要因となります(図表8・9)。(途中割愛)また、企業利益の増加による企業マインドの改善も、設備投資を増やす要因です。(そのあといろいろあるがめんどいので割愛)』(前回)

ってな感じで、もう今にも投資が出るような話になっておりましたのは1年と4か月前のお話になりますけれどもね。

つーかですね、前回の講演では「(3)なぜ予想インフレ率は上昇するのか」ということでただの気合と信心としか思えない意味不明な供述をおこなった後、「(4)予想インフレ率の上昇は株高や外貨高をもたらす」、「(5)消費や輸出の増加」、「(6)設備投資の増加」、「(8)労働需給の改善と雇用者所得の増加」と、風が吹けば桶屋が儲かるのかピタゴラススイッチなのか知りませんが、インフレ期待が上がると勝手にすべてがうまく回りだすという説明を延々としていたのですが、今回は上記のような超あっさり味な話だけして、

『このように、政策レジームの転換による予想インフレ率の上昇を起点に、複数のチャネルを通じて総需要を拡大させていくというのが、現在の金融政策が想定している効果波及のメカニズムです。』(今回)

という話で終了しているのが何ともまあ前回の威勢良さはどこへという感じで実に奥ゆかしい味わいを醸し出しております。


・実質所得ガーに対する説明部分を鑑賞しましょう

でまあその予想インフレの維持のために追加緩和みたいな説明がある部分は割愛しまして、その次が『(4)雇用・賃金をどう考えるか』という所です。

『さて、予想インフレ率の上昇を起点に総需要が拡大し、生産から所得、支出という前向きの循環が働いた先には、働く人々の雇用の安定と労働条件の改善が待っていなくてはなりません。』(今回)

・・・・・・・えーっとすいません、アタクシ馬鹿なのでよくわからないのですが、そもそも論として被雇用者の雇用が安定しなかったり労働条件が改善しなかったりした場合にどうやって「前向きの循環」とやらが働くのかがさっぱり理解できないのですが、まず論を立てるところでの話がおかしくないですか????

しかもですよ、前回の講演ではすでにこのような認識を示しておられたのですけれども・・・・・・

『所得が増えると消費が増え、消費が増えると労働需給が改善して雇用所得が増え、それがさらに消費を増やすという好循環が生じてきます(図表18)。』(前回)

前回の講演で説明していた「(8)労働需給の改善と雇用者所得の増加」という部分では高らかにこのように宣言しておられた筈なのですが、何でまた今回こんな話になっているんでちゅかねえ(棒読み)。

『雇用者数の増加については、「非正規雇用が増加しただけで、正社員は増えていない」という批判があります。しかし、この議論は、雇用のパイ全体が拡大する中で起こっている、「まずは非正規から段階的に雇用を増やそう」という前向きな動きと、過去に続いてきた「正社員から非正規雇用への置き換え」という後ろ向きの話とを混同している面があると思っています。』(今回)

『景気回復の初期段階において、より柔軟に調整が行える非正規型の雇用が増えるのは当然のことであり、この段階では、多くの不就労者が職に就き、賃金収入を得られるようになったという点を、まずは公平に評価すべきだと考えます。』(今回)

それは一理あるが、すでに「2年程度で達成」といっている政策のうち1年10か月が経過しているのに、いまだに「景気回復の初期段階」ってお前は何を言ってるんだと小一時間問い詰めたい。

『また、これと似たような議論として、賃金の上昇傾向が継続していることに対しても、「名目賃金の上昇が消費者物価の上昇に追いつかず、実質賃金は低下している」という批判があります。』(今回)

ほうほうそれでそれで??

『この点については、まず、需要の拡大がもたらした物価上昇と、消費税率引き上げの影響を分けて考える必要があると思います。』(今回)

ちょwwwwおまwwwwwww円安シフトして物価上昇しているコストプッシュの部分はスルーとは恐れ入る。

『消費税率引き上げによる実質賃金引き下げ効果を除くと、一般労働者の実質賃金もパート労働者の実質時給も、前年と比べて大きく落ち込んでいる状況ではありません(図表12)。また、雇用者全体でみた実質所得も、消費税率引き上げの影響を除くと、2014年3月から9か月連続で前年比プラスとなっています(図表13)。』(今回)

『つまり、「労働者一人当たりの賃金も全体としての所得も、需要の拡大がもたらす物価上昇に見合う程度には上昇しているものの、消費税率引き上げの影響まで相殺するほどの上昇は、さすがにまだ実現できていない」というのが、実質賃金についての公平な見方であると考えます。』(今回)

毎回思うのだが、確かに消費増税はワンタイムエフェクトだから前年比で見た場合に翌年になったらその要因が剥落するけれども、そもそも論として名目賃金の方が昔から緩やかな上昇トレンドをとっているわけではなくて、2014年度に入ってやっと上昇したものであるからして、こちらの方がきちんと来年度も今年度並みに上昇してくれるかの保証がない訳で、本年度の名目賃金上昇が単に増税というイベントを受けて下駄を履いているのであれば、実際問題として来年度の実質賃金はやはり減少となりますよね、という話だと思うのよね。

つーことで、まあここは師匠独自理論ではなくて日銀もだいたいこういう説明になっているから折角なので突っ込んでみましたが、持続的に名目賃金が上昇することが確実ではないのに消費税要因を除けば云々という話で賃金上昇ヒャッハーという話になるのもどうなのよと思うのでありました。


で、最終的には実質賃金は上昇するのです(キリッ)な説明がその次にありましてですね、

『金融緩和によって需要を刺激する場合、通常は名目賃金よりも物価が先に上がるため、初めの段階では、実質賃金はむしろ低下します。しかし、実質賃金の低下が企業の雇用需要を増加させることで雇用者が増え、失業率が低下するという経路がありますので、この段階における実質賃金の低下は必ずしも悪いことばかりではありません。』(今回)

まあここは分かるが、それなら前回の講演の時にそういう話をしろと思うのだが、前回はさきほど引用したように「所得が増えると消費が増え、消費が増えると労働需給が改善して雇用所得が増え、それがさらに消費を増やすという好循環が生じてきます(図表18)。」(前回)という良い事ずくめの話をしているだけだったりするのがチャーミング。

『雇用需給がタイト化するにつれて、名目賃金も上昇し、実質賃金の低下圧力が和らぎ始めますし、生産が拡大すると雇用者もより効率的に働けるようになるため、労働生産性も上がります。こうして、最終的には実質賃金も上昇に転ずることになると考えられます(図表14)。』(今回)

でまあ図表14というのがあるのですが、そもそも論として金融緩和をすることによって需要が上がってディマンドプルが起きるというのがアプリオリになっている時点でナンジャソラであって、金融市場の動きによって円安になってコストプッシュで物価が上昇する方のルートの考察が無い上に、図表14では上記の桶屋理論を謎のフローチャートにしただけで、なんか先行事例でそういう実証データでもあるのならまだ信用しようかなと思うのですが、これではただのお絵かきですよね、というような話で締めている辺りが実に何とも置物クオリティ。


・いつまでまたせるんでちゅかねえ????????

でまあ波及経路の説明の最後である。

『金融政策は確実に実体経済に影響を及ぼしますが、その効果の波及には順番があり、それなりの時間がかかります。ましてや日本経済は、15年以上にわたるデフレからの脱却という難事業に挑んでいる最中です。所得の改善が支出を促し、さらなる生産と所得の拡大につながるという好循環がさらに進展することを、希望を持ってお待ち頂きたいと思います。』(今回)

希望を持ってお待ちいただきたいそうですが、1年4か月前の時点ではどういう説明だったでしょうか???????

『金融緩和政策は国債、株式、外国為替のような資産市場には直ちに影響を及ぼしますが、生産、雇用、物価および賃金などの実体経済に及ぼすまでにはかなりの時間がかかります。日本銀行が「量的・質的金融緩和」を採用してからまだ6か月余りしかたっていないことを考慮すると、むしろ、実体経済への影響は従来よりも早く現れたといえます。』(前回)

影響が早く現れたそうですよ!!!

『それはおそらく、昨年(引用者注:2012年のことです)11月中旬にアベノミクス構想が発表され、そのころからすでに「次元の異なる大胆な金融緩和政策」が期待され、投資家をはじめとする人々がその大胆な金融政策への転換を織り込んで行動し始めたためであると思います。つまり、「量的・質的金融緩和」の効果はすでに昨年11月中旬から始まっていたということです。実際に、昨年11月中旬から株高・円安の動きが始まっています。』(前回)

あれ?

『そのように考えると、現在時点で、異次元の金融緩和の実質的な継続期間はすでに11か月になりますから、実体経済への影響が現在程度の規模になるのは自然なことです。』(前回)

で、そこから1年4か月経過しているのですよね。

『これまで、日本経済は日本銀行が想定している経路に沿って順調に回復してきましたが、金融緩和政策の実体経済への影響の遅れを考慮すると、「量的・質的金融緩和」が実体経済に本格的な良い影響を及ぼし始めるのは、いよいよこれからです。』(前回)

「いよいよこれからです」と言って1年4か月も経過して「希望を持ってお待ちいただきたい」ってそこらの藪医者も裸足で逃げ出す引っ張りっぷりに落涙を禁じえませんなというあたりで金懇挨拶の鑑賞を終わりにしますが、会見の方が更に面白いにも程があるので明日はそのあたりを少々(^^)。


#新機軸でちと読みにくかったかもしれませんすいませんすいません



2015/02/04

お題「10年国債入札/短国買入のてきとうな予想/審議委員に原田さんノミネートとな」

さあ師匠の講演はどうでもいいけど楽しい会見の時間ですよ!!

○市場雑談系

・10年国債でヒャッハー

昨日の10年国債入札はご案内の通りでヒャッハー!
http://www.mof.go.jp/jgbs/auction/calendar/nyusatsu/2014/resul078.htm

(1)応募額 5兆8,822億円
(2)募入決定額 2兆1,912億円
(3)募入最低価格 99円42銭 (募入最高利回り)(0.360%)
(4)募入最低価格における案分比率 10.9581%
(5)募入平均価格 99円87銭 (募入平均利回り)(0.313%)

ということでテール45銭で利回り的には4毛7糸の流れとかかなーり久し振りに10年入札で流れましたなという所ですが、落札結果出てすかさず債券先物と10年が大下げした後は押し目買いとかもあって先物とかの水準は落ちた辺りで推移しておりましたが、まあ前場から中期とかも弱めに推移しておりましたが、5年も0.10%台に戻ってみたり、超長期とかも結局弱くなってみたりということで素敵な調整となるの巻でした。

まー10年はここもとの超長期下げ相場の中で不気味なまでに値持ちしていて他年限比で割高に推移しておりましたし、調整したとはいえ絶対水準が絶対水準ですから投資家の買いが入りにくいところに輪番トレード的なポジションが持ちにくくなっている中で新発債の供給があったらこうなってしまいましたという話で、別にまあ暴落して投資家が困っている訳でもないでしょう(むしろ上げ相場の中で買えないまま泡吹き状態だったと思われます)し、まー普通に最終投資家が買ってもよかろうと思うレベルまで調整したら普通に落ち着くんじゃないのという所ですかね、よー知らんけど。

したがって多分この記事とかの説明は的を外していると思う。
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPL4N0VD3EP20150203
〔金利ウオッチャー〕長期金利の急上昇、損失抱え動けぬ投資家が背景 変動率に警戒感
2015年 02月 3日 16:27 JST

「損失抱え動けぬ投資家」とかどこにいますねんと思う訳で、単に金利水準的にどう見ても買う訳にも逝かないのだが、そんなことを言っているうちにあれよあれよという間に6年ゾーンまで金利が親指を立てながら溶鉱炉に沈んでしまい、悶絶しながら泡吹き状態になっていたという状況と思われまして、そういう意味では「こんな水準になってしまって動けない」という状態で動かぬというのは多いと思うのですけど、別に投資家がこれで食らって死亡とかんなこたぁねえだろと思うのでありました。

一方で安定の淡々とした説明の同じロイターさんの市場記事をまた貼っておきますね。
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL4N0VD30B20150203
〔金利マーケットアイ〕国債先物は入札不調で大幅続落、長期金利一時1カ月半ぶり0.360%
2015年 02月 3日 15:28 JST

『午後に発表された10年債入札結果が不調となったことを受けて、在庫を抱えた業者から調整売りが持ち込まれて急落。先物3月限は一時147円23銭と昨年12月12日以来の水準に下落した。1月下旬からのボラティリティ拡大で損失を抱えた市場参加者のリスク許容度が低下したことが応札を慎重にさせた。急落後はいったんショートポジションをカバーする動きが入ったが、相場の戻りは限られた。現物市場は、朝方から中長期ゾーンを中心に銀行勢や業者などから入札に絡んだ持ち高調整売りが膨らんだ。入札結果発表後に大きく売られた場面では、地方投資家などからいったん押し目買いが観測されたが、あすにも予想される日銀買い入れ結果を見極めたいとの見方から積極的な買いが手控えられた。』(上記URLより)

まあいろいろと後講釈されていますけど、短国市場で展開されていた「投資家不在の業者と日銀買入だけの世界」が中期ゾーンまで波及してしまって投資家不在相場をやらかしている中で、金利水準やりすぎて投資家が本当の本当に不在になってしまって、そこにボラ上昇が来て投資家不在の輪番相場が耐えられなくなったという話だし、投資家の方はと言えば金利上昇したといってもまだまだ全然間尺に合う水準じゃないからこんな所で本格的に買いに入れるかよヴォケという話なだけだと思います。

まーいずれにせよ最終投資家の買いがそれなりに入ってくれるまでは落ち着きにくい相場でございましょうなあという所でしょうかね。


・しかしまあ何ですな

いやー思いのほかあじゃぱー相場が続いておりまして、どうしてこうなったという所ではあるのですが、つらつら考えますに「日銀の輪番で無駄に値持ちしていた」上に「1月に入って投資家不在で輪番ヒャッハートレードが積みあがった」というのがあって、そこに加えて余計だったのが「1月決定会合で付利下げ思惑」というのが出たのが実は結果から逆算すると大きかったのかねという所ですな。

#結果から逆算なので何の役にも立たない考察だが

まーかくいうアタクシも先日申し上げたようにどう考えても無いとは思っても、黒田日銀はヤケクソになっているので何をしでかすか分からんという認識があの10月緩和を受けてアタクシも持ってしまうという状況でしたので、そういう点では「1月追加緩和に対する恐怖感」というのはあったと思うのですよ。

でまあそれが特に中短期の輪番ヒャッハー相場と相まって雰囲気を盛り上げてしまったので、そらまあ今の債券市場的には追加緩和を食らうのが少なくとも投資家的には恐怖以外の何物でも無いので、そういう恐怖からヘッジポジションが入ってしまったという面があって、それこそ先ほど「これは的を外しているでしょ」としたロイター記事も全部が変な訳ではなくて、「追加緩和の恐怖に対してヘッジを入れた部分」だけ投資家の押し目買い意欲が弱まっているともいえますし、追加緩和に対する投資家的な恐怖に対して輪番トレードヒャッハー的な向きはさらにワッショイ状態になるでしょうから、まあその分だけ余計に調整が続いているという事なのかもしれませんね。




・2月資金需給見込みと短国買入がどうなるのかの話

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/juqp/juqp1502.htm/
日銀当座預金増減要因(2015年2月見込み)

こちらを見ますと財政要因での2月資金不足見込みが17.5兆円程度になっておりますが、これに対して今月の輪番は9.2兆円(受け渡しベースの入り繰りを考えないといけないのだが今回はざっくりで行きます)となるので、残りが8.3兆円の不足になります。

で、今月は固定金利オペの落ちが盛大に入っていまして、シグナルのなれの果てとかも含めて5.4兆円近くの落ちがあります(今の残高は7.5兆円)ので、これがどの程度歩留りになるのかが不確定にも程がありまして、まあざっくり半分落ちるとすると2.7兆円になるので、そうなると短国買入で11兆円の打ち込みの可能性がありますなとかそういう話。

しかしまあ何ですな、毎度申し上げていますがMB拡大の帳尻をアウトライトのオペで実施すると、そのアウトライトを食らっている市場の需給関係が財政要因というファンメタと無関係なところで盛大にぶれるわけでして、その買入の絶対額が小さいうちはどうでもよいのですが、ここまで日銀の買入がフローもストックも大きいという状態になりますと、短国市場が全然安定化しなくていろいろと弊害あるんですけどねえと思うのですが、まあ1月の買入を見ればわかるようにもうそんな市場に対するエトセトラとか知らんがなというスタンスなのが見えているので悪態つくだけ無駄という感じではありますな(でも悪態つくけど)。

でまあ2月はその調子で買入をするのはそうとしまして、3月になると財政が思いっきり払い超になってしまう上に買入短国の償還も少なくなるので、この調子だと2月には主に2.5兆円ペース(共通担保の歩留りと業者の在庫状況を見ながら3兆円の会もありそう)での買入が続くのですけれども、3月になると短国買入がほとんど無状態になってしまうというこの需給のぶらせっぷりは何なんでしょという事になると存じます。

まあ3月は期末のニーズがあるから日銀の買入が止まってくれると需給的には助かりますから別にそういうペースでもよいのですが、いずれにせよ財政要因で大きくぶれる資金需給の尻をそのまま短国買入に反映させるというのは何だかなあというか、市場に対するストレスのかけ方半端ないわと思うのでありました。

なお、この資金需給見込みを見た結果なのかどうかは知りませんが、なぜか昨日の(今日付けになる)売買参考統計値を見ますと(今週に入ってその傾向がありますが)先週入札があった509回債の引けが強くなっておりますが、ほかの銘柄の推移も見ると実に味わいが深いですな。なお売参見るのめんどい人はBBの引けでも大体同じなのでその辺でもヨロシ。




○師匠の講演を前にこの前の講演の日本語版が

http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/ko150203a.htm/
http://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2015/data/ko150203a.pdf
少子・高齢化の視点から見た我が国の金融教育
ADBI・OECD・日本 ハイレベル・グローバル・シンポジウムにおける特別講演の邦訳
日本銀行副総裁 岩田 規久男
2015年1月23日

まあ正直この前ネタにしたのでどうでもよいですが・・・・・・・・・・

『金融広報中央委員会の調べでは、高齢者は他の年齢層に比べ、自己の金融リテラシーに自信を持っている一方、実際のリテラシーはあまり高くないという結果が出ています。このような自信と実際のリテラシーのギャップを埋めていくことが重要です。』

>自己の金融リテラシーに自信を持っている一方、実際のリテラシーはあまり高くない
>自己の金融リテラシーに自信を持っている一方、実際のリテラシーはあまり高くない
>自己の金融リテラシーに自信を持っている一方、実際のリテラシーはあまり高くない

というのは何度見ても実にこうじわじわ来る滋味に富んだ講演テキストで、テキスト原稿を作ったと想像される人の悪意を感じます、などという事は全くございませんので念のため申し添えます。




○日銀審議員人事に馬鹿提示キタコレ!

http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NJ6MRS6JTSEF01.html
政府:日銀審議委員人事を4日午前に国会提示へ−関係者
更新日時: 2015/02/03 16:34 JST

ということで昨日こんなニュースが出ていまして、まあ若田部先生辺りですかそうですかとか思っておりましたが、何せ最近の学者審議委員というのは見事なまでに屁の突っ張りにもならない執行部翼賛機関でございますので、まあ宮尾さんが交代してもそんなに変わらんわなとは思いましたが、念のため今朝日経のサイトを見に逝ったらまさかの人選キタコレである。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF03H17_T00C15A2EE8000/?dg=1
日銀審議委員に原田氏起用へ 早大教授、リフレ派
2015/2/4 2:00 情報元 日本経済新聞 電子版

・・・・・( ゚д゚)
・・・・・(つд⊂)ゴシゴシ
・・・・・(;゚д゚)

先日ネタにしたので単純にURLだけ置いておきますが・・・・・・・・・・

http://www.asahi.com/articles/ASGDS5TCMGDSULFA034.html
さらに金融緩和を、国債まだ買える 原田泰・早大教授
聞き手・福田直之 2015年1月21日11時34分

日銀に国債引受やれとか言っておきながらいざ副総裁にノミネートされると「あれは方便」とか言い出した置物大先生も大概でしたが、今度は「日銀が国債を買うと国の債務が消滅する」というような珍理論のオッサンがノミネートとかもうアホか馬鹿かとって感じですが、おそらくこのレベルの方ですと置物先生のように「例えばオペについても、外部にいたときは簡単だと思っていたが、実務はそのような簡単なものではないとわかった。」とか「日本銀行の実務に対する理解を深めつつある状況だ」とか面白発言がでるのか、それとも何も勉強しないでクソの役にも立たない提案をするのかのどちらかという事になるんでしょうなあとは思われます。まあしかしこれで学者が揃いも揃って馬鹿キター状態になると執行部としてはロボットがさらに増えてウハウハでしょうな。

しかしまあ何ですな、良く良く考えるとMB直線一気理論であるところの置物リフレ理論がその理論を超越するようなMB拡大しているのに「2年で2%」どころか「2年でゼロに逆戻り」だわ、インフレ期待は上がったということになっているけど最初に嬉々として持ち出していたBEIについてはだんまりだわとか、全然そのシミュレーション通りに逝かないという状態になっている訳で、そんな中で審議委員を受けるというのも中々こう大変ですなあとしか思えないところです。

で、日経渾身のリークは事前報道で馬鹿潰しに来たのかと一瞬思いましたが、良く考えたら事前報道があったら人事案受けないでござるのルールは廃止になっていたんでしたっけ。残念無念という所ですな。

まーいずれにせよ「日銀が国債を買うと国の債務が消滅する」という珍理論を唱える方をそのまますんなり通すようでは国会も何やってるんだと思いますので、就任の是非を問う国会審議の場では原田大先生の珍理論に関してきちんと吊るし上げをして頂きたいものだと思います。まあ最終的には与党が絶対多数だから通るでしょとは思いますが、ここまで突き抜けた珍理論を唱える方が講演とかでオモシロ話をして下さいますと円安に振れて物価目標達成でニッコリですね!!!!!!!!!!!!!!!!

#ということで就任前に毒電波を受信しておいてちょうどよかったですな(−−;

しかしまあリフレ派でももう少しマシなのいると思うのだがよりによって「日銀が国債を買うと国の債務が消滅する」という珍理論を平然と唱えるスカタンを選ぶとかどうしてそうなったとしか申し上げようがないですな。

なお先月受信した毒電波はこのへんとかこのへんにおいてあります。

ま、これだけ突き抜けたアレな方ですと多分屁の突っ張りにもならないと思う(結局実務を何もわかっていない人なので勉強して普通の方になるのか、何の勉強もしないでゴミ提案をするだけになるのか、執行部追認ロボットになるのか、という3択だと思いますので)のではあそうですかとだけ申し上げておきまして、ぜひ海外などでその「国債を中央銀行が購入すると債務が消滅する」という理論を吹聴していただきますと、もしかしたらジンバブエ中央銀行の総裁辺りにスカウトされるかも知れませんよ!!!!!1111



2015/02/03

お題「1月はMB拡大を短国買入で調整の巻/追加緩和トーク益々トーンダウン/虫干しネタでドラギ会見続き」

相変わらず後場になると謎の売りが出るのは何なんでしょうかね。

#そして明日は宮城金懇で師匠の焼き土下座ショーになるのか(ならないけど)言い訳が楽しみですね

○1月の調節合計が出ておりますな(メモ)

http://www.boj.or.jp/statistics/boj/fm/juqf/juqf.htm/
日銀当座預金増減要因と金融調節(1月実績)

てな事でこちらからエクセルに落としてきますと、1月は当座預金的には6.8兆円の増加になっていまして、うち銀行券還流要因が4.1兆円なのでMB的には2.7兆円程度の増加という形になりました。

で、オペ要因の調節具合を見ると、財政要因が一般財政で2.5兆円の揚げ超、国債要因は中長期国債の発行超過部分を輪番で吸収して、短国の日銀保有分の償還部分8兆円に対して買入が11.5兆円になっていて、この3.5兆円部分がMBの増加部分に寄与(共担オペの落ちとかその他項目とかありますが)した形になっておりますな。

でまあその結果は結果としてわかるのですが、MB目標の建て付け的に2014年末の数値があってそこの数値に向けて調整をしていた時と違いまして、現在の建て付けですと「次回MPMまでのオープンエンド」となっていまして、まあさすがにMPMのところで数字を調整する訳にもいかないのでしょうけれども、1月の動きを見ていると「四半期または半期ベースで調整」ではなくて「月次ベースで調整」という感じで動いているようにも見えますので、実際問題としてここの所をどう調整しようとしているのかによって最後の帳尻部分になる短国市場のレート形成に影響が出るので、どういうやり方なのか気になるところです。

短国買入自体がピークより残高減ったとは言え残高そのものが大きいという事もありまして、そもそも論として需給要因的に札が集まるかという問題があるので、実は事前に決め打ちできない(月次調整しようとしてもそもそも短国買入の札が割れるような状態だと調整できないから、そういう意味で事前コミットしたくないというのは調節技術上の問題として存在する)という問題があって、事前にこの辺りをアナウンスできないという事だとは思われますが、ニュアンス的にどういう感じなのかが微妙に???ではあります。

まあ何ですな、金利形成全体の事を考えると短国のレート形成が投資家参加型で円滑に進む(その結果季節要因で自然体でマイナスも今だったらアリエールでしょ)というのが美しいのですが、そもそも金融政策のディレクティブがMB先にありきになっているので、短国買入を帳尻に使うというのもまあそれはそうでしょうなあとは思うのですけど、その結果として価格形成が歪になってしまうというのは金利市場全体的にどうなのよとは思うのであります。

結局のところQQEの建て付けの中で国債ならびに短国買入で「買入によって直接的に何をしたいのか」が不明確になっているのが問題なのですが、MB直線一気理論がどこからどう見ても棄却されて、いつの間にやら金利を下げたりリスク資産の購入をしたりポートフォリオリバランス的な話にすり替わってしまっているのに、ディレクティブがMB直線一気理論のままなのが根本にあるのですけどね。

#なおマイナス金利を維持しようというオペの打ち方がイミフなのはまた別のレベルの問題


○追加緩和にさらにトーンダウンとな

黒田総裁が国会に呼ばれていまして全然発言でないなとか思ってたら最後の方に出てきました。
http://jp.reuters.com/article/JPbusinessmarket/idJPKBN0L60EY20150202
首相・日銀総裁が円安めぐり慎重発言、デメリットにも配慮
2015年 02月 2日 15:54 JST

『[東京 2日 ロイター] - 安倍晋三首相と黒田東彦日銀総裁はいずれも2日の参院予算委員会で円安についてメリットとデメリットの双方について指摘した。あくまで一般論だが黒田総裁は昨年「円安は全体として日本経済にプラス」と繰り返し発信しており、円安の負の面に対する配慮も感じられる。』

『総裁も「輸入コストの上昇、あるいはその価格転嫁を通じて、中小企業、非製造業の収益、家計の実質所得に対する押し下げ圧力として、作用する面があるのも事実」と指摘。「現時点で為替レートが今の水準にあることで日本経済全体に大きなマイナスになっていることはない」としつつ、「円安の影響は産業・地域・企業規模で異なる面があるので、十分注視したい」と警戒した。』(以上上記URL先より)

とまあそういうことで、追加緩和で円安に振って物価上昇を促すルートに関してこの前は政府から追加緩和不要とかいう謎の情報発信らしきものがニュースベンダーに出ておりましたけれども、黒田総裁もトーンダウンで益々追加緩和の方向が見えにくくなってきましたなという状況ですな。

#その割に最近マイナス金利政策が追加緩和でみたいな話が妙に出てくるのは何なんでしょうかね

たぶん足元では統一地方選挙も近い中で物価上昇で生活がしんどい系のアレがあるのでその中で円安に振ってコストプッシュで物価あげても仕方ないでしょという話になっていて、一連のイベントが片付いた後にどうなるのかというのもまた微妙な気もしますけれども、まあこんな感じで追加緩和がトーンダウンの流れになっているのは味わいがあるというものですな。


しかしまあ何ですな。
http://jp.reuters.com/article/vcJPboj/idJPKBN0L60F020150202
出口での金利・バランスシート取扱い、具体論は時期尚早=日銀総裁
2015年 02月 2日 15:55 JST

『総裁は「金利あるいは日銀のバランスシートの取り扱いについてどういったかたちのことを考えるかは、そのときの経済あるいは金融市場の状況に応じてもっとも適切な対応を取る」と回答。「今から具体的にご指摘のような(再投資見送り、テーパリング)ことをするかどうか、かえって市場に混乱をもたらすことあり、今の時点で具体的な話をするのは時期尚早」と述べた。』(上記URLより)

えーっとすいませんできるだけ早期に物価安定目標を達成するんだったら当然検討していないとまずいんじゃないでしょうか実は早期に達成する気ないでしょというツッコミはさておきまして、出口議論に関しては逆に「全く出口関係ないやろ!」という状況の時にある程度のイメージを出しておいた方が市場が反応しないで意識を持たせることが出来るのではとも思いますので、今のように春に向けてCPIゼロ近傍までの低下待ったなしとか言われているタイミングの時に出口後の本来あるべき姿についてお話をしておくというのも一つの作戦のように思えますけどね。

ともうしますのは、本当に出口が意識されるようなところになってからですと、出口政策の話をするのが時すでにお寿司状態になっており、下手にトークをするだけで市場がヒャッハーとかなると思われますので、その前にある程度イメージを持たせておけば、実際に経済物価情勢が改善する中でよりスムーズに出口の織り込みが進むように思えるのですけどね。まあ理想論かもしれないけどご一考をば。


○虫干しネタアゲインで(すいません)ドラギのおっちゃんの落語ネタ

おっちゃんの落語ネタを今更ですいません。
http://www.ecb.europa.eu/press/pressconf/2015/html/is150122.en.html
Introductory statement to the press conference (with Q&A)
Mario Draghi, President of the ECB,
Frankfurt am Main, 22 January 2015


・そもそもQEをするとどういう事で物価が上がるのかという質問

これはまた身もふたもない質問。

『Question:(前半割愛)The second question, just in a bigger picture sense, why should the public, why should the financial markets think that QE will work in terms of boosting inflation, in terms of restoring economic growth, employment in the euro zone?』

おっちゃんの説明である。

『Draghi: (前半割愛)On the second question, we would believe that the measures taken today will be effective, will raise inflation, medium-term inflation expectations, and basically will address the economic situation in the euro area.』

で?

『There are several channels through which these measures will be effective.』

さて・・・・・・

『The first is the portfolio rebalancing effect, where you basically substitute bonds with cash, and therefore banks, at that point, will have more incentive to lend to the private sector, households and companies.』

まあポートフォリオリバランスに関しては大体過去のQEでも棄却されていますけどね!!!

『Then you have signalling effects on inflation expectations. This is a quite important channel. Let me just give you an example why.』

気合キタコレ!!

『Of recent inflation expectations, medium-term inflation expectations, dropped by something like 50 basis points. Since our nominal interest rates are at the zero lower bound, this meant that real interest rates went up by about 50 basis points, basically nullifying the effects of our reductions of nominal interest rates, the two reductions of nominal interest rates that we had decided in the course of the year. So we do expect that effect to be also important.』

インフレ期待が下がったから実質金利が上昇したというのは分かるが、では何故QEをすると期待インフレが上昇するのかの合理的説明はどうなっているのでしょうか。

『Finally, let me add something here, because it’s actually quite important. What monetary policy can do, I’ve said this many times, but I think itis worthwhile repeating it. What monetary policy can do is to create the basis for growth, but for growth to pick up, you need investment. For investment you need confidence, and for confidence you need structural reforms.』

で、その気合の部分はさっきの話でおしマイケルでして、最も重要な点は成長のドライバーが投資であり、その投資が拡大するにはコンフィデンスが必要で、そのためには構造改革が必要である、という事で、金融政策以外の施策の重要性を説いていまして、まあドラギのおっちゃんとしてはこの話を一番言いたいんでしょうなあ。

『The ECB has taken a further, very expansionary measure today, but it’s now up to the governments to implement these structural reforms, and the more they do, the more effective will be our monetary policy. That’s absolutely essential, as well as the fiscal consolidation side. So structural reforms is one thing, budget and fiscal consolidation is a different issue. It’s very important to have in place a so-called growth-friendly fiscal consolidation for confidence strengthening. This combined with a monetary policy which is very expansionary, which has been and is even more so after our decisions today, is actually the optimal combination. But for this now, we need the actions by the governments, and we need the action also by the Commission, both in its overseeing role of fiscal policies and in its implementing the investment plan, which was launched by the President of the Commission, which was certainly welcome at the time, now has to be implemented with speed. Speed is of the essence..』(ピリオドが2つありますがこれは原文ママです)

とまあそういうことで、ECBがとにかく政策やったから財政構造改革をやれという話を延々としておりまして、まあドラギのおっちゃんとしては金融政策はつなぎの時間稼ぎにすぎなくて、とにかく財政と構造改革をきちんとやって欲しいという意識が強いという所でしょうな。

ただまあここでドラギ先生がどこぞの麿と違って大狸なのは、「金融政策はしょせん時間稼ぎです」とかこの正直者!と突っ込まれるような発言をしないところでして、「政策のツールキットはいろいろとある」(キリッ)というような話をしてああでもないこうでもないと手品だけは繰り出してくるところでございまして、その結果として時間は稼げているものの、肝心の域内各国政府の取り組みが足りないとトサカにきているのでしょうなあという所で。

#もしかして単に時間稼ぎたいなら最初はワークしない買入をやってその後手直しをして追加緩和感を出すという手もあるのかも知れませんね、大狸だけに


・オープンエンドというのは分かるがいつまで実施するのかの判断は??

『Question: My first question is about this open-ended commitment to conduct asset purchases until you feel as though you’re on a path where it’s consistent with achieving the inflation rates below but close to 2% in the medium term. People seem to have very different views about what medium term means. Would it be possible to clarify?(後半割愛)』

結局いつまで買入を継続するのかが「中期的に2%の目標達成に対して整合的な状況まで継続」だと何が何やらワカランチ会長という事ですな。

『Draghi: On the first question, I really only read again the statement. I just don’t want to speculate, giving horizons of dates, of deadlines. So these purchases are intended to be carried out until end September 2016, and will in any case be conducted until we see a sustained adjustment in the path of inflation. You might as well have asked, what is sustained adjustment? Sustained adjustment in the path of inflation, which is consistent with our aim of achieving inflation rates below but close to 2% over the medium term. You know the medium-term notion is a complex one. I have discussed this notion. It depends on many parameters, and at this point, certainly we wouldn’t want to speculate on precise deadlines.(後半割愛)』

でまあそれに対する答えですが、ある意味仕方ないのですが思いっきり蒟蒻問答状態になっておりまして、この点に関してはこれ以上の説明ができないというのもありますけど、もう一つの想像としましてはそもそも今回の決定に関して相当の反対なり見解の相違なりがあった事から、ふわっとした事しか発言できないというのもあるのかもしれませんな。


・マイナス金利での買入は行うとか年限に関しては何だかよくわからないとかその辺の質疑

『Question: (前半割愛)Second question would be whether you're also considering buying bonds which are actually already trading in negative territory when it comes to yields. 』

『Draghi: Second question, the answer is yes. (後半割愛)』

まあマイナスも買わないと回りませんわなと思いますが、ではマイナス金利を購入することになりそうなドイツ様とかはブンデスバンクがその分で償還損をこくことになりますが国内的に大丈夫なのでしょうかねえというのは気になるところ。

『Question: Could you give us an indication on the maturities of the bond you’re going to buy?(後半割愛)』

『Draghi: The first question is yes, the maturities range between 2 and 30 years. So it’s very long.(後半割愛)』

まあそうですな。


・ちなみに資産バブルの対応に関する話はBISビュー的ではない感じがしますなあ

こんな質疑が。

『Question: Two questions. What do you answer to those arguing that an effect -- a possible effect of the QE will be to rise some price bubbles on certain categories of assets?(後半割愛)』

『Draghi: On the first question, we monitor closely any potential instance of risk to financial stability. So we're very alert to that risk. So far we don't see bubbles.』

そらまあ今はバブルはないでしょう(国債は微妙だけど)。

『There may be some local episodes of certain specific markets where prices are going up fast. But to have a bubble, besides having that, one should also identify, detect an increase, dramatic increase in leverage or in bank credit, and we don't see that now.』

ほうほう。

『However, we, as I said, we are alert. If bubbles are of a local nature, they should be addressed by local instruments, namely macro-prudential instruments rather than by monetary policy.』

ということで、資産バブルが局地的なら局地的なマクロプルーデンス政策で対応すべきであって金融政策の出番ではない、という説明をしているのはまあ普通ちゃあ普通の説明ですが、BISビュー的なニュアンスはなさそうに見えるので、この辺はドラギ総裁はブンデスバンク的な部分はないですよね、というのは把握した。


・細かい質疑がないのは残念だが要綱が出ていない時間帯だから仕方ない

冒頭のステートメントに『Separate press releases with more detailed information on the expanded asset purchase programme and the pricing of the TLTROs will be published this afternoon at 3.30 p.m. 』とありますように、なんでそうなるのよと思うのですが、買入の詳しい話については会見の後に出すという流れになっていて、ナンジャソラと思うのではあるのですけど、そのせいでたとえばマイナス預金金利を残していて買入ができるのか(それは要綱なくても聞けそうなもんだが)とか、買入の比率的に2016年9月まで継続したらドイツ国債の買入対象玉がなくなるのではないかとか、そういう質問が出てこないのが残念なところです。

#ほかにインフレ期待の質疑とか財政サポート的な質疑もあったけどイマイチ蒟蒻問答チックで話があまりかみ合っていない感じなので面倒になってパスしてしまいました(汗)



2015/02/02

お題「短国買入2.5兆円&輪番は据え置き(謎の修正あり)/いまさらですが1月金融経済月報です(大汗)」

いやあの・・・・・・・・。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150202/t10015135311000.html
邦人救出活動 国会論戦の焦点の1つにも
2月2日 5時10分

って直接的な救出活動能力あるのって米国とかロシアレベルでしょ能力も無いのにいきなり法整備とかの話に飛躍するの??????


○例によってオペ関連メモ

・短国買入は2.5兆円ですかそうですか

金曜のオペオファー
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/of150130.htm
国庫短期証券買入 25,000 2015年2月3日
国債買入(残存期間1年超3年以下) 4,000 2015年2月3日
国債買入(残存期間3年超5年以下) 4,000 2015年2月3日
国債買入(残存期間5年超10年以下) 4,000 2015年2月3日
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注3) 2,000 2015年1月30日 2015年2月2日

ということで相変わらず札があるので買う攻撃ですが3兆円打ってきたらどうしましょと思っていたので2.5兆円だと多分市場の予想していた額。しかしこのペースでオペやっていくと3月のところがどうなるんでしょうかねえ。

で結果。
http://www3.boj.or.jp/market/jp/stat/ba150130.htm
国庫短期証券買入 40,788 25,002 0.001 0.005 92.5
国債買入(残存期間1年超3年以下) 13,996 4,005 0.006 0.007 1.3
国債買入(残存期間3年超5年以下) 13,690 4,002 0.005 0.005 75.4
国債買入(残存期間5年超10年以下) 14,830 4,003 0.005 0.007 10.9
国債補完供給(国債売現先)・即日(午前オファー分)(注4) 26 26 -0.400 -0.400

応札4兆そこそこということでさすがに3兆買入連発攻撃が効いてまいりましたという所ではあるのですが、1年短国の売参がマイナス2bpとなっていて新発出た時の平均落札レベルがマイナス1.69bpだったので、平均の5糸甘だと儲かっておらずのように見えますので、今回の平均を下げたのは実は506回債(売参マイナス2.5bp)の方だったりするのかも知れませんね。で、そのほかに1年短国が入っているという感じ(カレント3Mは509回の売参がゼロ利回りで508回がマイナス0.1bpなので足切で入れても入札水準から比較すると負けとなるのでカレント2銘柄は投げ以外では入らない)ですか(あとは引けがマイナス1.4bpの6Mとか)というところで。

しかしまあ何ですな、今月はしばらく2.5兆円のペースで買入が継続となるのでしょうが、そうなりますと短国買入残高が12月末対比で3兆円程度上に振れたままで推移することになって、日銀がわざわざご丁寧に需給を締める格好になっているのですが、毎度申し上げておりますように短国市場の金利をマイナスで推移させない(期末などの一時的な瞬間風速は仕方ないにしても)ようにしておけば債券市場にマイナスが波及してその年限が伸びて長期までヒャッハー相場になる、という債券市場ぶっ壊れモードに火をつけることもなかったと思われますし、だいたいからしてここまで債券市場が壊れなければ国債買入の限界とかそういう話がこんなに早くに来る事もなかった訳で、どうにもこうにも短国のオペの打ち方が痛恨としか申し上げようがないですな。


なお市場ですが
http://jp.reuters.com/article/jptokyomarket/idJPL4N0V93QX20150130
〔金利マーケットアイ〕翌日物の加重0.07%前半か、3カ月物TBは-0.006%に低下
2015年 01月 30日 15:28 JST

『日銀が実施した国庫短期証券(TB)買い入れは無難な結果となった。買入予定額は2兆5000億円と前回(3兆円)から減額。落札結果によると、応札額は4兆0788億円と前回(7兆3892億円)を大きく下回った。案分利回り格差はプラス0.001%。日銀が週1回2.5兆─3兆円ペースの買い入れを継続していることから、需給改善への期待が高まった。日銀買い入れを受けて、新発3カ月物は前日比0.005%低いマイナス0.006%で出合いを付けた。』(上記URLより)

ということなのですが、オペの落札結果的にはカレント3Mは投げないと入らないレベルなのですが日銀買入を受けて3Mが強くなるという辺りに味わいがありますな(棒)。


・2月の輪番実施額は変化なしだが謎の修正あり

http://www.boj.or.jp/announcements/release_2015/rel150130d.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/rel141230b.pdf(前回)

『(注4)2015年2月2日以降の最初のオファー金額は、残存期間1年以下700億円、残存期間1年超3年以下4,000億円、残存期間3年超5年以下4,000億円、残存期間5年超10年以下4,000億円、残存期間10年超25年以下2,400億円、残存期間25年超1,400億円、変動利付債1,400億円、物価連動債200億円とする予定です。』(今回)

『(注4)2015年1月5日以降の最初のオファー金額は、残存期間1年以下700億円、残存期間1年超3年以下4,000億円、残存期間3年超5年以下4,000億円、残存期間5年超10年以下4,000億円、残存期間10年超25年以下2,400億円、残存期間25年超1,400億円、変動利付債1,400億円、物価連動債200億円とする予定です。』(前回)

ということで昨今の債券市場大暴れを受けて超長期とかいじるのかと思いましたが特段の変化もなくという事で、その一方で意味不明に買入額のレンジで中期の1回当たりの額を『5,000〜12,000程度』から『4,000〜10,000程度』になっておりまして、なんでそこを減らしたのかよくわからん結果になっています。まあ5000億×2を上限にしますよという事かもしれませんけれどもわざわざ変える必要があるのかがよくわからん。


○超今更ネタですが金融経済月報

http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2015/gp1501.pdf(今回)
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2014/gp1412.pdf(前回)

遅くなりましたが今回は声明文比較の方もしておりませんでしたので月報比較で声明文比較に替えておきます(超大汗)。例によって【概要】部分から。

・現状判断は一か所だけ上方修正

『わが国の景気は、基調的に緩やかな回復を続けており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も全体として和らいでいる。』(今回)
『わが国の景気は、基調的に緩やかな回復を続けており、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も全体として和らいでいる。』(前回)

てな訳で総括判断には変化がありません。

『海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。そうしたもとで、輸出は持ち直しの動きがみられている。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかな増加基調にある。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。』(今回)

『海外経済は、一部になお緩慢さを残しつつも、先進国を中心に回復している。そうしたもとで、輸出は持ち直しの動きがみられている。設備投資は、企業収益が改善するなかで、緩やかな増加基調にある。公共投資は高水準で横ばい圏内の動きとなっている。』(前回)

海外経済、輸出、設備投資、公共投資の文言も同じです。


『個人消費は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響は全体として和らいでいる。住宅投資は、駆け込み需要の反動減が続いてきたが、足もとでは下げ止まりつつある。以上の内外需要のもとで、在庫調整の進捗もあって、鉱工業生産は下げ止まっている。』(今回)

『個人消費は、雇用・所得環境が着実に改善するもとで、基調的に底堅く推移しており、駆け込み需要の反動の影響は全体として和らいでいる。住宅投資は、駆け込み需要の反動減が続いてきたが、足もとでは下げ止まりつつある。以上の内外需要のもとで、在庫調整の進捗もあって、鉱工業生産は下げ止まりつつある。企業の業況感は、一部に慎重な動きもみられているが、総じて良好な水準が維持されている。』(前回)

個人消費、雇用所得、住宅投資のところも同じで、これだけ全部同じなのに生産だけ判断が上昇しているという謎展開で、その謎展開の理由は在庫調整の進捗が良い事であるという話のようです。なお業況感云々は短観直後の月報で出るものなので今回は割愛されるのが仕様です。


・先行き判断も一か所だけ文言変更

『先行きのわが国経済は、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も収束していくとみられる。』(今回)
『先行きのわが国経済は、緩やかな回復基調を続け、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動などの影響も収束していくとみられる。』(前回)

こちらも全文一致。

『輸出は、海外経済の回復などを背景に、緩やかに増加していくと考えられる。国内需要については、公共投資は、当面、高水準で横ばい圏内の動きを続けたあと、緩やかな減少傾向に転じていくとみられる。』(今回)
『輸出は、海外経済の回復などを背景に、緩やかに増加していくと考えられる。国内需要については、公共投資は、当面、高水準で横ばい圏内の動きを続けたあと、次第に減少傾向に転じていくとみられる。』(前回)

輸出はいつもどおりの見通し。公共投資のところが「次第に減少傾向」というのと「緩やかな減少傾向」というののどちらが強いのか最早文学過ぎてわかりません><

『設備投資は、企業収益が改善傾向をたどるなかで、緩やかな増加基調を続けると予想される。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善が続くもとで、引き続き底堅く推移し、駆け込み需要の反動の影響も次第に収束していくとみられる。住宅投資は、次第に底堅さを取り戻していくと予想される。』(今回)

『設備投資は、企業収益が改善傾向をたどるなかで、緩やかな増加基調を続けると予想される。個人消費は、雇用・所得環境の着実な改善が続くもとで、引き続き底堅く推移し、駆け込み需要の反動の影響も次第に収束していくとみられる。住宅投資は、次第に底堅さを取り戻していくと予想される。』(前回)

全文一致とな。

『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は、緩やかな増加に復していくと考えられる。』(今回)
『以上の内外需要を反映して、鉱工業生産は、緩やかな増加に復していくと考えられる。』(前回)

生産も同じですね。


・リスク要因も同じ

『この間、リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や低インフレ長期化のリスク、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(今回)
『この間、リスク要因としては、新興国・資源国経済の動向、欧州における債務問題の展開や低インフレ長期化のリスク、米国経済の回復ペースなどが挙げられる。』(前回)

これまた全文一致。


・物価は先行き判断を下げるの巻

『物価の現状について、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、国際商品市況の大幅な下落を反映して、3か月前比で下落している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、0%台後半となっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。』(今回)

『物価の現状について、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、国際商品市況の大幅な下落を反映して、3か月前比で下落している。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、1%程度となっている。予想物価上昇率は、やや長い目でみれば、全体として上昇しているとみられる。』(前回)

現状判断では相変わらずの予想物価上昇率は全体として上昇攻撃がありましてお前は何を言ってるんだ状態ですが、こちらはまあ現状判断部分なのでそうですかという所ではあるのかも知れませんが、1%程度という数字から0%台後半という数字表現になりましたな、うんうん。


『物価の先行きについて、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面下落を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、エネルギー価格の下落を反映して、当面プラス幅を縮小するとみられる。』(今回)

『物価の先行きについて、消費税率引き上げの直接的な影響を除いたベースでみると、国内企業物価は、国際商品市況の動きを反映して、当面下落を続けるとみられる。消費者物価の前年比は、当面現状程度のプラス幅で推移するとみられる。』(前回)

先行き判断ですが「当面現状程度のプラス幅」という表現だったものを下方修正して「プラス幅を縮小」としておりますが、日銀文学的にはこの「当面」というのは英文でいう「for the time being」でして、数か月程度は数か月程度ですが、半年程度になると「しばらくの間」になりまして、「for some time」となりますので、それよりは短い期間ではあるのですが、目先数か月程度弱含みになりますという話になっておりますな。

ただまあ一方でご案内のように展望レポートでは先行きの見通しに関して手前の物価見通しは下げたものの、先行きの方は下げるどころか引き上げとなっておりますので、それとセットで考えますと、今回展望レポートを出して先行きは別に変わらないどころか上昇ですよ(キリッ)と出すことによって、足元の物価情勢を政策判断から切り離して「一時的なので無問題(キリッ)」とできるようになり、そのため今回やっと判断文言をいじれましたという話でしょうな。

なお物価先行きに関して英文バージョン比較を置いておきますね。

『With regard to the outlook, excluding the direct effects of the consumption tax hike, producer prices are expected to continue declining for the time being, reflecting movements in international commodity prices, and the year-on-year rate of increase in consumer prices is likely to slow for the time being, reflecting the decline in energy prices.』(今回)

『With regard to the outlook, excluding the direct effects of the consumption tax hike, producer prices are expected to continue declining for the time being, reflecting movements in international commodity prices, and the year-on-year rate of increase in consumer prices is likely to be at around the current level for the time being.』(前回)


・金融環境に関する説明には新味なし

『わが国の金融環境は、緩和した状態にある。』(今回)以下の部分は特段のインプリケーションもなさそうですのですが、せっかくですので本文の方ではどういう記述をしているのかを比較してみましょう。

まずは短期。

『短期金融市場をみると、長めのターム物を含め、金利は低位で安定的に推移している。無担保コールレート(オーバーナイト物)は、0.1%を下回る水準で推移している。ターム物金利をみると、3か月物国庫短期証券利回りは、概ねマイナスの領域で横ばい圏内の動きとなっている。3か月物ユーロ円金利およびユーロ円金利先物レートは、いずれも横ばい圏内の動きとなっている(図表36)。』(今回背景説明)

『短期金融市場をみると、長めのターム物を含め、金利は低位で安定的に推移している。無担保コールレート(オーバーナイト物)は、0.1%を下回る水準で推移している。ターム物金利をみると、3か月物国庫短期証券利回りは、マイナスの領域で横ばい圏内の動きとなっている。3か月物ユーロ円金利およびユーロ円金利先物レートは、いずれも横ばい圏内の動きとなっている(図表44)。』(前回背景説明)

もしかして年初に短国入札の足切りが100円になったから「概ね」がついたのかという所ですが、どう見てもマイナス状態の長期化は凶悪な事態なのですが「低位で安定的に推移」という表現にまとめられているのはいつものクオリティ。

ヒャッハー長期。

『長期国債の流通利回り(10 年新発債)は、米欧長期金利の低下や昨年秋の日本銀行の金融緩和拡大などを背景に低下しており、最近では0.2%台前半で推移している(図表38)。』(今回背景説明)
『長期国債の流通利回り(10 年新発債)は、米欧長期金利の低下などを背景に低下しており、最近では0.3%台半ばで推移している(図表46)。』(前回背景説明)

ということで、短国マイナスの長期化→利付国債のマイナス化→マイナス領域拡大→ヒャッハーという話についてはもしかしてこの文章には書いていないだけでご認識があるのかもしれませんけれども、まあ思いっきり知らんがな的な表現になっている辺りが市場との対話アリバイ会合の屋上屋を架すのに余念がないだけの事はありますなという所でございまする。


#ということで超虫干しネタで申し訳ありません