告訴取り下げ:盗撮ビデオ処分条件 弁護士を近く懲戒請求
毎日新聞 2015年02月06日 08時00分
女性客らへの強姦(ごうかん)罪などに問われた宮崎市のマッサージ店経営者の男(44)の弁護士が、男が盗撮したビデオの処分を条件に告訴取り下げを求めた問題で、性犯罪被害者の支援者らが宮崎県弁護士会に、近く弁護士の懲戒請求をすることが分かった。
請求するのはNPO法人「しあわせなみだ」(東京都)の中野宏美代表ら関東、九州の男女3人。懲戒請求とともに、日本弁護士連合会と宮崎県弁護士会に性犯罪被害者への不当な圧力を排除する仕組み作りも要望する。インターネットなどで趣旨に賛同する人を募り、5日現在で7000筆超の署名を集めており、1万筆を懲戒請求のめどにするという。
懲戒請求の理由は「(弁護士の行為は)明らかに不適切で、被害者に対する不当な圧力」としている。また、性犯罪では告訴取り下げの圧力のほか、裁判官ら司法関係者の発言で被害者が苦しめられる事例もあると指摘。司法関係者が被害者の状況を理解するための講座の必修化▽司法関係者から圧力を受けた際の相談窓口の設置▽被害者が不利益を受けることを防止する法制度の整備−−を要望する。
中野代表は「被告側弁護士の行為は、市民感覚では許されないこと。被害者が人権侵害されずに裁判に臨めるような環境を実現するきっかけにしたい」と訴えている。【菅野蘭】
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強姦罪などに問われた経営者の男に対する公判が5日、宮崎地裁であり、男が関与したとされる別の強制わいせつ事件の被害者3人分の盗撮ビデオを新たに証拠採用した。
公判で被告の男は、ビデオ撮影に際し被害者の承諾を得たのかとの検察側質問に対し「答える必要はない」と回答を拒んだ。
一方、強姦被害者に対し告訴取り下げを求めた示談交渉について、弁護側質問で「(弁護士に)示談が成立したらビデオは処分すると言われ納得したが、(示談が)決裂したのでそういう(処分をする)つもりはない」と陳述した。ビデオ原本は弁護士から警察に提出された後、再び弁護士に返却されている。