韓国Samsung Electronicsが、ハイエンドスマートフォン向けにePoP(Embedded Packaege on Package)と呼ぶ統合型メモリの量産を開始しました。これは1個の半導体パッケージの中に、メインメモリとなるDRAM、NANDフラッシュメモリ、そしてフラッシュメモリのコントローラを集積した製品。
特徴は当然ながら基板上の実装面積を小さくできる点。スマートフォンやタブレットのメイン基板がSoCをはじめとする基幹部品の進歩によって年々小さくなりつつある中で、メモリは小型化の影響が小さかった部品でした。
今回量産が始まったのはハイエンドスマートフォンやタブレットに向けたモデルで、パッケージサイズは15×15×1.4mm(幅×高さ×厚さ)。実装面積は225平方mmですが、同仕様のNANDとRAM、2個を合わせた実装面積は合計374.5平方mmでした。この点からサムスンは「約40%の実装面積縮小が可能」と称します。
また、今回量産されるモデルがハイエンド向けというのは言葉だけではありません。具体的な仕様としては、RAMは容量3GBで、速度グレードはLPDDR3-1866。NANDフラッシュは32GBで、インターフェイスはeMMC仕様と、まさに現時点でのハイエンドAndroid機で使われている仕様です。
このように現在使われている仕様を引き継いだことから、基板こそ設計を変更する必要があるものの、SoC側などの設計には影響を及ぼさず、変更を最小限に留められる点もメリットです。
なおこうした複数チップの集積は一般的には発熱の増加などを招きますが、同社はパッケージの特別な耐熱特性により、動作への影響がないとアピールしています。
またリリースでは本製品の派生版についても触れており、世界的なモバイルデバイス企業と協業してハイエンドタブレット向けモデルの開発を進めていることも紹介。このあたりから、NANDフラッシュメモリ容量などを増やしたバージョンなども設計していると予想できます。
スマートフォンの必須部品の実装面積が削減できると、本体の小型化や、あるいは基板が確保していた面積をバッテリーへ振り分けることが可能となり、長時間駆動への方向へと進みます。このePoPメモリは、地味ながらスマートフォンの長時間駆動を推し進める技術として今後活躍しそうです。