自分は何かに対して怒ることがほとんどないんですが、パートナーが仕事で怒りを感じることがあって困っているという話をしていたので、それならアンガーマネジメントについて勉強しようかと、いくつか本を集めてきて一緒に読んだり、話したりしてみました。
今回紹介する本はその中でも特に納得度が高かったものです。自分には特に必要ないかなと思っていましたが、自分みたいな怒らない人間についてもその理由が言語化されていて楽しめました。
「怒り」がスーッと消える本―「対人関係療法」の精神科医が教える
- 作者: 水島広子
- 出版社/メーカー: 大和出版
- 発売日: 2011/05/10
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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※Kindle版は書籍版よりも400円安くて1000円ぐらい。凄い時代になったものです。
怒りは自分でコントロールできるというのが基本コンセプト
この本の基本コンセプトは、怒りは自分でコントロールできるものとして認識しましょうということです。
怒りがちな人は、怒る原因を他人にあると思って、自分が攻撃されていると考えがちですが、そういう事実が仮にあったとしても、怒るという選択肢は自分で選んでるんですよね。他人に怒り続けるより、怒らないようにしたほうが楽だということを理解する。
まず、この基本コンセプトがいいですね。合理的で素晴らしい。
怒りの原因を分かりやすくリストアップ
そういう前提に立った上で、どういう行為・発言に対して怒りを感じるか、それに怒りを感じる理由は何にあるのかというのが事例別に詳しく説明されます。
事例としては、ATMで待たされた、長いこと電話で愚痴を聞かされたという些細なものから、親から門限を守らないと叱られた、みんなの前で社会人失格だと罵られたみたいなあるあるまで、結構揃っています。
基本的には、相手の事情を鑑みず、こちらが一方的に評価を下したり、相手に過剰な期待を抱くことが怒りの原因という説明がなされます。
事例が豊富で、それに怒る理由の説明もシンプルで明快です。頭に入りやすい。
自分が怒らなくなる方法は人を怒らせなくなる方法
この本がいいのは、自分が怒らなくなる方法を説明しながら、裏返しで人を怒らせない振る舞い方についても紹介してくれているところなんですよね。
例えば、評価を下されることについて。
「自分が他人から一方的な評価を下されると、自分の領域が侵されている気になるから腹が立つ。でも、実際はそういう評価を下す人は、評価が欲しい自信がない人で、その人はこちらの領域を侵しているのではなく、その人の領域内で暴れているだけ。そう考えると怒りも減る」
これは裏返しで言えば、自分も他人の評価を下さないようにしましょうということですよね。他人の領域を侵さないようにして、相手の悪感情を引きずり出さず、お互いが怒り合う泥沼状態を作り出さないようにする。
他にもお互いの期待値がずれているからそれを修正しましょうとか、要求するより依頼しましょうとか怒らせないコミュニケーションの考え方が紹介されています。こういうことを意識して実行していったら、怒りをコントロールできるだけではなく、交渉巧者になれそうです。
怒らない人の怒らない理由
冒頭に自分が怒らない理由がこの本で言語化されていると書きました。これについても簡単に紹介しておきます。
以前も書きましたけど、自分は誰かの悪感情を見ると、その人の普通にはお目にかかれない心象が表に出てきたものとして愛でたくなるんですよね。
まさに、それを表す絵があって、これを見た時は思わず笑ってしまいました。P102です。自分への領域侵犯と受け止めず、相手の心の悲鳴と解釈するという話です。
※このウサギ、怒っているパンダを挑発しているようにしか見えません。
締め
色々説明してきましたけど、要は怒りの存在を認めましょうという話です。ノートやホワイトボードに書くなりして、自分の怒りを整理して、原因を究明してみる。
それ以外にも、気分転換に運動することや、相手が加害行為を明白にしているときは怒りの心と切り分けて対処することも触れられています。
あまりにも辛い過去のトラウマがあって、それがフラッシュバックして怒ってしまうような人だと、この本を読んで解決するより、カウンセリングを受けたほうがいいんでしょうが、自分ができる軽めのアンガーマネジメントの導入本としてお手軽だと思いました。
余談
個人的には、自分が雑多に考えていたことが対人関係療法として説明されていることに興味を覚えました。思考の体系化ができそうなので、この作者の方の他の本も漁ってみることにします。